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ソウルディア戦記 ~魂歌の響く大地~(砦の魔女編)  作者: 槍の人。


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幕間:「記録」


幕間:「記録」




七王国暦276年 炎熱季18日

 老騎士アストガル殿より国境を越えての偵察命令が下る

 俺の使命は再び襲い来る可能性がある敵の位置や規模、その編成をつかみ、情報を砦へと持ち帰る事

 同日中に準備を整え砦を後にし北上を開始

 出発に際しドノヴァー様とファイル様がお越し下さった、俺の為に祈ってくれた、必ずやり遂げる


七王国暦276年 炎熱季19日

 軍の痕跡を追いかけて山中を進む

 振り返っても砦は見えなくなった

 貴重な干し肉や酒はまだ取っておく、アナグマを仕留め順調に進む


七王国暦276年 炎熱季20日

 痕跡は真っ直ぐに北上している、良かった、村には向かっていない

 最短でメイヤーナ領へと引き揚げたようだ

 迷ったが村に寄って行くことにする、補給が目的だ


七王国暦276年 炎熱季21日

 ディオニ村に到着、変わらぬ風景と顔に安堵する、メイヤーナ軍は南下の際にもこの村には来なかったようだ

 水食糧の補給と予備の革靴を確保できた

 妻と娘には敵領深くへの危険な任務である可能性は伏せ、仕事の途中でたまたま近くまで来たと言った

 娘は喜んだがあいつは泣いていた、伝わってしまったか

 この戦争が終わったら兵士を辞めて村へ帰ろう、きっと金貨もいっぱい貯まっているはずだ

 そしたら家族揃ってあの美しい王都に引っ越すのもいいかもしれない、あそこで衛兵として働いた経験が活かせると思う

 家族とずっと一緒にいられる仕事を見つけて#########################

 そうだ、王都はもう無いんだった、あいつらは逃げられただろうか、それとも帝国の兵士になっているんだろうか


七王国暦276年 炎熱季22日

 村の周囲に異常なし、再び軍の痕跡を追う


七王国暦276年 炎熱季23日

 特に無し、今日は兎を仕留めた


七王国暦276年 炎熱季24日

 特に無し、今日も兎を仕留めた


七王国暦276年 炎熱季25日

 見た事の無い鳥を発見、まだこの森にも俺の知らない生き物がいっぱいいるんだろう

 痕跡はまばらにあるも、特に無し


七王国暦276年 炎熱季26日

 斧を見つけた、刃の部分が大きい軍用の斧だ

 重量があるため記録だけしてこのままにしておく、重いから捨てられたのか?


七王国暦276年 炎熱季27日

 特に無し


七王国暦276年 炎熱季28日

 特に無し、昨日に引き続き獲物も見つからなかった

 干し肉も酒も水もそろそろ心許ない


七王国暦276年 炎熱季29日

 山肌の少し開けた場所に出た、方位問題無し

 乾いた土のおかげで大勢の足跡を確認、靴の形状も同じ物が多く、軍の移動跡で間違い無いだろう

 可能な限りこの痕跡を追いかけてみる

 酒に娘の好きな林檎を潰して入れてみた、これは素晴らしく美味い


七王国暦276年 炎熱季30日

 山中にて古い野営の跡を発見、多数の兵士の物と思われる墓を確認、別途資料を作成

 残されていた品から、昨季にスホータム砦に来襲し我々が撃退した、メイヤーナ王国のロドバン将軍の部隊と思われる

 多くの兵が故郷には帰れなかった模様、こうはなりたくないものだ…

 使えそうな布を少しいただき、痕跡を追って再び北上


七王国暦276年 炎熱季31日

 足跡が減っている気がする、痕跡はあるのに数が少ない

 死んだ兵士もあるだろうがおかしい

 落伍者が出ているか、脱走した兵士もいるのかもしれない


七王国暦276年 炎熱季32日

 メイヤーナ王国との国境付近に到達、恐らく今日の移動中にメイヤーナ側に入っているだろう

 引き続き山中を北上


七王国暦276年 炎熱季33日

 短剣の突き立った亡骸を発見

 服装も短剣もシーサックでは見ない意匠だ

 重傷の兵にとどめを刺したか、脱走者が処刑されたか、それとも仲間割れか…


七王国暦276年 炎熱季34日

 今日もいくつかの亡骸を確認、酷い状態だ

 獣に食べられたような跡もある、いったい軍はどうなってしまったのか


七王国暦276年 炎熱季35日


七王国暦276年 炎熱季36日

 書きたくない、憂鬱だ


七王国暦276年 炎熱季37日

 森の中で村人と思われる一団を確認、尾行する

 同日、メイヤーナ領内の村を発見、移動日数と方位からアルダガ村と思われる

 ・アルダガ村 人口はおおよそ300人 女が多い 男は徴兵されたか

  村の外周に広がる畑では多くの野菜が作られている、果樹園も確認、メイヤーナ王国軍への食糧供給地の可能性大

  一部に破壊された家屋や貯蔵庫あり、山賊か、軍の略奪か

  詳しくは報告書に


七王国暦276年 炎熱季38日

 村の見取り図を作成


七王国暦276年 炎熱季39日

 村を離れ再び北上、周囲の森や街道を調査して、軍の行方や野営地の有無を確認したい


七王国暦276年 炎熱季40日

 森の中に広がる沼地で水と様々な食べられる物を調達できた

 しかし自分の足跡がこれだけ残るのに、他の足跡は森の動物たちの物ばかりだ

 軍はどこへ向かったのか、村から西へ道らしきものが延びていた、あそこから北上をやめて西へ向かったのかもしれない

 戻るか、進むか


41日

 敵と遭遇


 森を移動中、突然矢を射かけられる、応急処置をするも血が滲み続ける

 弓兵1 恐らく熟練のレンジャー 撃ち返すも手応えなし



42日

 追跡を受けている!方位を失った




七王国暦276年 炎熱季43日(不正確)

 夜まで逃げ木々の隙間から見える星を頼りにおおよその方位を確認、南方へ撤退中

 ここまでの行動記録を別途作成

 恐らくあれから丸一日以上が経過

 血は止まったが傷口は悪化しているように見える

 帰りを待っている家族がいる、報告を待っている主がいる、怪我の痛みは治まらないがやるべきことをやる、ファイル様お守りください

 息は整った、足跡や気配は徹底的に消した、少なくともここ数時間は奴を見かけていない






         4

            4


                 奴

                    だ___




それは主への忠誠心と、愛する家族への想いを抱いて彷徨い続けた、とあるソウルキーパーの記録。

彼が残した心と愛が、やがて冷たい廃砦に温もりをもたらす、かもしれない…

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