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ソウルディア戦記 ~魂歌の響く大地~(砦の魔女編)  作者: 槍の人。


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第18幕:「情報」

第18話豆知識

【ベルニオン】…ベルニオン・ラドック。旧シーサック王国の騎士。ドノヴァーの副官で物腰の柔らかい紳士、ベリューク軍近衛副騎士長を務める。


第18幕:「情報」


◇新生王国暦5年 陽光季98日



なるほど確かに誰も居やしないね、案内してくれた兵士も困ってるよ、さーてどうしたものかな。

到着した調理場には一度に大量に調理を行えそうな大鍋が並び、その横には肉なんかをぶっ刺す太い鉄串が等間隔に突き立てられた焼き用の溝がある。

食器棚があって、たぶん調味料や香辛料なんかが入ってたであろう割れた小壷が並ぶ棚もある、その隣は解体用の刃物や二又の串なんかが保管された棚だ。

あの角にある大甕は水が入ってたんだろうな、そしてあの天井の穴は外へと繋がっているはずだ、こっちの扉の奥は…ああ正に食糧庫だね、さっきも見たチーズや黒い塊になった食糧だった物、穀物なんかを入れた麻袋が大量に積まれている。

何か良い物がみつかったら、このショアナのお姉さんがヴァル坊たちに自慢の料理の腕を披露してやろうと思ったけど、やっぱり道具も食材もボロボロでこれじゃあとてもじゃないけど無理だな、はぁ。




難攻不落の砦に入り込めたはいいけど、交渉役のデノン様が大怪我をして運ばれていって、残った私たちはトゥリスの父、ソルクスの部屋へと案内された。

よく整理されてソルクスの几帳面さが窺えるその部屋の隅に置かれていた箱、そこに被せてあった砂埃を被った布をトゥリスから受け取り、パタパタとはたけばそれ自体も彩鮮やかな美しい布だった。

恐る恐る箱を開け、中に入っている品を一つ一つ手に取るトゥリス、最初は震えていた手に少しずつ力がこもって、そして箱の底の方から取り出したぬいぐるみを見つめたまま固まっちまった。

覗き込んだ箱の中には色々と値が張りそうな品が入っていたから、その中では何と言うか、一番安価でそれこそ子供用の玩具って感じだったからどうしたのかなってさ、思うじゃん?


「すごいなおまえの父さん、これだけの品を一兵士が買い集めたってんだろ」

「うん、うん」

「それは?それも実はすごく高かったり珍しかったりするのか?」

「んーん、これはたぶん、普通の何でもないぬいぐるみ、子供が欲しがるような、そんな」

「でも何か特別なんだろ、もしかして子供の頃のおまえが渡した物、とか」

「それはそれでランバレア様が喜びそうな物語かもね、ふふ。でも、森に囲まれた小さな村にはこんな何でもないぬいぐるみでさえ無かったんだ」

「じゃあ、おまえが欲しがってた物か」

「そう、私が欲しがって、どうしても欲しいって泣きわめいて、でも売ってない物は買えないだろ?王都や街からの隊商だってわざわざ僻地の村を回るのに大した儲けにもならない子供の玩具なんて積んで来ないから」

「そっか、確かにそうだよな」

「でもそんな事情は子供の私には理解できなくて、とにかく…泣いて、っ、困った父さんが、作ってくれたんだよ、毛皮を縫って、干し草を詰めてさ、っ、ふふ、それが笑っちゃうくらい可愛くないしゴワゴワしててさー」

「…でも、嬉しかったんだろ」

「んーん、こんなのヤダって投げ捨てた」

「おい」

「っ、ふふ、っ、あはは、っ、あはははは…」

「ソルクスさんは、おまえの父さんはさ、きっとずっと覚えてて、気にしてて、砦に来た隊商に頼んだんだろうな、次に来る時は仕入れて来てくれって」


おいおいお馬さんが潰れちゃうよ、ってくらいギューってさ、でもって背中は震えてやんの、あはは、泣かせんな。

トゥリスを後ろから抱きしめて、一緒に震えて、これなら私も泣いてるのバレないよな…あーあ、ちくしょうこんなの、この方がよっぽどランバレア様が喜びそうじゃないか。


「…この部屋はちと埃が溜まってやすね、ちゃちゃっと掃除しちまいやしょう」

「 …しは部屋の外に… …ので、何かあれ… …さいね…」


何だよみんな気をつかうんじゃないよ、武骨で不器用な奴らばっかりなのに下手な演技しやがって、白い兵士にまで気をつかわれるとかどんな状況だよ。

ほらヴァル坊を見習え!いつも通りじゃないか、声を掛けるでもなくかと言ってわざとらしく振舞うでもなく、そうこういう時は普通でいいんだよ!

しっかしこいつダメ貴族かと思いきや要所要所で見せるデキる貴族っぽさは何なんだ、レギエンという温室育ちのボンクラと見せかけてからのやっぱりあのレギエンに連なる者だったか作戦か?敢えて評価を下げてからの上げで好感度倍アップ作戦なのか!?

でも、どう接したらいいのか分からないお貴族様よりは、こんな貴族っぽくない貴族の方がいいな、少なくとも私は。



その後、少し経ってからやってきたアストガルの爺さんにトゥリ…アニスが連れて行かれた、ソルクスとその報告書に関する話をする為だろう。

で、だ。

外で待っている辺境伯軍も砦内の私たちも、ソウルキーパーと違って時間が無限にある訳じゃない、食糧は有限だし疲れも溜まる。

そんな訳でとりあえず手分けして砦内の構造や様子を把握しようってことになって、ファヴァ…ヴァル坊、ブノンズ様、そしてアストガルの爺さんに連れて行かれたトゥリ…アニスとはそれぞれ別々の場所を調べることになった。

私は食べ物の礼と調理の手伝いを名目に食糧庫に案内して貰ったけど、そこで見たのがもぬけの殻の調理場と黒い塊になった昔食べ物だった物って訳さ。


「本当に誰もいませんね、ところでだいたいの道具や食材は揃ってるみたいですが、先ほどのお酒はどこにあったんですか?」

「 …、それはそこの小樽に少し… …の大樽と塩漬けの… …ってみるか?」


白い兵士が指さす方を見れば、なるほど床の一角に木製の扉があった。

薄く覆っていた砂を払って、ジャラりと太い鎖を手に取り兵士と一緒にその重い扉板を引き上げ開けてみると、途端にひんやりとした空気が漏れ出てきた。

地下倉庫、と言っても既にこの調理場や食糧庫が地下みたいなもんなんだけど、その更に下に造られたこの倉庫は荒削りな岩盤に囲まれとても冷たい。

そして、私は今ちょっとだけ後悔している、狩人なんてものは常に狩った獲物の血抜きや解体をしたり捌いたりするもんだ、そして森に呑まれた亡骸を見ることも珍しくは無い。


でもここは、地獄だ。


兵士から松明を貰い階下の倉庫を照らして、私は絶句した、そこにあったのは濃密な死だったから。

そうか、ここら辺で働いてた人たちはここに逃げ込んだのか、空気の冷えたこの場所なら確かに火や熱から助かりそうに思える。

でもエキル将軍たちは岩砦の出入り口や穴を塞いで熱を送り込み続けた、だからきっとああして樽の中に、生き残る望みを賭けて…

倉庫の床が見えないほど多くの遺骸が折り重なり、その一部は酒が入っていたであろう大樽の中にも転がっている、元々はなみなみと酒が入ってたはずだ。

そんな死の底から、私たちを見上げる影がいる、照らされた暗闇に浮かび上がる白い影、ここにもソウルキーパーが…って!


ブォンッ!

「ま、待て、待ってくれ!敵じゃない!」


慌てて転がり扉から離れた、下から飛んできた短剣はそのまま調理場の天井に突き刺さり、白い霧となって消えた。

あっぶな!

心臓がドクドク鳴ってる、あまりの光景に驚いてたとこにあの追撃、正直ここ数年で一番怖かったかも。

でも下に居たソウルキーパーはそう多くはなかった気がする、少なくともあの遺骸の数を考えれば、だけど。


「…い、どうした… …に戻らないとバーレッ… …るぞ~」


ここまで案内してくれた兵士が何やら会話をして、階下からゾロゾロと出てきたのは兵装のソウルキーパーが10人ほど。

どうやらあの爺さんのとこの兵士と他の指揮官のとこの兵士が入り混じっているようで、聞き取りづらい声でちょっとした言い争いをした後、各々散って行った。

ごめんよみんな、敵の数が増えちゃったかも!

…それはそれとして色々と出て来てた名前や名称を聞く限り、この砦は幾つかの区画に分かれていて、それぞれに統率している者がいるみたいだ、これは構造を把握するのに丁度いいじゃないか。

そう考え、とりあえず動く者の居なくなった階下をひと睨みして、これ以上増えてくれるなよと思いながら扉板を元に戻した。


「あの、さっきの方々はどちらに?皆さんアストガル様の所へ戻られたのでしょうか」

「…やそうでは無… …かは同じ部隊だが… …内郭と地下、それに聖堂は… 」



地下のソウルキーパーたちが去り、再び誰も居なくなって静まり返った調理場で、私と案内の兵士は転がっていた椅子にそれぞれ腰かけて事情聴取、みたいな事をしている。

もちろん私が聞く側、兵士が尋問される…じゃない質問される側だ、決して意地悪なことをしている訳ではない、断じて!

調子に乗ってあれやこれやと質問攻めにしちゃったけど、少し気の弱そうなこの案内の兵士は、分からない事以外は全て答えてくれた。

なんでも今日は久しぶりに沢山しゃべれて嬉しいらしい、きっと感覚としては“何日も”臨戦態勢が続いて気軽に会話が出来てなかったって感じなんだろうけど、十数年ぶりの会話だろうなと思うといっぱい話しかけてあげなきゃって思ってさ。

だからこれはあくまで二人の会話、仲の良い会話、一方的に情報の搾取をしている訳ではない、たぶん!

おかげでこの砦の構造や配置についてだいぶ分かった、忘れないうちに書き留めておきたいけど生憎と紙もペンも無い、調理場を見渡しても代わりになりそうな物は見当たらない。

しっかりと頭の中で繰り返して、覚えておこう…えーっと…



◎しょあなめも◎

スホータム砦版!


守将は将軍のドノヴァー


砦は4つの区画に分かれている←じゅうよう

がいかく、ないかく、地下、聖堂


外の戦いがあった辺りががいかく

さっきまでの兵士の部屋がいっぱいあったのがないかく

地下は複数に分かれていて調理場や武器庫に訓練所と牢なんかがバラバラの場所にある

地下の階層の更に下に聖堂があるけど普段は一部の騎士や兵しか入れない

聖堂の区画にドノヴァーとファイルの部屋がある←ここに行かないと


がいかくとないかくの管理はドノヴァー

地下と聖堂の管理はファイル


がいかくの指揮官は上級騎士アストガル

ないかくの指揮官は上級騎士バーレット

地下の指揮官は騎士ベルニオン

聖堂の指揮官は上級騎士グノッサリオ


大弓隊の指揮官は騎士アローネ←すごい美人らしい、兵士たちに人気!

ゆうげき隊の指揮官は騎士ルダン

しちょう隊の指揮官は従騎士バンフル←上級騎士バントレオさんて人の子で後任、バントレオさんは一つ前の戦いで戦死



…なんだよ、読めればそれでいいだろ?あ?


この情報を持って帰ればきっとヴァル坊やブノンズ様辺りが喜んでくれるだろう、トゥリスや頭の良さそうなデノン様も戻ってるといいんだけど。

あとはそうだな、聖堂への道順と入る方法が分かればいいんだけど、アストガルの爺さんのとこの兵だって言う彼は聖堂に行った事が無いらしい。


「聖堂、確かアストガル様はデノンを、うちの村の者をファイル様の所で癒して下さると仰られていましたが、それは聖堂へ運ばれたのですよね」

「…だと思う… …レット様ではあの傷は癒せ… …の方もすごい方なんだけど…」

「そうですか、なんとか聖堂までデノンの様子を見に行くことは出来ませんか?」

「…では無理だ… …見知りの猪か虎に聞けば… …は何処にいるかな…」

「あの、この砦では猛獣を飼っているんですか?その獣たちが道案内を?」

「…はは、これだよ… …のは鷲だろ?それで… 」



◎しょあなめも◎

追加情報!


がいかくの兵士のきしょうは鷲

ないかくの兵士のきしょうは蛇

地下の兵士のきしょうは猪←これか

聖堂の兵士のきしょうは虎で近衛兵←これが欲しい

大弓隊のきしょうは弓矢

ゆうげき隊のきしょうは剣と盾

しちょう隊のきしょうは車輪



…そろそろ頭がパンクしそう!


「…れじゃあ【ベルニオン】様の所… …途中で猪か虎に会えればそ… 」

「ありがとうございます、とってもお優しいのですね…どのようにお礼をすればいいのかしら」

「 …あ、 …や、 …、 …仕事だから…」


チョロい。ヴァル坊並みにチョロい。

こうして良き理解者を得た私は地下の区画を任されているベルニオンという騎士の許へ向かう事になった。

なんでも地下の施設は武器庫と訓練所は比較的近い位置にあるけど、調理場や牢、それから聖堂へと繋がる階段は全く別の場所にあって一度内郭に戻らないと道が無いらしい。

えっと、ここがこうなって、ここからここに繋がってて、こっちに行くと…うん、無理。

たぶんここに紙とペンがあったとしてもこの構造は書き記せないと思う、それくらい複雑、長さの違う階段を登ったり降ったり曲がったりしてもう今いる位置がソルクスの部屋や調理場と比べて高いのか低いのかさえ分からない…

この砦は岩山の上に造られていると認識していたけど、違うよこれ、岩山の中、それもかなり大規模に掘り抜いて造られたベリュークの居城なんだ。

これで細い通路を抜けたら兵士が配置されてたり、武器が届かない高い位置から矢が飛んで来たりするんだよね、エキル将軍が諦めるのも納得、改めて納得。


だいぶ歩いてもう自分が何処に居るのか分からなくなった頃、少しだけ立派な扉の前に着いた。

扉の前にいる兵士は、っとなるほど猪か、言われて注目してみれば確かに違いが分かる、それにちょっとだけカッコイイ、ヴァル坊にウチでも取り入れないか提案してみるか、分かりやすいからな。分かりやすいからな?


「 …ぉ、お疲れさん… …堂の負傷者につい… …オン様はいるか?」

「 …あ中に居るぞ… …たんだ?その女は… 」

「 …オニ村の娘だ、聞いて驚く… …ルクスの嫁さんも一緒… 」

「 …当かよ!あのソルクスがデレッデ… …だろ?いやぁあんたもよく来てくれ… 」


ソルクス有名人じゃないか、それも兵士としての評判以外の部分でも。

何故か門番の兵士と握手して…ちゃんと手を掴めた、恐る恐る強く握らないように触ったけど少しフワフワしてた気がする。

コンコンと扉を叩いてから中に入って行った門番は、少ししてから大きく扉を開け広げて手招きしてくれる、部屋の中からは火とは違う強い明かりが漏れていて松明だけの明るさに慣れていたからちょっとだけ眩しい。

魂芯灯は高いし定期的なメンテナンスも必要だから、貴族以外では余程裕福な家でもないと使われない代物だ、それにしても明るい、今もなおソウルキーパーたちがメンテナンスを続けているのだろうか?

目の前に手をかざして入った部屋はソルクスの部屋の3倍くらいの大きさで、立派な彫刻の施された机や棚にベッド、それに高価そうな本の並ぶ本棚も見える、机の前に立ち私たちを待ち受けていたのは立派な髭を蓄え鎧の上からローブを纏った男。


「よくお越し下さいました、はるばるディオニからと伺いましたが、如何なる御用でしょうか」

「あ、お邪魔します…ディオニのショアナと申します。えっと、どこから話したものか」

「ショアナさん。私はベルニオン・ラドック、ベリューク軍近衛副騎士長を務めさせて頂いております、が、要はシーサックの一騎士です。よろしければ外の門からここまでどのようにいらしたのかと、私への用件があれば伺いますよ」


とても優雅で如何にも貴族的な佇まい、そして落ち着いた優しそうな声をした…、外の門からここまでの?

兵士と一緒に来たのにそれを聞くのは優しそうに見えて油断が無さそうだ、それに文字通り表情が読めないけど、きっとあの白面は今笑顔なんだと思う、それもとびっきりの。

騙されるなショアナ、私は今試されているんだ、敵か味方か、時間を割くに値するか否か、返答次第では牢へ送られるか、この体を刺し貫かれるか…。


「砦を訪れた理由は兵士ソルクスの残した報告書を届けるため、門からここまでは騎士アストガル様の差配とその配下の方の案内によって、ここに来たのは道中で重傷を負い聖女様の許へと運ばれた仲間の安否を伺うため、です」

「随分と流暢だな、それに堂々としていて貴族相手にも動じぬ、辺境に暮らすただの村人とも思えぬ」

「え…」




「 …んかすまない… …オン様はとても慎重な… …っと確認が済んだらすぐに… 」


私はここまで案内してくれた気弱そうな兵士とさっき握手したベルニオンの部屋の門番によって拘束された。

そして新たに呼ばれた5人の兵士に囲まれて牢へと移送されている所だ、とりあえず怪我などは無い、すぐさま殺されたり尋問されたりしなかったこと、丁重に扱うように命令が出されていたことから一時的な監禁なんだと思う。

ベルニオンの奴、散々おとなしく従えだの逃げようとするなだの余計なことは言うなだの脅しやがって!

あーでも殺されなくて良かった、私まだ結婚してないじゃん、もうすぐ30だけどさ、まだ私に見合うイイオトコに出会えてないだけだし、こんな太陽の届かない地下で死者と一緒に埋もれていいはずないよな??

肌は日に焼けて小麦色だけど手入れは怠ってないからほら、こんなにすべすべだし、この黒髪だって見てくれこの艶、木の実を潰して自作した油で梳いてるんだぜ、それに爪だって大蜥蜴の鱗で磨いて…は~、やめたやめた。

分かってる、分かってるよ怖いんだよ、だってベルニオンの野郎ほんとに射貫くような視線を向けて淡々と丁寧な言葉遣いで処理しやがるし、牢に送られるのなんて初めてだし、そもそもこんな暗い地下の道をまた延々と登ったり下りたり曲がったりしてさ!

くっそベルニオンめ、次に会ったら覚えてろよ、ナンカスゴイコトシテヤルカラナ!


「あの皆さん、そんなにベルニオン様を悪く言わないでください、あの方は騎士としての責務を全うされただけなんですから」

「 …れを分かってくれる… …んて良い娘なん… 」

「 …当にベルニオン様やバーレット様に… …を少しは見習っ… 」

「 …よう、俺アローネ様一筋… …後で焼き菓子でも差し… 」


チョロい。こいつらもヴァル坊並みにチョロい。

こうして私は自らの信奉者を着々と増やしつつ、ちょっとだけ美人と評判の騎士アローネに対抗意識を燃やしながら牢の中で薄幸の村娘を演じるのだった。



悲痛な声、それは堪える声、助けを求める声、死してなお残る声、我が子の無事を願う声。

墓前で、戦場で、踏み固められた土の下で、行き止まりの道の奥で、忘れ去られた聖域で、声は響く、空を求めて。



「はーどうなっちゃうのかな私。ま、トゥリスやブノンズ様が何とかしてくれるか、それまで少し休んでおこ。…で、そこで泣いてるのは誰だ?」



◎続く◎


前話からだいぶ空いてしまいました、居ないとは思いますがもし投稿を追って下さっている方が居たら申し訳ない。

少し熱を出したり、お金が無いのに無計画の旅に出て見たりしていました。

さて物語はその根幹となる部分、砦の魔女に近づいていきます。

砦への潜入を果たし、かつて魔女の臣下であった人物たちから少しずつ情報を得ていく一行、果たしてうまく魔女の許へと辿り着けるのでしょうか…!

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