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4.新しいクラス


 生徒会長のもとから香澄のもとへと戻ってくると、新入生の案内はもう終わっている。

 

 沙月先輩のところに行っている間に、新入生の登校時間が終わってしまったようだ。

 

 なんてことだ……。

 せっかくの新入生を見るチャンスが……。

 

 新たな学校への期待と不安を持って登校する新たな1年生。

 誰か知り合いはいないかと不安げに周りを見渡すA子、そんなA子を見つけて良かったら一緒にクラスまで行きましょというフレンドリーなB子。

 そんなB子にありがとう、よかったら私と友達になってと照れくさそうに答えるA子。

 そして、はぐくまれる2人の友情。いつか芽生えた友情以上の気持ち。

 そして伝説へ……。

 

 百合はただ女の子がいちゃいちゃすればいいというものではない。

 その始まりを知ることでより理解を深めることが出来る。

 そこにいたるまで過程、2人の関係性があってこそ輝くものなんだ。

 

 その関係の始まりを知るチャンスが……。


「いや、帰ってきて早々にうなだれてるところ悪いんだけど、私たちもそろそろ行かないと遅刻するわよ。そもそも、、やけに長い時間なにをしてたの?」


 香澄から心配そうな、いや呆れた表情で話しかけられる。


「いや、いろいろと……」

「まあ、いいわ。早く行くわよ」


 そうして、自分たちのクラスへと向かう。



   *** 



「ごきげんよう、鮎川さん」

「ごきげんよう、佐藤さん」


 クラスに来て、クラスメイトと挨拶。

 1年経っても、いまだにこの挨拶には慣れない。

 最初にごきげんようって挨拶されたときは驚いたものだ。

 

 まあ、この学校はごきげんようと挨拶する風習は残っているが、お嬢様口調で話すような子は少ない。

 挨拶以外は、あまり普通の女の子と変わらなかったりする。


 お嬢様たちの性格も他と関わる機会が少ないためか、少し警戒心が薄くてマイペースな子が多いかなと感じる程度。

 たまにすごいが強い子もいるけれど。

 そして、思ってたより割とオタク女子が多い。まあ、お嬢様だって娯楽に飢えているんだろう。


「あら、歩美さんじゃありませんか。今年もよろしくお願いいたします。今年は絶対にテストで負けませんわ」


 私に話しかけてきたのは、去年も同じクラスだった玉那覇珠樹たまなはたまき

 お嬢様口調で非常に我が強い。実家が資産家でもあり、非常にお嬢様してる子。

 茶髪がかった髪はパーマがかかっており、そこらへんもお嬢様っぽい。

 

 そして、私にテストで負けたのが悔しかったらしく入学した日からライバル視されている。


「ごきげんよう、たまちゃん。今年もよろしくね!」

「たまちゃんって呼ぶなと何度いえばいいんですの! 私はアザラシじゃないですわ」

「怒らないで、たまたまちゃん」

「その呼び方も止めて下さいまし!」


 非常にノリがよくいじると面白い子でもある。

 気が強いところがあるけれどノブレスオブリージュだとか言って、面倒見もいいので割としたわれている。

 ちなみに彼女は純粋な日本人。だけど西欧に対する憧れが強いらしく、趣味も紅茶だったりクラシック鑑賞だったりする。

 

「霞ヶ丘さんもごきげんよう。霞ヶ丘さんからも歩美さんになにか言ってくれませんか?」

「ごきげんよう、玉那覇さん。そこらへんは諦めて。私はもう諦めたわ」


 さすが、香澄。私のことをよくわかってるじゃないか。

 まあ、私も本当に相手が嫌がってることをするつもりはない。


 そうこうしているうちに、今年の担任であるだろう先生が入ってくる。


「ごきげんよー、みんな揃ってるかー。ホームルーム始めるから席につけ」


 周囲で雑談している人たちは、その声を聞いてそそくさと席へと着く。

 さすがお嬢様方、先生の指示にすぐに従う。


「えー、今年このクラスの担任になった七海凪々(ななうみなな)だ。なにか困ったことがあれば、そこにいる生徒会の霞ヶ丘か風紀委員の鮎川に頼るといい。そこにいる玉那覇もおすすめだ。面倒見がいいからな」


 おい。

 

 この先生、相変わらずだ。

 ちなみに、去年の担任もこの先生。

 風紀委員の顧問でもあるので、よく見知った顔である。


 生徒のことをよく見てる部分はあるが、極度の面倒くさがり。

 だが他の先生と比べて、堅苦しくなくゆるい雰囲気で話しかけやすいため生徒から凪々(なな)ちゃん先生として親しまれている。

 まあ、結構いい人ではある。


 私や香澄が同じクラスなのもさてはわざとだな。

 自分の手間を少しだも減らすために。

 この先生ならやりそうだ。


「とりあえず、軽くでもいいから自己紹介でもしてもらおうか。まずは、鮎川から」


 先生からご指名がかかる。

 まあ、出席番号が最初だからね。


「鮎川歩美です。風紀委員にも所属しているので、知ってる人もそれなりにいるのかな。趣味は読書とかかな。先生が言った通り相談事とかがあったら気軽にしてね。みんなよろしくお願いします!」


 風紀委員として、よく校門とか校内にいるので私の顔を知ってる人は多いだろう。

 ちなみに、私は全校生徒の顔と名前を覚えている。

 なんのためかは言わなくてもわかるだろう。


 趣味は読書(仮)。

 

 相談事があったら気軽にしてきて欲しい。

 女の子同士での恋の悩みだとか。


 他の人の自己紹介も聞き逃さないようにしておく。

 情報収集は大切だ。

 百合のきっかけはどこに転がっているかわからない。

 どこかの成功者が言っていた。些細なことを見逃さない、それが成功のために必要な事。


 しばらくすると香澄の番が来る。


「霞ヶ丘香澄よ。生徒会副会長を務めているわ。趣味は料理。み、みんなよろしくお願いします」


 緊張しているのか固くなっている。

 結構、人見知りなとこあるからな。


 緊張をほぐしてしんぜよう。


「よろしくね、かすみん!」

「かすみんって呼ぶなって言ってるでしょ! 何度言えばわかるのよ」

「みんなの前で怒って大丈夫?」

「こ、これは違うのよ。私、普段はあんまり怒ったりしないから。みんな安心して。なにかあったら気軽に話しかけてね」


 おろおろする香澄。

 萌えポイントが高い。

 普段、クールっぽい人がおろおろしてると可愛いよね。ギャップ萌えってやつ。

 クール系美人がデレるのは百合では鉄板だ。

 

 クラスメイトも生暖かい目で見ている。

 クラスメイトの中の1人くらい香澄の魅力のとりこになって、百合に目覚めないかなー。


 その後も自己紹介が続き、無事に全員が自己紹介を終える。

 

「自己紹介ありがとう。それじゃあ、ちょうどいい時間になったから入学式に行くぞ」


 そういう先生に連れられて私たちは入学式の会場へ向かう。


キャラ設定メモ③(作者用)

玉那覇珠樹たまなはたまき/茶髪/ロングカール/わたくし/お嬢様()/世話好き

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