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逃避
束の間の安堵でなれけば良いと願いながら、視線を車窓から私自身の手元に移して、指先を眺めていた。記憶は身体に関することは残っていたようで、自分の手であり足であると思えた。身長の感覚も変わっていないと思う。外套も靴も、私は驚くべき状態だった。私は軍服のような外套で、編上げ長靴を履いている。両想いになれないと後味の悪い結末を迎えるゲームのヒロインのことを思い出した。彼女とハッピーエンドになるために私は努力したことを懐かしく想う。その努力は報われて、私は彼女を崇拝させられる身となった。しかしどうして私が彼女になってしまったのか。なれるわけない。第一彼女は……!それなのに彼女みたいになってるんだ…。まぁ、全然良くない。どうしようもないから。でもあれこれといった理由があって、彼女はやはりヒロインであって、シンプルに彼女にはならないわね、など気味の悪いことを考えていると、ふと、先程の不安な問が浮かんでしまい、私自身のこともこの鉄道の行き先も不安ばかり感じて、言葉にできない何かを思う。
私も旅人。
ALTER EGO




