病室
病室に戻ると桜賀さんは眠っていた。
俺は、唇を撫でる。
桜賀さん、あの日あんたが夕陽にキスしてたの見たよ。
変な声が聞こえて、覗いたらこの口でしてたよな。
夕陽に…。
イライラして、唇をつねってた。
あっ、起きちゃった。
「夕陽、もどってきてたの?」
起き上がって、桜賀さんは、俺の指を舐めてきた。
何してんの、この人。
「嫌だった?ごめんね」
俺が、手を引っ込めようとしたのに気づいてそう言った。
「俺は、夕陽と別れてから誰ともしていないよ。信じてくれる」
そう言って、腕にしがみつく。
何で、こんなに辛いかな
「夕陽以上に愛せる人には、出会わなかったんだよ」
俺の手を頬に持っていってスリスリしてる。
何で、そんな幸せそうな顔してんの?
「なんで、別れたの?女の子と付き合ったままでも別れてない人はいるんだよ」
そう言って、俺の手を口元に持っていく。
なんで、そんなとろけた顔してんの?
俺がした時は、あんなに嫌がったよね。
夕陽と別れて、一週間後に俺は、桜賀さんの家を尋ねていた。
「もう、味見しにくるのもなくていいから」
「夕陽と終わったら、俺も用済みになんのかよ」
「ごめん。その声や顔に、夕陽を思い出してしまうんだよ」
そう言って、俺を玄関から追い出そうとした桜賀さんを壁に押さえつけた。
「夕陽だと思えばいいだろ」
無理やりキスをして、舌をねじ込んでやろうとしたら
ドカッ、腹を蹴りあげられた。
「いたっ」
「何で?こんな事するの?どういうつもり?こういうのされるのは、ごめん。朝陽君を夕陽には思えない。ごめん」
嫌そうな顔をされた。
ハッキリと嫌だと書いてあるように感じた。
「さよなら、桜賀さん」
あれから二度と会わなかった。
なのに、今…
なぜ、俺の手を舐めて、俺の手にスリスリして、恍惚な表情を浮かべて俺を見つめているの?
「夕陽、ずっとこうされたかった」
そう言って、自分の胸に俺の手を持っていく。
「20年間、夕陽だけを思っていたよ。夕陽は?」
何も言わない俺のあそこに手を当ててきた。
「嬉しい。かわってないんだね」
馬鹿なんだな、俺
桜賀さんに触れられて
感じてんじゃねーよ。
涙が込み上げてくるのを感じる。
胸がつまって、息が出来ない程に苦しい。
「夕陽、嬉しいよ」
カチャって、ベルトをはずされた。
やられんのか…俺。
夕陽だと思ってやられるんだな…俺。
「好きだったよね?こうされるの?」
しらねーよ。
夕陽の気持ちなんか
チャックをおろされた。
ああ、やられんだな。
俺
「やっぱり、俺を愛してるんだよね」
愛してるよ、夕陽じゃないけど
俺は、あの雨の日から愛してるよ。
桜賀さんは、夕陽だと思って俺を愛した。
「夕陽、嬉しい」
恍惚な表情を浮かべながら、美味しそうにそれを飲み干した。
スーって涙が流れた。
悲しい
愛してる人が、別の人の名前を呼んでる事が悲しい。
幸せそうに笑ってるのが、悲しい。
「また、してあげるから」
そう言って、ズボンを履かされた。
感じてる自分が、悲しい。
涙が流れて、止まらない。
「夕陽、触って」
そう言って、自分の胸を触らせてきた。
なんだよ、その顔。
幸せそうにすんなよ。
「夕陽、もうこんなになってる。どうしよう?」
夕陽を思って感じてるのを俺に触らせようとするんだな。
酷い人だね。
「キスしたかった?」
そう言って、桜賀さんは泣いてる俺にキスをしながら。
触らせてる。
嬉しくないのに、何で感じてるんだろうな。
「また、こんなになったの?いつもだね」
桜賀さんは、俺のズボンに手をいれてきた。
辛くて、消えたい。
今すぐ、消えてなくなりたい。
誰か、俺の心だけを上手く抉りとってくれない?