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銀色の風〜神様と異世界放浪〜  作者: ユマコスタリカル
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リスタート

思いつきで書いてます。ご了承ください。

 幸せな生活とは、爽やかな目覚めから始まると思う。暖かい太陽の光を少し眩しく思いながら身体を起こす。起き抜けに少し苦いコーヒーを飲みながら新聞を読む。朝食を食べながら今日は何をして過ごそうかななんてゆったりと寛ぎながら考えるのだ。

 そんな妄想とは裏腹に身体の痛みで目覚めあたりを見回す、周りは石でできた彫刻に囲まれており、何やら儀式が行われていたかのような円形の配置をしている。


「転生…したのか、ここどこだろ…?おっ!?声が違う!アッ!アー!ワレワレハウチュウジンダ!あーすごい!なんか変な感じだ。」

 

 神様のカウントダウンと共に転生できたようだ。声が変わっているため、聴き慣れない違和感と初めての体験に興奮する。周りに反射するものがなく、顔を確認することができないが、体格的には男子高校生くらいだろうか、第二次性徴を終えてゴツゴツとした身体つきになったものの、まだ未成熟だ。


 「やぁやぁ君よ、無事に転生できたようだね。」


どこからともなく神の声がする。


「そうみたいです。それで、転生した後についてはちゃんと説明してもらえるんですよね。」

「もちろん、指にはめてある指輪があるでしょ?ちょっとそれになんでも良いから念じてみてよ。」


先ほどは身体に夢中で気づかなかったが、左手の中指に銀色の指輪がはまっている。

 これに念じればいいのか、なんでもいいとは言うけど何にしようか…


(カレー食べたい)


 念じると目の前に透きとおったスクリーンが映し出される。あ、カレーでいけるんだと変なところに感心した。

 スクリーンには


名前:名無し 

レベル1 攻撃力:1 防御力:1俊敏性:1 魔力:1

スキル:状態異常無効 


とだけ書かれている。

 転生する前は様々なことが書かれていたのに今は2行しか記載されていないことに気づく。


「見れたかな?その指輪は優れものでね、どんなことを念じてもステータスが写しだされるんだけど、状況に応じて開かないこともできるんだ。レベルはゲームと同じで敵を倒すことはもちろん物を作ったりしても経験値として加算されていくよ。一定の経験値が貯まるとレベルアップする。それでステータスはどう?何も書かれてないでしょ、でも安心して、レベルに応じて解放されていくようにしたからさ、一応希望したことだけは最初から使えるようにしておいた。結構強力なスキルに調整しといたよ〜、サービスだぜ!」


状態異常無効が希望通りかについて少し疑問に思ったものの、伝え方がざっくりし過ぎていたこともあり自分にも非がある、あえて何も言わないでおこう。しかし、かなり強力であることは間違い無い。

 

「あと今更だけど君よ、名前が無いね。付けてあげようか。」


 そういえば名前が無かった。以前の世界とは決別するためにできれば新しい名前をつけたい。しかし、これといって良いものは思いつかなかった。ここは神様に任せよう。


「できれば、前の世界とは別の名前でお願いします。」

「最初からそのつもりだよ〜。じゃあ君はねぇ、今からカフネ。カフネっていう言葉は愛する人の髪に優しく指を通すことを言うんだよー。」


なんだかやたらと趣のある言葉が名前になったな。でもなんだか我が子を抱きしめている時のような優しい気持ちになる言葉だ。まぁ子供いたことないけど。


「…なんか良いですねそれ」

「でしょー?私が君をいつでも見守っているような暖かい言葉なのさ。あと、その敬語やめて、なんかやだ。距離置かれてるみたいでさ、もっと仲良くしようよ。」

「え?あ、はい…じゃないや、うんわかった。」


 え?なに、なんなの?俺に気があるの?その絶妙なめんどくささ自分に気がある女の距離感じゃんと女性経験の少ないカフネは思う。名前が無いと不便であることは明らかだったこと、意味が気に入ったこともあり受け入れる。


「代わりに私の名前も考えてね、最初適当に呼んでねとは言ったけど、やっぱりちゃんと名前欲しいし。」

「前はなんて呼ばれてたの?」

「前から名前なんて無かったなー、私は神であり全てだって言ったろう?私は概念みたいなもんなの。」

 

 カフネは困った。ネーミングセンスというものが以前の世界では皆無だったのだ。楽しむよりもクリアすることを目的としていたカフネはテレビゲームをプレイし、主人公に名前を付けるときは大概『あ』であり、ネーミングセンスを鍛える機会はなかったためである。


「…気に入らなくても怒らないでね。じゃあ神様は今からマリア。」

「マリア…うん、悪くない。じゃあ私はマリア!改めてよろしくカフネ。」

「うん、よろしくマリア。」


 見守ってくれると言われてとっさに思いついた聖母マリアのような優しいイメージだ。どうやら気に入ってくれたようだ。


「あ、ちなみに私もアドバイザーとして付いていくことにしたから。」

「それは心強い。でもこんな感じでずっと俺独り言言ってる危ない人みたいになっちゃう。」

「大丈夫」


 どこからともなく掌サイズの光の球が現れ顔の前で浮遊している。少しずつ人型になっていき、身長15センチほどの転生する前に会った白い人物になった。

 

「この状態だと他の人に見えないし、問題ないよ。」

「いや問題解決してないよ。」

「あー…まぁ良いじゃん。カフネは独り言多いヤバいやつで行こう。」

「えぇ…」


 困惑しながらもカフネは転生したばかりでこの世界のことを全く知らない。なし崩し的にマリアと共に歩んでいくしかないと決める。

 ステータスについてはなんとなく理解できた。次はこの世界についてだ。ここはどこでこれからどうしていくのか明確な目標を決めなくてはならない。


「ステータスについてはわかったよ。それでここはどこ?」

「ここはグランフォレストの中の朽ちた祭壇だよ。確か北に向かっていくと森を抜けて街道に出れるはずだよー。街道に出たら近くに小さな町があるからそこでいろいろ聞くといいよ。」

「え?マリアが教えてくれるんじゃないの?」

「うん、だってそれだと面白くないし、この小さい姿だと知識にロックがかかるみたいなんだ。だから、君に教えられることはもうあらかた話したよ。それに私の目的は君の人生の行く末を見守り楽しむこと、あまり干渉し過ぎると君が成長できないからね。」


 おいおい、神であるマリアがアドバイザーになってくれるって聞いていたから案外この人生ちょろいんじゃないかと思っていたけど簡単にはいかなそうだぞ。


「まぁ、大丈夫さ、この森に危険な生物はいなかったと思うしなんとかなるって!さぁとりあえず森を抜けよう!」

「…不安だ…」


 マリアとカフネの冒険が始まる。

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