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ハロー・グッドバイ

作者: 張村豊人

4月の中旬。桜が満開となり、ピカピカの新社会人、小学生がそれぞれの道を歩み始めた頃だ。春は曙、春眠暁を覚えず、という言葉どおり、ポカポカ日和が続くと思いきや、未だに夜中は真冬のように肌寒い。南国と言われる地元でも厚着をして、部屋に暖房をかけて過ごす者もいるぐらいだ。僕はというと、家の庭に置いてある椅子に座り、ぼんやりと星空を眺めていた。幸いなことに、まだ寒気は感じていない。

背中にもたれかかり、煙草の煙を口から吐き出すと、もくもくと蒸気機関車のように、まっすぐ空へと上っていく。ほんの微かな風に流され、煙はゆっくり消えた。時間が遥か彼方へ飛ばされるような、そんな感覚だ。


外はしんと静まり、無音な空間が広がっている。木の葉1つが辛うじて揺れるぐらい、そんな静寂な世界。もうすぐ1日が終わり、新しい1日へ移り変わろうとしている。こうして、また繰り返される日々。なんの特徴もない、平凡な生活。星空がゆっくりと地平線へ軌道を描きながら、違う景色を写し出す。明日もまた、同じような1日を送るのだろう。だがしかし、それもまた悪くないと、思う自分がいた。


時計は0時を刻む。腕時計がカチコチと無機質な音を鳴らし、新しい1日が動き出した。そろそろ部屋に戻ろう。椅子から立ち上がると、両手を真上に突きだし、うんと背伸びをする。ポキポキと背骨の鳴る音が響く。同時に、ヒンヤリとした空気が全体を覆うように流れてきた。なるほど、さすが夜中は冷える訳だ。先程より、徐々に風が強くなってきた。今夜は、暖かくして寝よう。玄関をピシャッと締め、部屋のライトを消す。一瞬のうちに暗闇へと変化し、視界が真っ黒になる。束の間の休息だったが、自分にとっては、唯一の欠かせないリラックスタイムだ。暗闇の一部と化した僕の1日は、こうして幕を閉じたのであった。


暗闇から薄い青色の空に移り変わる頃。外は相変わらず、真冬のように肌寒い。太陽が顔を出し、スズメがチュンチュンと、電信柱の上でダンスをしている。徐々に明るくなり、世界が目を覚ましていく。決してその1日が終わることはない。そう、ボクらの時代は、永遠に続いていくのだから。


こんばんは。春なのに、まだ肌寒い日々が続きますね。体調を崩さないように、気をつけていきましょう。



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― 新着の感想 ―
[一言] のんびりとした描写が心地よいです。
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