堕ちた剣士
アバターはアバター使いじゃなくても見える。
だがとても見にくい。
目視で見つけるのは困難の技。
視力Bの人が目を細めてやっと見えるぐらい。
Aの人は目を細めなくても若干見える。
保健室で2週間過ごした後、平川と咲は無事に戻ってきた。
「とんでもない災難ばっかだったわ」
「まぁ、今のところは何も司令などは来てないので安心ですね。」
「平川、ここは直前で命令とか普通に来るのよ、気を引き締めないと。」
「すみません。」
(ブラックだなぁ)
と思いながら教室に戻った。そして教室に戻ると、沢村ともう一人の男が口論をしていた。
「なんで来たんだ!咲は君が嫌でここに来たんだよ!」
「岬の兄だからよく分かる!あいつはそんなことは言わない!」
その口論を聞くと咲は顔を青ざめて
「レコニッサンスバード!やつを殺して!」
と叫ぶと鳥の爪が銃弾のように発射された。だが咲の兄には間一髪で避けられてしまった。
「くっ!危ないぞ!岬!」
「あんた!何故ここにきた!」
「岬に会うためだよ、さぁ帰ろう、お前が怪我をしたと聞いた時はとても怖かったよ、帰ろう、家へ。」
「帰るものか!あんな家!」
「そんなこと言わずに」
と言うと咲の兄が咲の手を掴んだ、そしてそれを見た平川は前の学校での出来事を思い出した、彼氏より強そうなヤンキーに絡まれた時のカップルの会話を。
平川が下校途中路地裏で見かけたことだった。
「なんで無理なのよ!」
「俺にだって無理なものはある!」
「嘘つき!」
「調子乗るなよ!お前なんてやつはその気になれば」
と言うと彼氏が彼女を思いっきり殴った。それを見たヤンキーは
「てめぇ!女子に殴るなよ!」
「うるさい!俺たちの会話だ!」
「おめぇー!ってやつはー!」
と言うとヤンキーが彼氏を思いっきり殴った、そして彼氏は思いっきり飛んだ。そして彼氏が立つと、
「てめぇがこの道通ろうなんて言い出すからだー!」
と叫ぶと彼女の上に馬乗りになってボコボコに殴りまくった。
「やめろー!」
とヤンキーが叫んで彼氏を殴り飛ばした。そして彼氏が
「ちっ!」
と舌打ちをした後急いで逃げた。
後からわかったことは彼女は顔面複雑骨折だった。
そして彼氏はそのまま逃げて違う学校に転校した。
彼は学校転校前に
「やり直そうよー!お前はもうこんな顔面になったんだ俺が付きやってやるから」
と最後までこんなやつだった。
この一連の胸糞悪い話を前の学校で体験しそれがフラッシュバックした。
平川は無意識のうちに咲の兄の手を掴み
「話してもらいますか、咲さんは嫌がってるじゃないですか、あなたは咲さんに幸せになって欲しいのですよね、咲さんの幸せはあなたが今この場から消えることだと思います。」
「てめぇが知ったような口を聞くなー!」
と言うと咲の兄は思いっきり平川を殴った
「はぐぅ!」
と声を漏らした。そしてふらつくともう1発飛んできた。
平川は
(やつにアバターを使うと確実に危険だ、やつがアバター使いならば容赦なくいけるのに。)
平川は殴られるがまま受けた。
「さっきの威勢はどうした、オラオラオラオラ!」
(良い気になりやがって!)
どんどん平川は殴られると遂に咲が
「てめぇクソ野郎!平川が何も言わずにしているのを使っていい気になりやがって!平川準備できたから避けて!」
と咲が叫ぶと平川はフラフラで教室の壁にぶつかると
「くらいやがれ!」
と言うと咲がさっき撃った弾が咲の兄の周りにあった。
「小癪な真似を!岬!」
「あんたのとこなんて二度と戻らない!ここで自分の希望を見つけた!ここで生きる目的を見つけた!ここで自分の生きる権利をくれた!あんたに私の生きる希望をこれ以上奪うなぁー!」
と叫ぶと咲の兄に向かい弾が飛んだ。
「無駄だ!」
と叫ぶと弾が全弾切り落とされた。それを見た咲は
「ばか、な!」
と言うと咲の兄は
「こうなったら実力行使だ!喰らえ!」
と言うと咲の兄のアバター、角と翼をつけた騎士のような見た目をしたアバターが咲に向かって来た。
「そ、そんな!」
咲に剣が付く瞬間咲は目を閉じた、咲が次目を開けると
目の前には平川がいた
「あなたが、倒して、ください、お願い、しま、す。」
と言うと平川に刺さった剣が抜かれると力が無くなったように倒れた。
「平川!」
沢村、咲の2人の叫び声が教室を包んだ。
「あんたってやつはァー!」
と叫ぶと咲の兄はアバターの剣を使い、沢村の腹を刺した。
「あぐわぁ!め、メルト!」
と言うと今にも消えそうなメルトの形が唾液を出したがアバターが持っているシールドで防がれた。
「うっ!」
と言うと沢村の腹から剣が取られると沢村は倒れた。
「くそー!」
と叫ぶと咲のアバターの爪を発射した、が全部剣で振り落とされた。
そして咲の兄は沢村を蹴り飛ばすと
「岬、君だから私のアバターについて教えよう、「ジルドレ」それが私のアバターの名前だ、君を助ける英雄となるためのアバターだ。」
と言うと、咲の兄は
「俺が怒らないうちに帰ろう」
「断る!」
「早く!」
「無理!」
「なぜ?!」
「だから無理だって!」
「こうなったら実力行使だ!いけジルドレ!」
と言うと咲の兄はアバターの剣を咲に向かい振り落とした、
「クッソ!」
と言い避けた、そして咲のアバターの爪を発射した。
「だからもう無駄だ!諦めて帰ってこい!」
「嫌だって言ってるでしょ!」
「そんな融通の聞かない子に育ちがやがって!」
と言うと咲の兄のアバターは剣を何発も咲に向かい振り落とした。
「ダメ!避けきれない!」
と言うと斬撃がやんだ、だが1発入ってしまい、ダメージを負った。
「岬!」
「来るなー!」
と言うと咲のアバターの爪を発射した。
「無駄だ!」
「無駄では無い、今撃った爪はあんたには撃ってない!」
「じゃあどこに!」
「照明よ!」
「それがどうした!」
「今!外は夜!そして廊下の照明も既に撃っておいた、衝撃で照明は消える!」
「それがどうした!」
「あなたのアバターでは夜の暗闇は見えないけど、私ならこの暗闇は逆に有利!」
「なら!消える前に倒す!」
と言うと咲の兄は剣を咲に振り下ろしたが、平川のアバターが剣を掴み
「早く帰りやがれー!」
と叫ぶと剣を奪い外に投げ飛ばした。
「貴様ー!」
と叫ぶと照明が落ち辺りが何も見えなくなった。
「あんたにはもう見えないでしょうね、ここは街明かりもそうそう来ないほど周りに住宅などないのよ。」
「こ、小癪な真似を!」
「もうおしまいだ!」
と言うと咲のアバターが爪を発射した。咲の兄はポケットに入ったライターを出して
「俺って本当にツイてるな、それとも神が俺の事を味方しているのかどっちかだな。」
そしてライターを使い自分の周りを見回すと爪を見つけて咲の兄は爪を間一髪で回避出来た。
「か、神はあんなやつの味方をするの」
希望を失ったような声だ。
「さぁ帰るぞ!」
「ッ!」
(私って本当に何も出来ない。)
咲は子供の頃を思い出した。
岬の家は銀行を運営している一流企業の家庭だった、なのもあってエリート教育を常日頃行っていた。
岬の兄は元からとても頭が良く、スポーツも万能だった。だから親はこのようなエリートを溺愛していた。
そのせいで兄はいつしか妹の岬を下に見るようになった。
「兄さん」
「おい岬!ちゃんと買ってきたか?」
「ご、ごめんなさい、お金が無くて」
バン!
とても重いパンチが岬の顔に入った。
「い、痛いよ」
「おめぇの小遣いから出せ」
「もう無いよ」
「じゃあ親の財布から抜き取れ」
このようなことは日常茶飯事だ。
親は兄のことは見て見ぬふりだった
「本当にあなたは天才ね」
「簡単だよこんなテスト」
「それに比べ岬は」
この時の兄の目は岬を馬鹿にしたような目だった。
「ねぇねぇコンクールで銀賞、凄いでしょ」
「ううん、金賞じゃないから、取るのなら金賞取りなさいよポンコツ!」
岬は
(もう嫌だ、親も兄も誰も信じれない)
まだ若い時にこのようなことを考えてしまった。
それ以降岬は不良への道に進んだ。
タバコ、酒は当たり前だった。
それに比べ兄は一流大学へ行った。
だが岬の人生はある女性と出会い大きく変わった。
「咲岬さん、私の学校に来てもらいます。」
「私は学校に行く気なんてサラサラないよ、帰りな!」
「あなたはある「力」を持っていますよね。」
「ああ、あの変な鳥。」
「ああいう力を探しているのです、我々は。」
「あっそ、じゃあ帰りな、私は用事があるから。」
「いえ、これは決定事項です、来てください。」
「え、嫌だって言ってる」
「じゃあ実力行使で向かわせますね」
と言うと無理やり連れていかれこの学校へ着いた。
ここから岬の人生は大きく変わった。
高校から咲は今通っている高校へ入った。
だがその頃1年は1人だけ。
咲は自分の実力で2年へ駆け上がった。
そして2年になり2人が入り今に至る。
「もうあなたにも親にも頼らない!」
「何!」
「自分で生きる道を築く!」
「そんなことどうでもいい!帰るぞ!」
「「アーミーバード」(兵隊鳥)!!」
と言うと防弾チョッキを付け、カバンを背負い、ヘルメットをつけた鳥が現れた。
「何!新しく進化しやがったのか!」
「こいつがあれば!いって!アーミーバード!」
と言うと
「クルワァーー!」
と叫びカバンの中から小型ドローンが2台出た
「何!このような武装を!」
と言うともう一本の剣を鞘から出し、シールドでドローンの放った弾を防いだが、少し前にメルトの唾液を受けてシールドが溶けていて弾がシールドを貫通して咲の兄の首と腹に入った。
「あがぁ!」
と声が出た。そしてライターを落とした、それを見た咲は
「撃て!」
と言いドローン2台でライターを撃ちまくり火事を防いだ。
そして咲は咲の兄に近づき。
「もう自分で生きるから、もうてめぇのパシリなんてなるものか!」
と言うと咲は平川達の方に走った。
「平川!沢村!大丈夫!今すぐ保健室の先生を呼ぶから待って!」
と言うと咲は教室から出た、そして運良く少量の街明かりとガラスが上手く反射したおかげで咲の後ろに咲の兄が居たのを気づいた、そして咲の兄はアバターの持つ剣を振り下ろした、すると咲の肩に刺さり、咲は
「うぉぉぉ!」
叫び咲のアバターを使い壁を破り咲の兄を外に放り出した。
「あ、あがぁ!」
「もうあなたは名前の通り堕ちた剣士!ジルドレのように、昔のお前は本当に憧れてた、だが今となっては憎くて仕方ない!」
「あがぁ!」
「さよなら堕ちた剣士の使い手、これが私がお前に言う最後の言葉よ!」
「ウグワァ!」
と叫ぶと咲の兄は4回から落ちて
ドン!
と音を立てた。
「お、終わった。私の決着が。」
と言うと咲は倒れた。
3人が次目覚めたのは保健室の天井だ。
だが咲はまだ眠っている。
保健室に居た古川の部下が
「君たち、何回目だ、もう何回目だ保健室送りは。」
と言うと沢村は
「すみません。」
「まぁいい、あいつの情報が出た。咲修、使用アバターはジルドレ、A級だ。」
「A級だったのか、あの強さで。」
「つい最近の情報だから間違いは無い。そして咲と平川は体が治り次第検査だ。」
と言うと平川は
「どんな検査ですか?」
「アバターのランク検査だ、平川はデータがない、そして咲はアバターが戦闘中に進化した、だから検査したいんだ。」
「はい、分かりました。でも僕はもう行けますよ、体がマシになったので。」
と言うと沢村と古川の部下は
「マジで!?」
沢村は
(平川、やはり只者では無い。)
と思いながら聞いていた。
「できそうなら、明日9時にここに来る、ではお大事に。」
と言うと古川の部下は保健室を出た。
咲修
ジルドレA級
能力
剣とシールド
咲岬
アーミーバード現在測定をしていないので不明
能力
バックパックからのドローンと爪を発射できる。
前のアバター能力もそのまま使える。