表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転移者は異世界で笑う  作者: 黒蓮
23/61

22 ギルクローネ帝国へ

連続投稿8話目です。

 獣人地区を見た翌日、クロスティーナからギルクローネ帝国の救援要請を聞かされた。

今はまだオーラスト王国のような摩獣の大集団は確認されていないが、運河に程近い町から水性摩獣が女性をさらっている事が確認されているとのことだ。


「そういったわけで明日にも帝国へ向けて出発しなければなりません。」


「分かりました。ちなみにクロスティーナさんから見てギルクローネ帝国とはどの様な国ですか?」


「そうですね、良くも悪くも実力第一主義です。才能があれば裕福な生活を、無ければ物乞いのような生活だと聞き及んでいます。」


「クロスティーナさんは帝国に行ったことは無いんですか?」


「ええ、帝国は力が全てで教会の教えには反発があるらしく、信者の方もほかの国と比べたらかなり少ないですので。それに私は聖女として帝国に行くだけで教えを広める厄介者のような扱いですから。」


「今回の訪問は大丈夫なのですか?」


「ふふっ、救援要請にアスタルト教国の象徴たる聖女がおもむくのはなにも不思議ではないでしょう?」


「それはそうですね。では準備をしておきます。」


「火乃宮様、皇帝には気を付けてくださいね。きっとどんな手を使ってでも火乃宮様を取り込みに動きますから・・・。」


真剣な表情でこちらを見つめ警告を促してきた。

しかしこの警告は別の事を要因として現実の物になってしまう。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 明日の帝国行きに備えて身の安全のための準備を考える。


「遠距離戦は強いが、接近されたら対処が難しくなる。暗殺も考慮して防刃や対物の装備を考えよう。」


 私の世界に無い魔法について考慮もしなければならない。

魔法書によれば6つの魔法はそれぞれ、火・風・水・土・光・闇、ここから考えられる力としてはそれぞれ、熱・風圧・水圧・圧力・過剰回復・意識誘導が攻撃手段ということだ。


 過剰回復とは、この世界の回復の概念は傷口の細胞を活性化させ細胞分裂をうながして治したり、免疫力を活性化して病気を治しているらしい。

これを過剰に促すと、細胞が無尽蔵に増殖してしまったり、免疫の過剰反応のアナフィラキシーショックに似た症状を引き起こし相手を殺傷することも可能だ。


「アナフィラキシーの対処が難しいな。重度の場合はアドレナリンの筋肉注射だけどやりたくはないな。」


 この世界における光魔法の最高峰はクロスティーナということなので敵にまわるとこの上なく厄介そうだと考えられる。


「闇魔法は対抗する魔具があるとして、耐熱・耐水・耐圧・防刃・対衝撃などの機能を持つ装備を1つに纏めたもの・・・ロボットに乗って戦うか・・・」


あり得ない考えについ自虐的な笑みがこぼれてしまう。

そもそも、そんなロボットの知識もデータも無いし、仮に作れたとしても暗殺などの突発的な状況には対処出来ないので意味がない。


「耐熱と防刃装備なら服の下に着られるけど、耐圧や対衝撃になるとかさ張り過ぎて常に着ていられないしどうするかな・・・」


全ての耐性を漏れなく1つの装備に集約することは困難だ。かといって、突発的な状況では着替えている暇なんてないだろう。


 

 思考に煮詰まってきたので新しく獲得した能力の確認をしてみる。

中身が白紙の本を作り、あの封印された本と同じにできるかやってみる。


(とりあえず鎖の封印で誰も開けられないようにして、あの合言葉で開くイメージを・・・)


 少しすると創造の能力と同じように脳裏に本が鎖で十字になっているイメージが浮かび、解除条件指定のメッセージが浮かんできたが、『現在の能力では30分で自動解除されます』となっていた。

 とりあえずそのまま万物封印を使うと、本がぼんやり輝き次の瞬間には封印されたあの本のような外見となった。


「よし、出来た。任意に解除できないのが難点だけど、面白いな。あとは鎖でないといけないのか、どんなものでも出来るのかやってみよう。」


 続いてベットに半透明のバリアをイメージした封印に挑戦する。

すると、脳裏に『現在の能力では対象が大きすぎます』とメッセージが浮かんだ。


「大きいものはダメか。じゃあ椅子位はどうだ。」


次に椅子に対して同じイメージを向けると、鎖ではなくきちんと半透明なバリアが薄く膜を張っているような封印ができた。


「なるほど、鎖でなくても大丈夫だな。あとは強度を確かめるか。」


ナイフを作りだし椅子目掛けて振り下ろすと、弾かれたようにバリアを基点として反発した。

続けて数分間椅子を壊そうと振り回すとピシリという音と共にバリアが砕けてしまった。


「今の能力では完全に封印する事は出来ないか。」


 あの本は500年経過しているのに全く劣化もしていなかったことから、対象物の状態も封印していると考えれる。となると・・・


「今は使い勝手が悪いけど、服に万物封印を付与すれば万能防護服の出来上がりだ!」



さっそく普段着用と儀礼用のスーツの素材をセラミッククロスファイバーとアラミド繊維を内側に織り込んだイメージで作り出す。


「これで突発的な刃物や炎を使った攻撃はある程度防げる。その隙に封印を発動出来ればなんとかなりそうだ。あとは回復の魔石を付けたブレスレットをいつも身に付けておけば一先ず安心だな。」


ただ服に対して発動することはできたが難点があった。


「う、動けない。」


状態も封印してしまうという事は自分自身では動けないという事になってしまうらしい。


「上着だけ封印するとかでないと移動不可能だな。今後色々検証していこう。」



 身を守る術の準備ができたところで帝国の事や、これからの事に考えを向ける。


(あのミサイルの威力を見せつけてしまったからには今後どの国へ赴いても囲い込もうとされるだろう・・・。)


 この世界共通の敵である悪魔を消滅した時、各国がどう動くかは私の世界の歴史を考えても各国の戦争という2文字が浮かぶ。特に数百年規模で悪魔に抑制されていた征服欲が一気に溢れ出しかねないと考えることが出来る。


「巻き込まれたくないが、私が一番その中心になりそうだ・・・。とにかく帝国では皇帝と適度な距離感で付き合っていけるように努力しよう。」


心の準備も整えて明日、ギルクローネ帝国へと赴く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ