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異世界を花火で攻略だ?  作者: きょんきょん
12/13

十二話 この石、食べれる!?

遅れてすいませんでしたー!


ナルカは今、青白い雷光を纏いながら森の中を駆け抜けていた。


『はぁ、後ろからご主人様の音が聞こえませんね、何か爆発音はしましたけど…これはもうダメですかね?』


ナルカは自分の主人を噛み殺す未来を想像して、少しよそ見をする。


『あんなに()()ご主人様は今まで初めてですね。食べたらどんな味がするんでしょう?……っとと、危ない危ない。余所見厳禁ですね。さて、そろそろですから、ここら辺で止まりますかね。相手は川の近くですか、こちらは風下なのでまだ大丈夫でしょう。』


少しづつスピードを落とし、そして止まる。そうすると空中から何かの音がする。


『ん?何の音……ってまさかご主人様!?』


ご主人様が落下してる!?まさか、空中から来るなんて。無謀というかなんというか。


「おわぁぁぁ!!やばいやばいやばい!?死にたくない死にたくない痛いのは嫌だー!」


僕は空中でバタバタとしている。戦闘じゃないと、あの時みたいに痛みが鈍くならないのもあるが、単純に痛いのが嫌いだからだ。


『ったく!世話のやけるご主人様ですね!ふっ!』


ナルカがこちらに飛んで来た。10メートル位あるのによく飛んでこれたね。凄いな。


『ご主人様、私に捕まって下さい。』


「う、うん。」


僕がガシッと掴むとナルカは空中で回転してそのまま近くの木の枝にぶつかっていった。まあまあ痛い。擦り傷ってなんか痛いから嫌いなんだよね。あとナルカの電撃で少し火傷してしまった。痛てぇ。


「いたた、ありがと。ナルカ。」


『私がもう少し成長しておっきくなったら背中に乗せたまま着地とか出来たんですけどね。すみません。』


「いやいや、着地とか考えてなかった僕が悪いよ。怪我はない?ちょっと見せて。」


『いや、大丈夫ですよ。』


ナルカの足には少し血が滲んでいて、近くの毛を赤く彩っている。痛い筈なのにそんな素振りは無かったから気づかなかった。


「え!?足怪我してるじゃん!ダメだよ、ちゃんと怪我してるなら言わないと。」


『なーに言ってるんですか、これくらい普通ですから、ほら、こうやって舐めとけばすぐ治りますよ。』


ナルカはぺろぺろと器用に後ろ足を舐めている。念話で会話していたから忘れていたけどナルカは頭がいいただの狼だったね。怪我を治療する概念がそもそもないのか…


「ナルカ、ちゃんと怪我したら言ってね、ご主人様からの命令だから、…………ところでまだ僕ご主人様、だよね?」


『うーん、まあ、ギリギリって所ですかね。ご主人様?』


「はぁ、良かった。取り敢えず僕の怪我とナルカの怪我を一先ず直そうか。よし、スマホ出して、『全治全快』発動。」


僕はスマホの写真を弄り、発動させた。スマホの充電(MPだから充魔か?)が急速に減り、0%になると、スマホが霧散し、魔法陣が空に出現する。僕の手元にはMP0%と書かれたスマホがある。


「あ〜この感覚苦手なんだよな。気持ち悪い。」


僕はポーションの時とは比較にならない速度で魔力が減っている感覚がする。軽く車酔いした時の感覚だ。スマホは僕の魔力を吸い取り、もう1%になっている。その時、空中の魔法陣から雨が降る。普通の雨ではない、優しい光の雨だ。


『ご主人様はこれのことを言ってたんですね、凄い…今まで見た中でここまでの回復魔術を見たことがありません!』


「僕もこれ以上は見たことがないよ…これ、綺麗だね。」


僕の火傷の傷もみるみる治っていく、現実だったら医療業界から引っ張りだこだね。


『……ご主人様、もしかしてこれ、体力だけじゃなく魔力も回復してるんですか!?』


「そうだね、普通は回復しないものなの?」


『しませんよ!魔力を回復する時は『瞑想』などをして、魔力を集めることに集中しないと出来ません。例外もありますけど。』


僕の魔力が少しづつ回復している感覚がする。まあスマホに片っ端から取られてるから僕の魔力が全回復するのは少し先だろう。


『もう全部治りました!』


「そうだ、この魔法陣もう少し小さくしたいんだけど、イメージでどうにかなるかな?」


小さくなれ小さくなれ。あともう少し高度が低くなってくれー。その位置だとデカすぎて王都に見えちゃうし僕以外の魔物も回復しちゃう。


「あ、小さくは出来たね、じゃああとはこっちに来るかな。僕の頭の上ぐらいの高さで十分なんだけど。」


そうすると、ものすごい速度でこっちに突っ込んで来た。


『は!?ご主人様ご主人様、なんか魔法陣がこっち来てます!ぶつかるぶつかる!』


「待て待て待って、止まって止まって!!」


魔法陣は少しづつ減速し、僕の頭の少し上で雨を降らしている。


「イメージの仕方が悪いとあんな凄い速度でこっち来るんだね、覚えとこ。」


今は魔法陣がふわりと漂いながら僕の頭の上で雨を降らしている。傍から見たら嫌がらせ食らってるみたいだ。


『魔力操作がLvMAXになりました。』


「あ、レベルアップした…そう言えば加護も発動しっぱなしだったね。こまめに切らないと。……てゆうか、こんな時のポーションだったね、忘れてた。」


そのせいで僕は暫くさっきの雨は使えなさそうだ。


『そうですね……!ご主人様、まだ発動しといてください。私達が騒いだせいでワイルドウルフがこっちに来ました。』


何かがものすごい速度でこっちに来る。木々の間をすり抜け、周りを取り囲む様に動いている様だ。ナルカはグルルゥと威嚇をしている。


「あーこれって僕のせいだね、ナルカごめんね?」


『いえ、私達二人のせいです。来ます!』


木の陰から茶色の狼が飛び出してきた。数は三匹と少ないが、油断はできない。口から出ている涎が僕達を餌としてしか見ていないのが分かる。少し怖い。


「あ!野生のワイルドウルフが飛び出してきた!いけ、ナルカ!」


『ふざけてるご主人様はそれとして、『ラピッドサンダー』』


ナルカが青白い雷を纏うと、残像を残しながら敵から距離を置く。


『私の活躍、見ていて下さいね?』


ナルカがワイルドウルフと僕がいる方向に大きく口を開き、口の奥から青白い雷光がバチバチと鳴り響く。少しづつ輝きが強くなっている。レールガンか?


「待って待って逃げるから!よし、『人間砲弾』発射!」


僕は真上に砲台を向け、発射する。ワイルドウルフ達はナルカの移動と僕の行動に驚き、狼狽えて動けていないようだ。


「撃ってもいいよー!!」


『分かりました、行きます!!『グロームカノン』!!』


ワイルドウルフ達は今更逃げようとしていた。ナルカの身体中の電気が一層膨れ上がり青白い光線が直線上にいたワイルドウルフを感電死させる。そのままナルカが首を曲げると光線は曲がり、扇状に辺りを破壊した。僕が着地すると、狼達は炭化していることが分かった。


「加護解除っと……うへぇ、気持ち悪い匂いがする。」


『え、美味しそうな匂いじゃありませんか?まあご主人様がそう言うなら私は端っこの方でこのワイルドウルフ達を処理しときますね。』


ナルカは炭化した狼達を更地と化した森の隅に引きずって行き、美味しそうに食べている。うわぁ。


「やっぱり戦ってないと気持ち悪いとか、痛いとかの感覚は軽減されないんだね。それ見てたら気分が悪いもん。よく食べれるね。」


『酷くないですかご主人様、これでも女の子ですよ私は。女の子に対して気分が悪いとか言ってはいけません。』


「いや、ナルカは狼なんだからどちらかと言ったら雌の方があってるでしょ。人間じゃないんだし。」


『いやぁ、それはどうですかね。狼の見た目なだけで人間かもしれないですよ?』


「いや、ないでしょ……ん?なんか聞こえない?」


『ええ、この狼達の親がこちらに来ますね。あっ、ご主人様はいこれ、魔石です。』


もう食べたの!?早いなぁ、ご飯代足りるかな?とりあえずこれはアイテムボックスに仕舞っておこう。


「あ、ああ、ありがとね。ところで、親ってもしかしてあれ?」


前方の森からどこからかゴゴゴゴゴと聞こえそうなくらい大きい狼が来た。その狼はさっきのワイルドウルフを大量に引き連れ、こっちに来ている。やばい、この量はまともに喰らったら死ぬ。そんなので死にたくない。


「もう痛いのはいやだ!加護発動!」


『デウス・エクス・マキナの加護が発動しました。』

『シェーンの加護が発動しました。』

『グランディールの加護が発動しました。』

『主人公の加護が発動しました。』


「『強化魔法』も発動。ないよりはマシだからやっておこう。」


『強化魔法がLv2に到達しました。』


今の状況のレベルアップは有難い。取り敢えず相手のステータスでも確認しよう。充電は85%だから、全治全快はまだ暫く発動出来ないな。


「『ステータス』」


ワイルドウルフキング(53)Lv37

体力 500 ◁

気力 500 ◁

スタミナ 750 ◁

魔力 200 ◁

運 120 ◁

称号

ワイルドウルフの主 ◁

バフ

統べる者 ◁

スキル

命令Lv5 ◁

身体強化Lv3 ◁



命令…自分の命令に従わせるスキル、Lvが高いほど、相手が従いやすくなる。



「ナルカよりは弱いのか、まだ有難い。」


『私より弱くても量は多いですよ。』


「大丈夫大丈夫、どうにかなるさってね。ナルカも手伝ってくれるでしょ?」


『いえ?私は離れて見ておきます。これもテストです。』


「そっか…良し!覚悟完了!じゃあナルカは離れて見ててね。爆発するから。『人間砲弾』発射ぁ!」


僕はワイルドウルフの大群が来る前に空中に逃げる。そして僕はワイルドウルフを取り囲むように砲台を設置し、その上に飛び乗った。


「僕が好きなゲームの真似だけど、成功して良かった。」


僕は深呼吸をして狼達を見つめる。狼達は取り囲まれたのを察知して隙間から脱出しようと試みるが、それをしようとした狼達は近くの砲台からでてきた花火によって爆散した。狼達が驚いている今がチャンスだ!


「僕の声を聞け!全砲門、用意!!弾を込めよ、僕が許す!究極の爆裂を持って生命の輝きを見せるがいい!大地を焦がすは僕の力!全砲門、ファイアー!」


口に出して言うとこれはだいぶ恥ずかしい。でも威力は抜群なはずだ。ドーム状に囲まれた砲台からの一斉射撃、ワイルドウルフキングは身体がでかいからさぞ当たりやすいだろう。


「そして、『起爆』!」


僕が右手を握ると同時に辺りが閃光に包まれ、ドームの中は爆煙に包まれた。暫く経ったあと、声が聞こえなくなったので、死体を確認することにした。


「……もう聞こえないよね?ぐちゃぐちゃの死体とかあったらどうしよう。と、とりあえず確認はしようかな。」


砲台から滑り降りて確認すると、一匹だけ生き残っていた。ワイルドウルフキングのようだ。


「まだ生きてたんだ。もしかして花火の爆発ってもしかして威力そんなにないのかな?」


『ご主人様、あの立っているやつにトドメを刺してもいいですか?』


「うん、いいよ。」


僕は予め目を逸らしておく。ナルカが狼のお腹とか貪ってるところなんか見たら普通だったら倒れちゃいそうだし。


『よし、では…ってあらら?』


トドメを刺しに行こうとすると、様子がおかしい、フラフラと歩いたあと、パタリと倒れてしまった。


『ご主人様、死んでしまいました。』


『経験値を取得しました。肉体のLvが7Lvに到達しました。ステータスの鑑定の精度を上昇しました。』


「うん、ちゃんと死んだみたいだね。先食べてもいいよ?」


ワイルドウルフキング以外の姿は見えなくなっていた。魔石が転がってるし魔石にでもなったんだろう。肉片が散らばってないから、ゴブリンキングの時みたいに光になったのかな。


『わーい!!美味しいです!』


ナルカががぶがぶと肉を食べているのを遠目に見つつ、飛び散った魔石を回収する。そうしているとナルカが大声(念話)で叫んでいる。


『まだ消えないはずなのに!?ああ、私のお肉が消えるー!』


『加護により経験値が増加しました。肉体のLvが8Lvに到達しました。』


「光になった……もしかして加護の効果ってこれか。」


僕はワイルドウルフキングの魔石も回収して嘆息する。それと、グランディールの加護の効果は何となく分かった。


『ご主人様の仕業なんですか!私のご飯無くなっちゃったんですけど!?』


「それは済まないけど、さっきのまだ消えないはずなのにってどういうこと?」


『はぁ……?あのですね、魔物って言うのは死んだ後、一定時間が経ってから光のように消えてしまうんです。例外もありますけど、今回は消えるのが早すぎます。普通はもう少し遅いんですよ?』


「へぇ?そんなのあるんだね。知らなかったよ。」


『(常識だと思ってたんですけどねぇ?ご主人様が知らないとは……は!ご主人様は狩りもしたことが無い人なのか!?)』


そう考えたら僕の加護とスキルはあんまり向いていないのかもしれない。剥ぎ取る前に加護のせいで消えてしまうし、スキルを使ったら魔石やアイテム以外が回収出来ない。すっごく面倒な加護だね。


「まぁ、僕がトドメを刺さなければ大丈夫かもしれないから、何回か試そうよ。」


『はい…私のお肉……』


僕の後ろをとぼとぼと着いてきてくれるナルカのお腹もいっぱいにさせてあげたいな。













さっきのことからしばらく経った。あることが分かった。どうやら僕がトドメを刺さなければ大丈夫らしい。頭に当てて爆発させるとすぐに死んでしまうので爆発させずに弾を当てるだけや、足や地面を爆発させたら攻撃しないようにしている。


「当てた場所によって経験値の量が変わってたから、アシストしても経験値が入るのかな?そうだといいな。」


『スキル『花火』のLvが3Lvに上昇しました。』


スキルのレベルは上がったし良かった良かった。後で効果も確認しとくか。


「魔石もいっぱいあるし。売ればいい金額になりそうだね。」


もちろんワイルドウルフキングの魔石は売らないけど。ああいうボス系のアイテムはなんか売りたくないんだよね。倒した証拠として持っておきたいみたいな。本当は毛皮とかが欲しかったんだけどね。


『そう言えばご主人様、この森に来てなにかするみたいなことを言っていませんでしたか?』


「あ、そうだった。これこれ、『未完成の天魔石』だったっけ?」


僕はアイテムボックスからポーションの瓶を取り出す。


『そう、それです。残りは外で〜とか言ってましたよね?』


「魔力か天力を込めると何かが起きる、って書いてあるからね、試してみたかったんだけど、あの時結構込めても駄目だったんだよね。ナルカ、この後帰るだけだよね?」


『はい、この後は戦闘せずに帰りますけど……?』


「よし、じゃあ帰る分以外全ての魔力と天力を注ぎ込んで見るかな。中に注入するイメージ…」


瓶の中が光り出した。まだ入れ続ける。


「イメージ…」


輝きが朧気なものから少しずつ蛍光灯並の光になって行く。


「うぅ、なんか吸われまくってる感覚がする。」


瓶の中の黒色の魔力水がみるみる輝きが強くなる。これ以上は目視するのが辛くなってきた。瞼を閉じていても明るく感じる。


「おっとっと。」


僕は力が抜けて立てなくなった。でも入れ続ける、気にせず入れ続ける。何かがもう少しで出来そうな感覚がする。暫く経ったあと、光が収まった。


「はぁ…成功した…はぁ…のかな?」


『凄い輝きでしたね、私は途中から見れませんでした。』


パリンと瓶が割れる音がした後、僕の手のひらの上には丸いマーブル色の玉、のようなものが一つだけ、ポツンとあった。


「え?ポーションの液体は?」


『ご主人様、こういう時こそ鑑定です!』


「あ、そっか。『ステータス』」



天魔石…魔力を貯めておく性質と、天力を貯めておく性質がある。液体に触れると貯蓄している天力と魔力を放出する。



「へぇ、電池みたいだね。」


魔力とか天力をチャージしておける玉か、液体に触れたらってことはどの液体でもいいのかな?


『でんちとは何ですか?』


「えっとね、うーん、これくらいのサイズで、ナルカの電撃をいつでも作り出せるもの、かな?」


なんだろ、電気エネルギーを生み出す装置?でも説明がしづらいなぁ…


『そうなんですか!?私の得意技を使えるなんて……しかもいつでも…』


「ま、まあ似たような感じ?この天魔石は魔力とか、天力とかを貯める性質があるんだってさ。」


何かに例えようとして余計ややこしくなってしまった。


『ああ!思い出しました!天魔石ですよね?それ。確か私のおじいちゃんが首元に付けていたような気がします。ご主人様、それ舐めてみてください。』


「えぇ?このマーブル色の石を?駄目駄目絶対不味いよこんなの舐めたら。」


元ポーションだとしてもこれは抵抗がある。試しにさっき舐めたあの苦いポーションの味がしても嫌だしね。


『いやいや、それって確か舐めるとそこから魔力が溢れて来るはずなんですよ。おじいちゃんが舐めながら説明してくれました。大丈夫ですから。』


「ほんとに?」


『本当です。』


「不味くない?」


『それは…保証しかねますけど…多分大丈夫ですよ!ほらほら飴とでも思えば!』


「天魔、(せき)なんだけど……ええい、ままよ!」


僕は天魔石を口の中に入れ、飴のように口内で転がした。


『ご主人様、どうでした?美味しい……です…か?』


「………この石…ミルクとチョコの味がする。まあまあ美味しいよ。」


しかもさっきまでの脱力感がみるみる回復していってる感じがする。癒されるー。飴好きなんだよね。


『それ、おじいちゃんが言うには普段はそれを持っておいて、緊急時に溜め込んでた魔力を使うらしいです。おじいちゃんはその天魔石を肌身離さず持ち歩いてたんでその時に貯めてたんでしょう。』


「便利だね、僕も緊急時に使うことにするよ。その日の使わない魔力はここに溜め込んでおいて。天力は今のところ使い道がないので全て注入しとくか。」


僕は口から出した天魔石を無くさないようにリュックの中に入っていた小さめの皮袋に入れておいた。近くの川で洗ったら魔力が溢れて少し焦らされた。魔力が今はほとんどないので無くさないようにちゃんと乾燥させておこう。


『さて、そろそろ日も暮れそうなんで帰りましょうか。』


「そうだね。」


『競走します?』


「え…もしかしてそれもテスト?」


『いや?』


ナルカは首を左右に振り、テストでは無いことを教えてくれた。


「じゃあやらないでもいいかな?疲れたし歩いて帰ろうよ。」


『それもそうですね。あ、あの、ご主人様?』


「なに?頼み事?」


『似たようなものなんですけど、あの、頭を、撫でてくださいますか?いえあの、今回私最初にグロームカノンで三匹倒しましたし、その後も何回か倒しましたので、褒美というかなんというか、あっ無理なら無理で大丈夫なんですけど。あっ……』


僕がナルカの頭を撫でるとナルカは気持ちよさそうに目を閉じる。


「それくらいいつでもいいよ?ナルカがやって欲しいって思ったらいつでもいいし。何なら僕もナルカを撫でたかったから言ってくれたら嬉しいなーなんて。」


何時もなら噛み殺すとか脅迫紛いのセリフを言ってるナルカもここは狼なんだね。あれ?そもそも狼って人に懐いたっけな?……まぁ、何でもいいか。


『!っじゃあ、やって欲しい時に言いますので、やらなかったら、噛みますよ!』


「じゃあ、僕は噛まれたくないからナルカが言った時に絶対撫でないとねー。あーふわふわしてる。アレルギーなくて良かったってつくづく思うよ。」


『ご主人様、あれるぎーって何ですか?』


「そっか、それもわかんないのか。えっとねー……」


僕はナルカと一緒にゆっくり歩きながら王都に向かう。多分この速度じゃ夜になっちゃうかな?


次の話から文字数を減らして貰います、すいません。

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