44 休息
今回も3話の連投ですのでよろしくお願いします。
リヴァイアサンを撃破した後に無人偵察機に搭載しているミサイルの残弾を全て魔獣の群れに叩き込んだが、やはり多少の撃ち漏らしは出てしまったので、あらかじめチームに分けて待機させていた獣人達にスマホで合図を送り、その後は掃討戦へと移行した。
魔獣の討伐もほぼ完了したころに、掃討チームの指揮をとっていた犬獣人のジェンナが私の元にやって来た。
「火乃宮様ご無事ですか?・・・こ、これは、ラリサ!?どうしてっ、一体何が!?」
取り乱したようなジェンナがラリサに駆け寄る。ラリサの遺体は既に岩から剥がして地面に寝かせてある。
「ラリサの遺体を丁重に遺跡まで運びたいんだが、出来るか?」
「え、あっ、はい。マリアさんに連絡して従魔のワイバーンを何匹か回してもらいます。その・・・、ラリサに何があったのですか?」
幾分落ち着いてきたジェンナの問いかけに何と答えようか口ごもってしまう。素直に悪魔に協力していたことを伝えるべきか、偶然の事故の様に話すべきか・・・ただ、ラリサの裏切りはカレン達が実際に目にしているので隠すのは難しい。
「マリア達を集めてそこで伝えよう。頼めるか?」
「わ、分かりました。」
・・・・・・・・・・
セリアンスロゥプ遺跡の一室。そこでは重苦しい空気の中にマリア、ミリアム、ジェンナ、ルーシー、カレンそして私がテーブルを囲んでいる。
みんなの視線は私に向いている。事情を知るカレンは私やみんなをきょろきょろと見ながら居心地悪そうにしていた。この会議にはパメラが参加したいと言っていたが、彼女では主観が入りすぎた発言をしそうな気がしたので、カレンが適任だろうと考えて同席させた。
「急に集まってくれてありがとう。現状報告を聞く限り掃討戦では重傷者は出たものの死人は居なかったとのことだが間違いないですか?」
重苦しい雰囲気の中私が口火を切る。するとマリアが返答する。
「はい、それで間違いございません。重傷者についても事前に火乃宮様が準備されていた回復の魔石で順次回復させておりますので大丈夫でしょう。ただラリサを除いて・・・」
「では、ラリサの身に何が起こったか私がわかる範囲ですが、お話しします。」
私は簡潔に、ラリサが悪魔に協力しており、おそらく魔具かなにかで私を動けなくさせたこと、悪魔が憑依しているリヴァイアサンのところまで連れていかれたことを話していった。
「そんな!ラリサは悪魔に操られていたという事ですか?」
ジェンナが驚きを露わに立ち上がり確認をしてくる。その疑問に答えたのは私を連れていく際に昏倒させられたカレンだった。
「あ、あの、多分ラリサさんは自分の意思で行動していた感じでした。」
「何でそんなことが分かるんだ!?」
ジェンナはラリサに対する思い入れが強いのだろう、声を大きくしてカレンを睨みつけた。
「そ、その、私たちを動けなくした後に獣人として生きることに満足している者には分からないと言われたから、何かラリサさんにはそうする目的があったのかなと・・・」
「・・・そう、・・・ラリサはまだ過去に・・・」
思い当たることがあるのかジェンナは静かに腰を下ろした。周りを見ると、みんなも何か理解しているような感じだった。
そして私はラリサの最後についての話をする。
「もう一つ伝えることがあります。・・・ラリサは私が殺したと言ってもいいでしょう。」
がたっと全員が席を立ちあがり一斉に鋭い視線を投げかける。その視線に私は真正面から見据える。
「それは~、ラリサが敵だったから殺したという事かしら~?」
「い、いくら何でも蓮様がそんな事する訳ないにゃんね?」
「・・・ご説明頂けるのですね?」
ルーシー、ミリアム、マリアが私の真意を確かめるように問いかける。
「私が次善の策として用意していた予備のレールガンによる砲撃とリヴァイアサンとの衝突によって生じた衝撃波に彼女は吹き飛ばされ、大きな岩に身体を打ち付けられたのが死因です。」
「何故回復の魔石を使われなかったのですか!?ラリサがあなたを裏切ったからですか?」
ジェンナが跳びかかる様に私に詰め寄ってきた。
「使おうとはしました、でも彼女はそれを望まなかったんだ・・・すまない。最後に彼女はみんなに感謝を伝えてほしいと・・・」
「ぐ、・・・ラリサはきっと戻れない・・・と思ったんですね。あなたを裏切り、カレン達にも手を出してしまったから・・・なにより過去に縛られているのに疲れたのかも・・・」
ジェンナの声は次第に小さくなっていき、俯いた顔でぼそぼそと口にしながらなにか納得したような感じだった。するとマリアが私にラリサについて少し語ってくれた。
「あの子は人間に対しての深い復讐心に取り憑かれていたのです。8年前ここに来た当初は二言目には復讐すると口にしていました。しかし、ここで過ごすうちに段々とその言葉も聞かなくなり笑顔が増えていったのですが・・・。たまに思い詰めた様に人間に復讐しなければと己に言い聞かせているようでもありました。」
「そうだったんですね。もしかするとそこには悪魔による何らかの能力が働いていたのかもしれません。」
人とは忘れる能力があるから生きていけると何かで聞いたことがある。この能力がなかったら、大半の人は苦しくなって生きて行くことが出来ない。哀しみの底に沈んでいても、その状況から逃れた後には徐々にその悲しみが消えて行き、時が解決してくれる。
「忘れる」という能力が無いと、人は成長もしないし生きていけない。
そしてラリサはここで8年もの間過ごしている。いくら辛い過去があったとしても、マリアの話やジェンナの態度を見るに過去の復讐のためにこの場所を捨てるのは考え難いものがあると感じる。
「そうかもしれません。そういう意味ではラリサは悪魔に操られていたのでしょうね・・・」
そう口にしたマリアの面持ちは悲痛な表情に満ちていた。
「それで~、これからどうするの~?」
沈痛な雰囲気に誰も喋れなくなっていた中で、ルーシーがどうするか聞いてきた。
「そうだね・・・。ラリサには私を守った末に死んだという事でここで弔ってやって欲しい。」
「蓮ちゃんはそれでいいの~?」
「良いも何もそうするしかないさ。今セリアンスロゥプのみんなの心を二分する訳にはいかない。」
ここでセリアンスロゥプのみんなにラリサの真実を告げるのはあまりにも不味い。その真実はお互いの心に疑心暗鬼を生んでしまうかもしれない。昨日まで笑い合っていた仲間が実は悪魔に協力しているかもしれない、などとなれば人数の少ないセリアンスロゥプは内部から崩壊してしまう。
「でもそれだと中にはあなたに不信感や忌避感を抱くものも出てくるかもしれないわよ~?」
「覚悟はしているさ。私も清廉潔白の聖者のような人間というわけでは無い。時には選択を誤るかもしれない。それについて批判されるのは仕方のないことだ。私の器が許す限りは受け止めてみせるよ。」
「そう・・・蓮ちゃんには迷惑をかけるわね~。」
「あ、あの、パメラさんたちはどうするんですか?」
場がまとまりかけていたところにカレンが、ラリサが裏切ったその場にいたパメラたちについてどうするか聞いてくる。
「あ~、私が説得するから何とかなる・・・なんとかしよう。」
パメラたちの私に向けるそれは宗教の教祖とかを超えてもはや自分たちの信じる神に対する信仰心じみた言動を感じるので、私を裏切ったラリサへ同じ仲間と言えど、周りにどんなことを言うのか心配してしまうほどだ。
・・・・・・・・・・・
話し合いの後、自室に戻ってベットにダイブする。
「は~、今日は色々ありすぎて疲れた・・・。」
ラリサの裏切りに始まり、悪魔の正体は我が兄。しかもその兄は私への恨みで10年も前から下準備をしている状況だ。更に言えば、後ろには兄を召喚した黒幕もいる。時系列のおかしさもあるが、ここは魔法がある世界だから私では考えられないような力があっても変ではない。
「そういう意味では私たち兄弟の事にラリサを巻き込んで死なせてしまった・・・。はぁ、上手くいかないものだな・・・」
その時扉がノックされルーシーとミリアム、ジェンナが顔を覗かせる。
「蓮ちゃ~ん、今良~い?」
ルーシーが私に時間があるか聞いてくる。
「えぇ、どうぞ。」
「ごめんね~、さっきの事でジェンナちゃんが謝りたいって~。」
そう言われてジェンナを見やると申し訳なさそうな顔をしていた。
「先程は無礼な言動をして申し訳ありませんでした!ラリサはここに来てからずっと一緒に育ってきた妹のような存在だったので、つい感情が抑えられなくて・・・」
「いや、気にしないで良いよ。ここのみんなは全員家族みたいなものだろう?大切な人を失う悲しみは分かっているつもりだよ。」
「・・・私はラリサの一番近くにいたのに、あの子の葛藤に気付けなかった・・・」
歯を食いしばり涙を流しながら自身の後悔を口にする。そんなジェンナの頭を撫でながら励ます。
「誰も人の心の内まで知ることは出来ないよ。特に親しい家族程言えないこともある。嫌われたくない、失望されたくないという想いもあったかもしれない。それに結果的には私に巻き込まれる形で命を落としている。恨むなら私を恨んで良い。」
そう言うと泣いているジェンナは私に抱き着いてくる。それを見ていたルーシーやミリアムも抱き着いてきた。
「ダメでしょ~蓮ちゃん、あなたは一人で抱え込み過ぎだって言ったでしょ~。」
「今回の事はラリサさんの葛藤に気付けなかった私たちのせいでもあるし、一番悪いのは悪魔にゃ。」
しばらくみんなで抱きしめ合っているとルーシーが心配そうな表情で私を見てきた。
「大丈夫蓮ちゃん?こういう経験をすると人の心は段々と削れて、やがて壊れてしまう人もいるから・・・」
「心配してくれてありがとう。でもそこまで柔な神経ではないよ。」
そう言うと、膨れっ面になったルーシーは私を担ぎ上げてベッドに投げ倒した。
「蓮ちゃん知ってる~?女には男の嘘なんて~簡単に見抜けるのよ~!いくら言っても一人で抱え込んじゃう悪い子には~教育的指導です~!」
私の服を脱がせながら、妖しい笑顔でルーシーが迫ってくる。
「え、あっ、ちょっと待って、み、みんなが」
「あら~いきなりみんなとしたいの~?仕方ないわね~、みんな~いらっしゃ~い。」
ルーシーがみんなに言うと服を脱ぎながらベットに近づいてくる。
「今はミリアムが忘れさせてあげるにゃん!」
「火乃宮様には色々迷惑をかけてしまったからな、私の身体で良ければ使ってくれ!」
ベットから天井を見ればそこには3人のタイプの違う美女達が肌色多めで迫ってくる。
しっかりと出るところが出ているルーシーにスタイルの良いスレンダーなミリアム、腹筋が割れているが意外と胸のあるジェンナ。
とりあえず今は身を任せようと静かに目を閉じ彼女達を受け入れた。
続きます。




