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ハプニング!?

 「はあ~、疲れましたね~」

 「そうだな」


 無事にクツェルから借りている宿に辿り着くことができ、ヒトリアは帰るなりベッドにすかさずダイブした。


 「さっさとお風呂入って寝よう」

 「そうですね、剣二様先に入っていいですよ」

 「それじゃあ、遠慮なく」


 ヒトリアから入っていいとは言えなかった。

 今日は色々なことがありすぎて心も体も疲れ切っていた。

 シャワーを浴びながらお風呂を沸かし、溜まったタイミングでお風呂に浸かった。


 「はあー、疲れたー」

 「剣二様ジジイ臭いですね」


 今日はジジイ臭いと言われても構わない。

 それぐらい疲れたから・・・・ん?


 ちょっと待て。

 今誰かの声がしなかったか?


 振り返ってみると、お風呂場の扉を開けた肩と足が露わになっているヒトリアの姿があった。


 「なんで入ってきているんだ!?先にいいって言ったよな!?」

 「ええ、言いましたけど・・・?」

 「じゃあ、なんで入ってきているんだ?」

 「え?だから先に入っていいって・・・」

 「え?」


 彼女の考えていることが分からない。

 先に入っていいと言ったのにまさかの乱入イベント。

 状況がこれっぽっちも理解できない。


 「剣二様に先に入ってくださいと言いましたよね?」

 「ああ、言ったな。それでなぜヒトリアが入ってくるんだ?俺がまだ入っているのだが?」

 「剣二様がいないと意味ないじゃないですか」

 「全く理解できん・・・」


 この子は本当に何を言っているのだろうか。

 先に入れと言ったのに、俺がいないと意味がないってどういう・・・。

 俺はタイミング悪く、ここでピンときた。

 まさか、先に入って良いという意味合いは・・・。


 「先に入っていいてのは一緒に入るから先に入っていいってことだったのか!?」

 「そうに決まってるじゃないですか」

 「紛らわしいわ!俺は出るからヒトリアはゆっくりしていってくれ」

 「剣二様!」


 その場から逃げようとする俺に、後ろから抱くように逃走を阻むヒトリア。


 「ヒトリア離せ!」

 「嫌です!今日はお背中を洗ってあげると決めていたんです!」

 「勝手に決めるな!それより離せ!お前の胸が・・・」

 「胸?」


 ヒトリアが視線を落とすと、自分の胸が俺の背中に密着しているのが分かった。

 そんなことに気が付かないなんてどれだけ必死だったんだ。


 「ひゃあ!ご、ごめんなさい!」

 「お、おう・・・」


 その場に気まずい空気が流れる。

 それを打ち破ったのはヒトリアだった。


 「剣二様・・・お願いします・・・日頃お世話になっているのでお背中だけでも流させてください・・・」

 「御恩の返し方なんてそれ以外にも考えればあるだろ」

 「剣二様・・・」


 今にも泣き出しそうな顔をするヒトリアは、上遣いで俺を見つめ、無意識にやっているのかそれとも意識的にやっているのか胸の谷間を両腕で強調していた。

 どう考えても、狙っているようにしか見えない。

 こんな状況を断れる男は、ほとんどいないだろう。


 「ったく、仕方がないな。ほら、早く洗ってくれ」

 「は、はい!」


 お風呂場に置いてある椅子に腰かけ、喜ばし気に石鹸を泡立てるヒトリア。


 「言っておくが、今日だけだからな?」

 「分かりましたよー」

 「本当に分かっているのか?」

 「分かってますってー」


 どこか適当に返答しているような。

 そんな感じでようやく俺の背中を洗い出す。


 「・・・意外とうまいな」

 「ふふ、うまいって何ですか」

 「力加減というか手捌きというか」

 「ありがとうございます。それでは前もしますね」

 「はー、あい!?」


 今、前を洗うって言ったか?

 言ったな!

 それだけはダメだ!

 前には男の象徴の一物がある!


 「ヒトリアもういい!前は良いから!」

 「そうですか・・・」


 残念がるヒトリア。

 そんなに俺の一物を触りたかったのか?そんなに価値ないぞ?

 だが、ヒトリアの立ち直りは予想以上に早かった。


 「じゃあ、私の背中も洗ってくれますか?」

 「いや、それは自分で洗ってくれ」

 「ブー、ケチですね」


 いや、ケチとかそういう問題じゃないだろう。

 女性の体に触れたことのない俺には刺激が強かった。


 「悪いな、俺にはできないんだ」


 すると彼女は突如と泣き出してしまった。


 「グス、剣二様・・・ひどいです・・・私に魅力がないから・・・」

 「いや・・・そういうわけじゃ・・・」


 次の瞬間、わーんと泣き出してしまった。

 なぜか良心が痛む。

 ヒトリアは恩返したくて俺の背中を流したのだ。 

 俺が気負いする必要ない。

 なのになぜだ?

 女の子の涙が俺の心を容赦なく切り刻む。

 もう、折れるしかなかった。


 「ったく、分かったよ。少しだけだからな?」

 「本当ですか?」

 「ああ」

 「わーい!」


 先ほどの涙は何処に。

 ヒトリアと同じように石鹸で泡を立てる。


 「それじゃあ行くぞ」

 「はい、お願いします」


 華奢な肩。

 引き締まった腰回り。

 綺麗な肌にうなじ。

 だめだ、余計なことを考えないようにしよう。

 俺はゆっくりヒトリアの体に触れた。


 「きゃ」

 「大丈夫か?痛かったか?」

 「いえ、大丈夫です」


 彼女の顔が真っ赤だった。

 お風呂のせいか、それとも恥ずかしいのか。


 「やめてほしかったらやめるぞ?」

 「い、いえ!続けてください!」

 「お、おう」


 引き続きヒトリアの体を優しく洗っていく。


 「ん・・・んあ・・・」


 変な声を出すなよ。

 こっちまで意識してしまうだろ。

 ・・・その時だった。


 ボンッ


 一体が煙に覆われ、何も見えない。


 「ヒトリアどうした?」

 「剣二様ー」


 煙がだんだんと晴れていき、視界が良好になるとそこにはわ


 「ヒ、ヒトリア?」

 「すみませんー。幼女化してしまいましたー」

 「なんでだ!?」


 幼女化は魔法が尽きると起こる現象。

 幼女化したヒトリアの胸は言うまでもなくなかった。

 だが、なぜ幼女化してしまったのか。

 その理由は彼女自身の口から告げられた。


 「緊張して魔法を消耗していたようです」

 「・・・・・・不便な体だな」

 「そうですね・・・」


 とりあえず背中を一通り洗い、お風呂場を二人で出る。


 「剣二様、髪乾かしてください!」

 「ったく、幼女化した時だけだからな?」

 「それなら、毎日一緒に入りましょ?」

 「却下だ」


 ヒトリアの髪を乾かし、寝巻に着替えたところで彼女をベッドに俺は床で就寝したのだった。


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