56 お披露目
今回は年度末、新年度の忙しさの為に一話しか投稿できませんでした。
ここ数日はバタバタしてしまいそうです。
新たな首都の移住も一週間程で滞りなく終わり、遺跡に有った機能も全てこちらに移した。
残った遺跡については第二首都という位置付けで、首都陥落の際に生活拠点が移せるようにする為、城壁で囲っておいた。
首都の町並みは私の世界の様にしており、居住区の家屋は2階建て3LDKの一般的な民家でデザインされている。
この世界では石造りや木材での家屋が一般的らしく、RC造の家を見て皆驚いていた。特に全て庭付きと言うのが凄いらしく、貴族のような家だと喜んでいた。
また一番の生活の変化は見張りだろう。今までは魔獣の襲撃に備えて交代制で昼夜を問わず見張る必要があったが、強固な壁に囲まれている以上魔獣の心配は少ない。ただ、飛行する魔獣はその限りではないので、対空兵器としてセントリーガンを設置し、空からの魔獣も対応できるようにした。
その為見張りの労力としてはモニタールームで監視と報告をするくらいになったので、防衛隊から楽になったと喜ばれた。ちなみにこの監視については男性の獣人に頑張ってもらう為、ユーリとジョシュにが指導役となって教育してもらっている。
更に、交通事情についても首都内は自動運転の電気自動車を整備して広大な首都でもみんなが楽に移動できるようになっている。
そして私の住居なのだが、一国の代表として他国にその力を示す為にとにかく大きな建物をお願いされたので、国会議事堂の程近くに温泉旅行の様な2階建ての住居を作った。
ちなみに来賓をもてなす際には迎賓館を行政地に作ってあるので、親しい者しか私の家には案内しないだろう。
「やっと国としての体裁が取れる最低限は準備出来たな。あとは、評議国の商会から獣人が保護出来次第連絡がある。人口が1000人を越えた辺りで建国の宣言を世界に出そう。」
「分かったにゃん!待ち遠しいにゃ~!」
「蓮兄様、一緒に素晴らしい国にしていきましょう!」
「ふふふ、私達獣人の国が出来るなんてね~。」
みんな感慨深いのだろう、自分の想いを口にしていく。
今居るここは私の住居で、予想はしていたがミリアム、ルーシー、カレン、パメラ、メローラが一緒に住む事になっている。作る時にとにかく部屋はたくさん有った方が良いと言われたのはこれが理由だったようだ。
(異世界でハーレムなんて物語の中だけと思っていたのが懐かしい・・・色に溺れないように気を付けよう)
どうも彼女達の中では淑女協定が結ばれているのか、毎晩の相手は1人づつで、稀に複数で迫ってくるという素晴らしい生活を過ごしているというのはここだけの話しだ。
「では我が国の後ろ楯になる帝国の要人を招いてセリアンスロゥプ中立国の力をお披露目といこうか!」
「「「はい!」」」
・・・・・・・・・・・・・・・
お披露目当日。帝国からはエレノアと護衛の軍務大臣、近衛騎士数名を招いている。直接迎えに行くため親衛隊とオスプレイにて予定時刻に到着すると、城壁の門から少し離れた開けた場所に既にエレノア達が待ち構えるようにしていた。
「遅くなったかな?」
「構わぬよ。実際遅れた訳ではなく、妾が早く来ていただけじゃ。しかしこれが異世界の乗り物か・・・。報告は聞いていたが、実際に見てみると飛空艇とは全く違う外見なのだな。これが空をとんでもないスピードで飛んでおったのじゃから異世界の技術というものは凄まじいのぅ。」
丈が短めの赤いドレスに黒いファーを羽織りながらエレノアがオスプレイの感想を述べて来た。傾国の美女と言えるほどの美貌に生足が覗き、少しだけはだけた胸元から見える豊満な膨らみも相まって改めてエレノアの容姿を意識してしまう。
(ここ数日夜は充実していたのに・・・やはりミリアム達とは違った魅力に惹きつけられるのかな・・・)
「なんじゃ?そんなにじっと見つめて・・・」
しばらくエレノアを見つめていたら怪訝な表情をされてしまった。
「すまない、改めて見るとエレノアは美しいなと思って・・・」
「な、お主どうしたのじゃ!?そんなことを言うような可愛い性格ではなかったはず・・・。まさか評議国で洗脳でもされたのか!?」
「いやいや、評議国では連絡した通り満足いく内容だったよ。そうだな・・・多分建国の準備も整って余裕が出て来たのかもしれないね。国として他国からも承認が得られればおいそれと手を出してくることは無いだろうし、返り討ちにする用意もあるしね!」
「お主・・・嫌らしい笑みを浮かべるでない!本当に世界を征服しないか心配になるぞ!」
「ははは、さて行こうか!」
「・・・おい、否定せぬか!?」
焦るエレノアの背中を押してオスプレイに押し込み帝国を出発した。
・・・・・・・・・・・・
「な、なんじゃこれは!!こんな壁も建物も一体いつの間に作ったというのじゃ!?」
エレノアは興奮した様子で上空からの景色をオスプレイの窓から覗き込んでいた。随伴の大臣や護衛達も取り憑かれた様にじっと外を眺めていた。
人口の増加に伴って建物を増やしていく予定なので、首都の4分の3ほどはまだ更地のままだが、それでもその外壁に囲まれた中に見えるこの世界の建築様式とは異なった数々の建物を見るとそこだけは日本のような街並みになっている。
「つい先日作ったばかりですが、ここを首都としてセリアンスロゥプ中立国を発展させるつもりです。」
「せ、先日じゃと?・・・ははは、都市を僅か数日で・・・」
「大丈夫、私も自分で驚いている。」
驚愕の表情で苦笑いしているエレノアに、私も同じ気持ちだと伝える。
そして首都内の更地にオスプレイを着陸させ、電気自動車の自動運転にて行政地にある迎賓館に向かう最中もエレノア達は驚き通しだった。
「なんじゃこれは!?なんで勝手に動いておるのじゃ!?ぶつかってしまうぞ!」
「こういう乗り物だから心配しなくて大丈夫だよ。」
そんなこんなでエレノア一行は驚きすぎて疲れたのか、迎賓館についた頃にはぐったりしているようだった。そんな一行を出迎えたのは帝国皇帝付きメイドのシエラだった。
「お疲れ様でございます皇帝陛下。」
「うむ、久しぶりじゃなシエラ。元気そうで何よりじゃ。」
シエラとの簡単な挨拶も済ませ、迎賓館の玄関ホールへと入っていく。
「滞在中はこの館を自由に使ってもらって構わない。用事があればシエラが対応するから・・・疲れてるようだし少し休んでくれ。夕食は歓迎パーティーをするからまた呼びに来るよ。」
「そうじゃな、そうさせてもらおう。驚き過ぎて疲れたわ・・・」
「ではまたパーティでお会いしましょう。」
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side エレノア
「ではシエラよ、報告を聞こう。」
迎賓館から蓮達が去った後にエレノアはシエラにこれまで知り得た情報について報告を促す。
「はい。彼は評議国へ出発する前に領土内において何か施設を作っておりました。それはおそらく探知系の魔具ではないかと推測致します。」
「推測という事はそれがどんなものかは分からんということじゃな?」
シエラは首都を作る際に一緒に同行し、外壁を作った時に魔獣が外壁内に囲い込んでしまったことを彼はどんな手段を使ってか、数まで確認できていたようだった。今までは無人偵察機なるものを使って索敵していたが、あの時にはそれは無かった。つまり新しい手段でまるで空から地上を見ているように確認していたようだった。
「申し訳ありません。詳しい事までは・・・」
「分かった。他には?」
「評議国ではその道の百戦錬磨の商人たちを相手に手玉に取っていたという事です。おそらく召喚されるまでは元々そういった職業についていたのかもしれません。セリアンスロゥプの人口もあっという間に500人を超え、今後も世界中にある評議国の第六商会の息の掛った商会に居る獣人奴隷を集めるとのことです。」
「なるほどな。獣人奴隷が世界中にどの程度の数がいるか分からぬが、この国は相当の規模になるじゃろうな。・・・ところで、この首都を作るのに僅か数日というのは本当か?」
「はい。実際に私は同行して見ておりました。正確には半日で完成しておりました。細々《こまごま》とした家具等の搬入を考えてもこの規模の都市が2日もあればできてしまうという事です。」
「まったく・・・異次元の話じゃな。こうなってくると、あやつが害される可能性はぐっと少なくなってくるな。」
「・・・正直に言いますと私は彼に恭順した方が何不自由なく生活が出来るのではないかと思ってしまったほどです。」
「じゃろうな。この都市を見れば分かる、下手をすれば獣人の国は人間の国よりも高度な文明で経済的にも発展していきそうじゃが・・・」
エレノアはそこまで言って少し俯き考え込むような仕草を取った。
「・・・教国ですね?」
「そうじゃ、教会の教義では獣人の存在が認められていない以上必ずあの国は動いてくるはずじゃ。しかし、私は火乃宮 蓮という存在が負ける未来が見えぬのじゃ。」
「それを見据えての彼の正妃ということでしたね。」
「・・・さて、この世界はどう変わっていくかの・・・」
その美貌からかけ離れた諦めの境地のような表情をしながら、窓の外の青空を見上げたエレノアは大きなため息を無意識についていた。
次回更新予定は4月11日です。




