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転移者は異世界で笑う  作者: 黒蓮
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37 対悪魔会議

連投ラストです。

 エレノアの用件を済まし会議室に戻ってくると、心配したのかミリアムが駆け寄ってきた。


「大丈夫にゃ?何もされなかったかにゃ?」


「大丈夫だよ。」


「そうじゃぞ、人聞きの悪い。その男が妾を受け止める器が有るかどうか試しただけじゃ。・・・しかし、あんなに包容力があるとは思わなんだわ。」


顔を赤らめながら意味深に話すエレノアに過剰に反応したのは爆乳牛娘のカレンだった。


「はわわ、いくら結婚するからって、あったその日にもう・・・蓮様はそんなに手が早いなんて・・・心の準備が・・・」


1人ぶつぶつと呟き周りの注目を集めているのに気付くと慌てて顔を上げた。


「あっ、すいません。その、色々と考えたら・・・私で大丈夫かなと・・・」


真っ赤になりながら謝罪の言葉を口にするカレンにエレノアは笑いながら私に話しかけた。


「そなたの側室は少々純情じゅんじょう過ぎるのぅ。まだ手を出しておらぬのか?」


「そもそも彼女達は側室という訳ではないのですが。それにこの世界に来てのんびりした記憶も無いですし・・・。」


よくよく記憶を思い返すと、いつ過労で倒れてもおかしくないくらい働いているんじゃないかと思ってしまう。


「そうか、そんな中でさらに悪魔の対策会議をするのだから申し訳ないのぅ。」


「いえ、悪魔が率いている魔獣の討伐はこちらが約束したことですので。とりあえず帝国が掴んでいる情報を確認させてください。」


 そう言いながら先程までの会談で座っていた席に着き、帝国の大臣達から悪魔についての情報を貰う。


 現在帝国の把握している情報では、首都から約200キロ程セリアンスロゥプ方面に行くとセイリスという都市がある。そこは大きな運河が流れており、首都同様に水に溢れた美しい都市らしい。

 しかし水が豊かな場所だけあって水生魔獣が多く住み着いており、時折被害も出るため定期的に地方に配備されている守備隊が魔獣を狩り、治安維持をしていたが、最近はこれまで以上の強力な種族が確認されており、手に余る状態になりつつあるという事だ。


 そしてついには都市に住む娘たちが魔獣にさらわれる被害が出始めた為、悪魔が率いている可能性があり教国への救援要請を行ったとのことだった。


「今確認されている魔獣はケルピー、ヒュドラ、クラーケンそして問題はリヴァイアサンだ。ケルピーはそれほどの脅威ではないが、他の3種が凶悪なのだ。その大きさといい強さといい。それに戦闘では奴らは人間を水の中に引きずり込もうとしてくる、その為まず奴らを水からおびき出す必要もあって討伐難易度が高いのだ。その中でも先日確認の報告があったリヴァイアサンは最悪と言っていい。」


 軍務大臣が掴んでいる情報を伝えてくれる。その表情からは語られる魔獣の強大さがうかがい知れるものがあった。

まず帝国がどのようにその魔獣と戦うのかの確認をする。


「帝国ではどのように水からおびき出しているのですか?」


「奴らは人間の血に敏感でな。事前に兵士達から血を採取し、水辺から離れた陸地に撒いておくのだ。」


 相手の好物を使っておびき出す、まるで漁の様だった。ただその餌が人間の血というのは気持ちの良いものではない。


「なるほど。それでどの程度の数がいるのですか?」


「正直にいうと正確には計れておらん。なにせ奴らの住処は水の中の為潜られてしまうと分からんのだ。あくまで推定だがケルピー300、ヒュドラ50、クラーケン10、リヴァイアサン1と見ている。」


「蓮よ、正直に言おう、リヴァイアサンが確認されるまでは帝国の兵力で多少の被害は出ようが、何とかなる程度じゃった。そなたを教国に要請したのはあくまで策謀の一環でのことじゃ。しかしリヴァイアサンは1体で都市・・・いや、国を壊滅させる力を持っておる。討伐にも帝国の総力を集結させてようやく希望がある程度じゃ。それがクラーケンやヒュドラを従えているとなると帝国の存亡も危ぶまれる状況なのじゃ。」


「つまり陛下は先の会談の目的には、私に魔獣の討伐をさせる事にあったと?」


「ふっ、数ある目的の一つだな。さすがに他の都市の守備隊も全て集めて奴らと戦うわけにもいかん。しかしそれでは戦力が絶望的に足りない。そこでオーラスト王国での武功を上げたそなたという訳じゃ。そなたなら造作もなかろう?」


 先の会談では悪魔の侵攻についてそれほど深刻である印象を抱かせないようにし、私の武力を当て込んで討伐してしまおうと考えていたという訳か。こちらの目的も達しているしその程度は許容範囲だが、帝国の存続が危ぶまれるほどの魔獣とはどの程度の強さだというのだろうか。


(いや、それでも人間の力で倒せる程度なら兵器を使えば問題ないだろう。)


 本来はどの国でも魔獣を倒すのに兵力を集結させて、数の力でもって強大な相手にも対処できるのだろう。しかし私が作り出す現代兵器はその数の力を無意味だと言わんばかりの威力がある。


「おそらく問題ないですね。とはいえ敵の情報は一応集めなければなりませんから各魔獣の特徴などを知りたいのですが。」


そう言うと軍務大臣が今回の魔獣の特徴について教えてくれた。


「それはもっともだな。ではまずケルピーからだがーーー」


 軍務大臣の話では、ケルピーとは水辺に生息する馬のような魔獣で、体格は馬よりも2回り大きいほど。性格は獰猛どうもうで人間の内蔵以外を食べるらしい。ただ、戦闘能力としてはある程度腕の立つ兵士であれば一人で対処可能だという。


 ヒュドラについては別名水蛇とも呼ばれ、大きさは5~8メートルで3つの頭があり驚くべき再生能力が有るとのこと。また、猛毒が恐ろしく、ヒュドラの毒を含んだ息を吸っただけで人が死ぬほどなので、毒対策は必須である。ヒュドラに対しては10人程で囲み、3つの頭を同時に落とすことで討伐出来るらしい。


 クラーケンは巨大なタコのような魔獣で、全長10~15メートル。一度その長い足に掴まれると身体中の骨を砕かれ、成すすべなく食べられてしまうという。その大きさゆえ、20人ほどで対処する必要がある。弱点は目の間の眉間にある。


 そしてリヴァイアサンはもはや別格で、全長50メートル以上。口から吐く水流は地形を変えるほど強力で、しかも体を覆う鱗は殆どの攻撃を受け付けないほど強靭だという。

過去の文献から一国の戦力のほとんどを費やして何とか撃退したらしく、殺すことは出来なかったらしい。



「なるほど、しかしリヴァイアサンだけは倒し方が分からないという事ですね?」


一通り魔獣の話を聞くと、リヴァイアサンだけは情報が少なかった。


「そうだ。過去に出現した例も少なく、倒せたという記録もない。もはや天災と言われる存在だ。」


そんな存在を私なら倒せると思っている口調で話す帝国の期待は大きなものだった。


「分かりました。魔獣討伐については一週間後を目処に準備に入ります。必要物資として城下街で少し調達したいのですが?」


「ほぅ、それほど早く整うのか。資金については帝国である程度面倒を見るから後で請求してくれ。」


経済大臣が資金について援助してくれると申し出てくれたので、ありがたく受けておく。


「では他に確認したいことはあるか?」


軍務大臣が最後の確認事項とばかりに尋ねてくる。


「魔獣討伐前日にセイリスにて拠点を構えたいのでその許可と、今回の討伐について帝国の力は借りませんが、連絡要員が欲しいのですが?」


「拠点を構えることについてはセイリスに連絡しておくので問題ない。連絡要員《《程度》》については妾のメイドにその任に就かせる、よいな?」


 私を含め周囲の大臣達にも言い含めるかのようにエレノアが伝えてきた。

情報伝達の重要性を考えれば、大臣達の困惑も理解できるが、おそらくエレノアの子供をセリアンスロゥプに移す際に、シエラと私が接触しても違和感がないようにしたいという彼女の考えからなのかもしれない。

 そしてエレノアを擁護するように宰相が口を開く。


「陛下の腹心であるシエラを使われるのですかな?」


「そうじゃ。情報の真偽は時に国を左右するものじゃ。妾の元に来るまでに情報が歪められる事も無いとは言えん。シエラは妾と長く共にしておる腹心であり、最も信頼厚い人物だからじゃ。」


「左様でございましたな。では連絡要員はシエラであれば陛下も安心でございましょう。」


 おそらく宰相はエレノアの子供の事を承知しているのだろう。その上でエレノアにとって有利になるように動いているということであれば、エレノアにとっては彼も信用に足る人物なのかもしれない。


「分かりました。連絡はシエラという人物にすれば良いのですね。後ほどご紹介願います。」


「もちろんじゃ。後でこちらに来るように計らっておこう。」


 エレノアの意を察した私の言葉に彼女はにたりと笑いながら話したのだった。

次回更新予定は2月22日です。


またよろしくお願いいたします。

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