七話 主人公は強くなる。
誤字は気にしないでください。
「あーづがれだー!」
僕は自分の部屋のベッドで火照った体を冷やすようにごろごろしている。
「あの後浴場で日菜さんを見ないように日菜さんを他の人の視線から守るっていうのがすごい辛かった。てかみんな日菜さんのおっぱい見すぎだろ!分かる、分かるよ!?あの大きさは気になるよな。男性も女性もみんな見てたもんな!」
あの男共のギラギラした視線と女性達の視線で精神が削れまくったよ。
「それも辛かったけど一番辛いのは僕が滑って日菜さんのタオルを掴んじゃってコケたことだよ!裸は見ちゃったわコケた時にタオルが濡れて僕の股間のフォルムが露わになっちゃったわで死ぬかと思ったよ。あー記憶から消したい。あのフーカちゃんと知らない人達の苦笑いと日菜さんのニヤニヤしてる顔はすごく記憶から消したい。」
あーこんな時にゲームとかあれば現実逃避できるのに。現実逃避したい。
「ん?現実、現実逃避なら出来るかな?マキナの所に行けばいいんだよ。マキナに言いたいこともあるし。ちょうど良いかな?」
今はみんな寝室に別れたところだ。ちょうど良いだろうし。
「善は急げ、だね。」
僕は少し冷えた体にフーカちゃんに貰った服を来て着心地を確かめたあと。『アイテムボックス』を開く。
「よし、『開け』。」
僕がそう唱えると、目の前に楕円形のポータルが開く。僕は直感的にマキナの所に通じていると理解した。
「よし、ダイナミック現実逃避しに行こう。」
僕がその楕円形のポータル的なのを通ったあと、部屋には誰もいなくなった。
「おお、よく来たな。待っておったぞ。」
見渡す限りの白い空間にひとつの教会と一人の少女がいた。これはマキナがいた空間と一緒だ。
「ん?…マキナ、ってことは転移成功した?」
「うむ、わしが創ったのじゃから成功するに決まっておる。して、何をしに来た?」
マキナの近くのテーブルにお菓子と紅茶が見える。ティータイム?こんな夜中に?それとそこの二人は誰だ?
「それもそうなんですけど、マキナの隣に居る二柱は誰ですか?神様ですよね?」
こんな変な場所にいるのなんて神様くらいだろう。
そんなことを考えていたらマキナにデコピンを食らってしまった。めっちゃ痛い。
「こら!こんな変な場所とはなんじゃ!撤回せよ!」
心が読めるんだった。これは考えたらダメだったな。反省しよう。
「ご、ごめんなさい。そういう意味じゃないんです!えっとえっとあの、いい意味で変な場所ってことで、いやもちろんここは綺麗だし光も気持ちよくていいですよ?でもこんな空間にこられそうなのってマキナと同じ神様かそれくらい強い人かなって考えちゃっただけなんです!」
僕が言い訳をしまくっていると。マキナの呆れたと言わんばかりのため息が聞こえた。
「呆れたと言わんばかりではない。呆れとるんじゃよ。」
「うふふ、可愛いじゃないですか。」
その人は金髪に金色の瞳をこちらにむけていた。僕は見たい気持ちがあったがずっと見ては行けない気がして、少し目を逸らした。
「言い訳するより謝った方が遥かに人間は成長する、だから私の姉さんに謝った方がいいぞ!人間!」
僕に注意を投げかけてくれる人は深緑色の髪に緑色の瞳でこっちを見ていた。姉さんってことはこの神様がマキナの義妹なのかな?
「ほら、奏よ、自己紹介しないか、このまましないと、人間と呼ばれ続けることになるぞ。」
「え!?じゃ、じゃあ僕、僕の名前は鞘森 奏です。マキナには死んだところを助けていただいたので恩返しが出来ればと思っています。」
マキナがぱちぱちと軽い拍手をする。僕が自己紹介を
終えるとさっきの金髪の神様がティーカップを置いて立ち上がる。
「私の名前はシェーン。美を司る神をやっております。マキナが急に神威を抑えろって言うから何かと思ったら、こんなに可愛い男の子を黙ってるなんて、なんで言わなかったのよ?」
ぷりぷりと怒りながらシェーンさんはマキナを見つめている。僕はシェーンさんの身体に視線を吸い寄せられる。その綺麗なプロポーションはさすが神と言ったところだ。服はマキナがお姫様みたいな服だとしたら、古代ローマとかにありそうな布を巻き付けたような服装をしている。
「シェーンよ、あまり長くこやつを魅了してやるな。まだ耐性がないからな。」
腰から足までのラインは現実じゃありえないほどの完璧なラインで、モデル体型みたいだ。そしておっぱいもすっごくある訳ではなく物凄く理想的な形をしている。失礼なのは分かっているが目を離すことが出来ない。
「あらあら、すみません。そんなつもりはなかったのですが。ところで奏くんは私の身体はどう思いますか?あなたの好みに合いそうな姿にしてみたのですが?」
「……当てはまる言葉が僕にはありません。それ程に、綺麗でした。」
そう赤面しながら僕は喋る。長時間見たらいけないという気持ちと、もっと見たいという好奇心と戦いながら。
「か」
「か?どうかしましたか、シェーンさん?」
僕は首を傾げてシェーンの瞳を見る、さっきよりは見れるようになった。多分僕が大丈夫なように加減してくれたんだろう。シェーンさんを見ていると、瞬きをした瞬間目の前にシェーンさんが居た。僕はそのまま抵抗虚しく抱きつかれてしまった。
「可愛いじゃないですか!マキナ、この子を少し私に貸してくださいませんか!この子、磨けば光りますよ!あ、そうだ!奏くん私の天国で一緒に働きませんか?ああでも、人間だとダメか。あ、それなら奏くん、あなたに加護を授けましょう!加護!これであなたが死んでも直ぐに私の所に来れますよ!あ、クッキー食べます?美味しいですよ!」
「あ、ありがとうございます。貰います。」
お、押しが強い。さっきは綺麗なお姉さんって印象だったけど急にお母さん味が強くなった。あ、クッキー美味しい。やっぱりクッキーはサクサクもいいけどしっとりしたのも美味しいな。
『シェーンの加護を入手しました。シェーンの加護により、魅了(改造)LvMAXを入手しました。』
シェーンの加護…美の神シェーンの加護。美しければ美しいほど攻撃力があがる。レベルが上がる度に美しくなる。
魅了…このスキルはLvが上がれば上がるほど相手を魅了させることが出来る。このスキルはシェーンによりオンオフすることが出来ない。
「なんやねんこれ……は!こ、こんなに凄いものを貰っても良かったんですか!?」
異世界はなんでもありだと思ってたけどこんなにほいほい強い加護をもらえてよかったのか?流石に僕の声は震えている。
「ハッハッハ、驚くのはまだ早いぞ?グランディール、お主、確か開発中のスキルがあるのう?」
「姉さんなんでそのことを!?」
グランディールと言われたもう一柱の神は軽くティーカップの中の紅茶を吹き出す。なんの神様なんだろ?
「グランディールよ、加護とついでにそのスキルもこやつに与えよ。試験してみたいとおもっておったのじゃろ?」
「で、でも普通の人間に神の私が直接授けるなんて…」
「あら?マキナもこの子に加護を与えているのにグランディール、あなたは加護のひとつも与えないというの?」
シェーンさんがグランディールの横で囁いている。さっきまでこっちにいたのにどうやって移動したんだ?
「で、でも、私、成長の神グランディール、森羅万象全ての成長を見守るもの。その私が一人に優遇するなんてことは…」
ん?その言い方だと相当すごい位の神様っぽいんだけど?
「あ、あの別に嫌なr「大丈夫じゃ、任せておけ。」
親指を立てて悪そうな笑みを浮かべてるマキナも可愛い…じゃなくて。何をする気なんだ?マキナは僕の隣にいたのに次の瞬間、グランディールの横にいた。
「お固いのうグランディールは、手違いでこやつを殺してしまったのはどこのどいつじゃったかのー?」
「う、そ…それは私だが…」
「お主がそんなに加護を与えるのは嫌じゃったか、すまんすまん、嫌ならやらなくても良いぞ、ただ、ご褒美に一緒に遊んでやろうかなと思ったのじゃが…いやなに、嫌なら仕方ない。いやーざんねんじゃなーグランディールとあそんでみたかったんじゃがー。」
「むむ…仕方ない、姉さんの遊びには替えられない。おい!奏といったか?お前に特別に!特例として!加護と出来たてほやほやのスキルをやろう。」
チョロすぎて心配だ、この神様。
『グランディールの加護を入手しました。スキル手加減を入手しました。』
僕の死亡したことよりマキナの遊びの方が決定的な一撃だったみたいだ。なんか複雑…まあいいや、この加護はどんなんだろ。
グランディールの加護…この加護を授かったものは取得経験値量があがる。一日に1回だけ、死ぬ攻撃を受けてもHPを1で耐える。
手加減…このスキルにはレベルは無い。相手を殺したくないと思うと、その相手はどんな攻撃を受けてもHPが1から減らなくなる。しかし、その後に殺したいと思うと蓄積したダメージが命中し、相手は死ぬ。
「つよ…急に僕強くなるな。慢心しちゃうぞこれ。」
「これだけ加護があるのにゴブリンに殴られて死んだりしたらさすがに怒るぞ。」
もしかしてマキナ、ゴブリンの戦い見てたのか。てゆーか僕ゴブリンキングの腕輪付けてるし、見たらわかるのかな?あ、マキナの加護見てなかったや。見てみるか。
デウス・エクス・マキナの加護…戦闘中にあらゆるボーナスがかかる。戦闘になると冷静になり、痛みが軽減される。
これも結構やばい加護だな。加護かこれ?もはやのろ…いや、考えたらダメだな。もらって困るものでもない。これがなかったら死んでたんだから。あ、そうだこれで思い出した。
「マキナ。」
「なんじゃ?」
多分マキナは僕が言おうとしてることは分かっているんだろう。思考が読めるから。でも、聞こうとしている。僕の決意がどれくらいか分かりたいんだろう。思考は読めても心は分からないだろうから。
「僕に、知識をください。」
「して、その心は?」
「僕は守りたいものがある。それを守るために。」
「いや、違うな。もう一度問おう、その心は。」
「僕には倒したい相手がいる、だから。」
「違う。」
本当に僕の思考が読めてるんだな。これを言っても教えてくれるかは分からない。どちらかと言えば無理だろう。だから言いたくなかったんだけど…
「ぼくは、僕は弱い。ゴブリン程度に腕を折られかけた。その時に一番最初に思ったことは痛みよりも先に、怒りが来た。弱い僕に、僕より強いゴブリンに嫉妬し、落胆した。僕はこの程度かと、加護なんて凄いものを貰って慢心していた。その後に来た子供達の方がゴブリンより強かった。でも僕はそのゴブリンに負けかけた。僕はその子を倒すビジョンが全く見えなかった。」
「つまり?」
マキナが催促してくる。ちょっとカッコイイこと言って取り繕ってるのがバレてたみたいだ。僕はチラリとシェーンさんとグランディールを見ると2人ともこっちを見ている。二人共静かに聞きどけるつもりだ。
「つまり何が言いたいかと言うと。強くなりたい。自分が自分らしく、楽しく、可笑しく、遊べるように、いずれ来る、脅威のために、いずれ来る、妹を護る為に、そして、全ては自分のために。」
僕は砲台を生成し花火を放つ。花火は大きく爆発し、綺麗な花を咲かせ、そして儚く散った。
「僕の二度目の人生だ、できるだけやりたいことをやる。そのために僕はこのスキルで、この力で彩り、爆破し、破砕する。そしてそれをする為に僕はマキナの知識が欲しい。改めて、僕に生き残るための知識をください、お願いします。」
言いたいことは言った…まあこれが無理でも最悪どうにかなるけどさ。
「…ハハ、ハッハッハ、フハハハハハハ!!!」
笑い三段活用、こんな所で見られるとは。
「合格じゃ。」
「え?」
「合格、と言っておる。お主らはどうじゃ?」
マキナは後ろにいる二柱の神に聞いているみたいだ。
「まあ、人間らしいと言えば。及第点と言ったところかと。」
「人間は嘘をつく生き物だ。だが、嘘をつかないのもまた成長だ。私の加護を授けただけはある。」
「じ、じゃあ!」
僕は期待を込めた目でマキナを見上げる。
「お主に我の知識を与えよう。ちょうどわしも使ってみたいスキルがあったのじゃ。実験体になってもらうが、いいじゃろ?」
元からそれくらいなら覚悟はしていた。でも…
「痛いのは嫌ですよ?」
「ハッハッハ!わしのスキルで直接は死なんから安心せい。」
「直接ってことは間接的にはしぬんですか!?」
それでもやべぇよ。
「まあまあ落ち着け、死ぬのなんて一回も十回も一緒じゃ。」
「落ち着けませんよ〜。」
「仲良いわね、二人とも。」
「ぐぬぬ、私の姉さんと仲良くしおって、私もやりたい!」
グランディールがこっちに突っ込んできた。
「あぶねえ!」
僕は間一髪のところで避けた。ん?避けれた。なんで?まさか…とマキナの方を見ると、ドヤ顔でこっちを見ていた。
「そう、それが我の与えたスキルの一つ、『戦術』じゃ!もう一つ便利なのを与えておる。スマホでステータスを見てみよ。」
あ、そういえば全然見てなかったな。見てみるか。僕はステータスと唱えて発動した。
鞘森 奏(15)Lv5
体力 200 ◁
気力 200 ◁
スタミナ 250 ◁
魔力 1200 ◁
天力 1200 ◁
運 2000 ◁
称号
主人公
装備品
白色の服一式
ゴブリンキングの腕輪 ◁
魔法のナイフ ◁
バフ
デウス・エクス・マキナの加護 ◁
シェーンの加護 ◁
グランディールの加護 ◁
主人公の加護 ◁
スキル
アイテムボックス(改造)LvMAX ◁
花火Lv2 ◁
魅了LvMAX ◁
手加減Lv-- ◁
戦術Lv-- ◁
念話LvMAX ◁
ん?見たことない加護がある。称号もだ。主人公?僕が?まあ客観的に見て、神様三人から加護を貰ってLvがこんなに低いのにLvMAXのスキルが三個もあるとか。やばいなこれは。とりあえず主人公の加護を見ておこう。ついでにマキナの貰ったスキルも見よう。
主人公の加護…主人公。全てのステータスに補正。主人公らしくなる。
え?説明が少ない。もう少し欲しいんですけど。はぁ…仕方ない。自分にプラスに働くみたいだし、まあいいかな。
念話…魔力を消費して心の声を相手に届ける魔法。Lvが高ければ高いほど消費量が減り、通信距離が増加する。
戦術…マキナが創造したスキル。相手の戦闘技術を吸収し、己の糧にすることが出来る。レベル制限はないから無限に戦闘知識を積むことが出来るぞ!感謝するが良い!だが弱点として身体自体は強化されない。
このスキルも強いなぁ。ここまで強いと体が逆についていけないぞ。
「………奏よ、どうだ?」
「あ、え、ええ、このスキル強すぎて凄くチートな感じが否めない…」
「大丈夫だお主もじきなれるじゃろう、さて、まずはどの知識を与えたらいいのかのう。奏よ、どれが良い?なんでも良いぞ。」
「あ、あのう、それより時間とかって大丈夫かな?結構たってると思うんだけど。」
寝る時間あるかこれ?
「なんじゃそんな事か、大丈夫じゃ、この空間は二柱の神に作ってもらった特別性の空間。そういうかと思って現実の時間とこの空間の時間は違う。」
「つまり?」
僕は催促した。さっきの真似だ。
「つまり、ここで時間をくった所で、現実ではそれ程時間は立っておらん。」
それは有難いな。それならここで修行とかにはもってこいだ。
「ほう?お主結構かんがいいのう。そうじゃ、お主にはここで毎夜修行してもらう。正確には、夢の中でな。」
「?、つまり肉体は現実世界に置いたまま精神だけ、こっちに持ってくることが出来る、と?」
「お主ほんとに鋭いのう。そうじゃ。お主が寝た瞬間こっちの方にお主の精神だけ、召喚させてもらう。もちろん、現実の方で何かあればこっちにも連絡が届くでな。問題は無い。だが肉体的に疲れることは無い。精神的に疲れることはあっても、わしが回復させてやれるしの。」
便利だね。
「それでさっきの話だが。」
「ええと、何の知識が欲しいか、ですか?」
うーん。今すぐに欲しい知識かー。やっぱり戦闘関連とかかなー魔法は検討がついてるからいいし、地理とかは図書館に行けばいいしなぁ。あ、そういえば…
「マキナ、試して見たいことがあるからマキナが知ってる中で一番回復力が高い魔術を見せてくれない?」
「ふむ、魔法ではなく魔術とな、お主の考えてることでおよそ検討はつくが、まあ良い。ほれ、神級魔法『全治全快』これが我の知りうる中で最強の回復魔法じゃ。正確にはお主でも使えるように、少し弄ってあるがな。」
「何をやろうとしている?奏よ。」
グランディールが首をかしげながらこっちを見る。その時、空間の天井に物凄く大きな魔法陣が描かれた。ここまでは予想通り、だけどこの後だ。僕はステータスを見る時に出したスマホを構え、魔法陣をカメラで撮る。フォルダの中には言わずもがな魔法陣の写真がある。
「お、成功したようじゃの。お主がこれからやろうとしてることは写真の中の魔法陣は発動するのか?試すのじゃろ?」
マキナは天井の魔法陣を消しながら、こっちのスマホを覗き込んできた。
「やっぱりなんでもお見通しなんですね。」
「まあ我は現時点で一番最強の神じゃからな。お主の考えてること程度、手に取るように分かるわ。」
マキナそんな強かったんだ。まあそんなことより、魔法陣が発動するか見てみるか。
「どうやったら発動するのかなぁ?」
僕は写真を弄ってみる。しばらくそうすると、写真の中の魔法陣が輝き出した。よく見ると、右上の充電がものすごい速度で減っていき、そして0%になった瞬間、さっきの魔法陣と全く一緒のものが現れた。魔法陣は天井に行き、しとしとと雨が降り始めた。
「雨…?」
魔法陣から雨が降り注ぐ、普通の雨ではなく、優しい光の雨、僕は手元のスマホに取られた魔力が回復しているのが分かった。
「この魔法の効果は広域に渡る全回復。魔力も、体力も、部位欠損等のありとあらゆるデバフの無効化じゃ。だがこの魔方陣は使用者の全魔力を使用するので使ったものは必ず昏倒する。使い勝手の悪い魔術だったのじゃが。それをお主は……面白い使い方をするのう。」
「よっしゃー!成功した!」
奏は神級魔法『全治全快』を取得した。頭の中でそう考えながら僕は喜んだ。
「じゃあ次は戦闘の知識を授けようかな。ほれ、この中から武器を使うと良い。」
マキナが指を鳴らすとどこから現れたのか、あらゆる武器が地面に突き刺さった。
「じゃあ、大剣…は重いし、太刀…は技術が足りない。双剣も難しい。」
双剣を軽く振って見たけど、両腕で違う動きができる気がしない。多分自分の腕切っちゃうぞこれ。じゃあこれしかない、かな?
「ほう、片手剣と盾か、比較的使いやすいのを選んだな。じゃあ相手は……そうじゃな。グランディール!お主が相手してやれ。同じ武器でな。」
「分かった!姉さん!」
グランディールは立ち上がり、地面に置いてある片手剣と盾を掴む。
「フィールドも作っておくかの。」
マキナがまた指を鳴らすと地面が少しせり上がった。決戦のバトルフィールドの完成だ。僕とグランディールは段差を上り、フィールドの上に立つ。
「姉さん、やる分にはいいんだが手加減しても、何回も死んでしまうと思うのだが。」
「構わん構わん。お主のスキルなら奏もそう簡単には死なんじゃろ。まあ死んでも蘇生は出来るしの。ほれ、奏よ。お主の勝利条件はグランディールの攻撃を耐えることじゃ。やり返しても問題ないぞ。」
「問題しかないするんですけど!あと僕はグランさんを傷つけたくありません!」
僕は自分に危害を加えてくる化け物は殺せたけど生きてる女の人はどうか分からない。ちなみにグランディールは長いからグランに省略した。
「私を傷つけられるとは到底思わんがな。まあ…」
僕は首に刃が来るのを避けようとして、首に傷を負った。まともに受けたら危なかったけど、降り注いでいる雨の効果で僕の痛みは直ぐになくなった。
「死ぬ気でやらないと、死んでしまうぞ。」
描きたい場面が書けたので満足です。