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異世界を花火で攻略だ?  作者: きょんきょん
11/13

十一話 ポーション作りは案外難しい


「さてと、まずはどこに行こっかな?」


僕は無事、ナルカを買うことが出来た。気絶していた店員さんを起こした後、急にナルカが懐いているのに吃驚していたみたいだが、安くしてくれるという約束は守ってくれたので僕は気にしない。


「また魅了させなくていいのは楽だな。」


『ご主人様、何か言いました?』


「いや、何も…って念話してないのになんで僕の言葉がわかるの?」


『ああ、これは契約した時の恩恵ですね。相手の考えてることが伝わりやすくなるんですよ。』


伝わりやすいってレベルではなさそうだけどまあいいや。


「取り敢えず、現状確認だね。今日僕がするのは、日用品を買うことと、ナルカにご飯あげること、あっ、門番の所も行かないとだね、あとは時間が余ってたら少し外に魔物狩りとか?」


『ご主人様、魔物なら私に狩らせて下さい。私の雷撃をお見せしますよ!』


「それ、僕も魔物狩りに参加しないといけないよね…?」


『当然です。私より弱かったら噛み殺しますからね?』


ふふんとドヤ顔をしている…ように見える。どうやらどういう気持ちなのかも少しは分かるようだな。牙が見えて少し怖い。


「まあ、あんまり期待されても困るけどね。まずは日用品だね。買いに行こっか?」


『はい!』


うーん、周りの人達は僕と狼が会話していても何も思わないのか?もしかしたら念話以外にも会話する方法がありそうだね。


「あ、その前に加護は解除…されてるね。良かった。」


『どうしたんです?ご主人様。』


「ああいや、僕の加護は長時間発動してると疲れてきちゃうんだよね。これ、戦闘以外にはあまり使えないな…」


加護が普通の人より多いからか?僕が読んだ本によると加護は神の祝福だそうだけど。これは欠点も確かにある。


「神の祝福かぁ、まあ、一つだけデメリットがなさそうな祝福もあるけど、こっちの方も怖いよなぁ。」


無料ほど怖いものはない、確かにそうだね。そう考えたら他の祝福はデメリットが提示されているから安心なのかな?


「例えばマキナは戦闘時の感情と痛覚の抑制、シェーンは相手が気絶するほどの美貌、グランディールは…まだ分かんないな。経験値が増えるだけでは無さそうだけど…そして主人公の加護、これが分かんない。主人公らしくなる見たいだけど。そもそも主人公ってどの系統の主人公?王道?テンプレ?シリアス?それともアクション?わかんないな〜まあなんでもいっか、主人公に代わりはないでしょ。」


僕がぶつぶつと呟いていると、僕を読んでいる声が聞こえた。


『ご主人様!』


「え?なに?」


『ご主人様、着きましたよ?何か考えていた感じですけど、どうしました?』


「…そっか、何となく分かるんだったね。」


ナルカは心配しているようだ。まあふらふらしていてあぶないからかな。


「…よし!日用品買うかなー。割引されたからお金もまだあるし。」


僕の目の前には木造の建築物があった。正直に言うとここから見える王都ぐらいしか石材建築はないんじゃないか?いや、図書館は所々石材でできてたか。僕が扉を開けると、カランコロンと、よくある音がする。ファミチキください。


「いらっしゃいませー!」


店の奥から快活な返事を受けながら僕は商品棚を巡る。文字は読めるが用途が分からないものが多い。全部店員さんに聞くか。


「すいません、これってなんですか?」


「はいはーい!」


お店の奥から女の子が出てきた。所々に着いているシミは薬草の匂いがする。ポーションでも作ってたのか?


「ああ、これは私が作った手作りポーションです!…まあ、あんまり売れないんですけどね。」


「何でですか?毒々しいからですかね?」


ポーションは緑色で、青汁みたいだ。この時代だったら毒だと普通の人は思うんじゃないか?


「毒々しい……まあ、それもあるんですけど、苦いんですよ。効果は確かにあるんですけど他の製品より濃度を濃くしているせいで苦味が強くなってしまって、えへへ。」


「えへへて…効果ホントにあるのかな?『ステータス』」


高濃度のポーション…+20HP回復。普通のポーションより効果が高く、そして苦い。


「あー確かに効果があるんですね。」


基準値が分からないけどね。


「え…その瞳、鑑定士の方ですか?」


「瞳…?まあでも、鑑定士じみた事ができるだけですよ。」


「お店の査定に来たんですか!?すいません!潰さないでください。納期には間に合わせますんで!!」


「いや、僕は違います。」


「このお店が潰されちゃったら死んだおばあちゃんに怒られてしまうんです!本当に!本当の!本当なんです!」


「いや、だから、違いますって。」


「このお店が潰れるくらいなら……鑑定士さんに全力で抵抗します!毒薬で!」


「何言ってるんですか?はぁ、ナルカ。」


『はい?』


「吠えて。」


『はい!うぅぅーーわん!』


ナルカは可愛い掛け声と裏腹にガウ!とびっくりする鳴き声で、店員さんを正気に戻した。


「ひいっ!?………あ……」


なんかモジモジしだしたな。申し訳ないけど、僕にはなんのフォローも出来ないな。


「大丈夫ですか?あと、僕は鑑定士じみたことが出来るだけで鑑定士ではないですからね?」


「え!あ、あの……すいませんでしたーー!!」


女の子は早足で店の奥に消える。内股気味に動いてるせいでなんか凄い動きだった。暫くして帰ってくると少し方で息をしながら帰ってきた。


「はぁ、はぁ、すいませんでした。」


「もう大丈夫です…すいません、なんか。びっくりさせてしまって。」


「いえいえ!私の勘違いなんで。そんなそんな。」


「そうですか、まあそれはそうとしてこのポーション目の前で作って頂くことは出来ますか?」


「え?ええ、出来ますよ?」


「やって頂けます?」


「はぁ…は!まさか本当に!?」


「鑑定士では無いですけどね。ポーションって作れたら便利だなって思って。」


「そう、ですか?…こんな地味な仕事に興味持ってくれるなんて…こっちに来てください。」


僕は案内され、店の奥に向かうと薬草や、見たことの無い草がいっぱい生えていた。室内菜園か。


「…草生える。」


「えーと、こっちが薬草を潰すためのすり鉢で、これを使ってすり潰します。二つあるので私が横で実演しますね。」


「あーと、先に完成までやってくれませんか?後ろで見て覚えるので。」


「?分かりました。ではまず、薬草を用意して、そしてこの薬草をまず磨りつぶして、薬草から汁が出てきたら。こうやって魔力の篭もった水に漬けて、沸騰させます。その間に………」


僕は時々相槌をうったり、コツを教えて貰いながら、()()()()()()()()()()()()()()()こうしたらいつでも確認できるし、この子は僕の直感だが、普通の人より上手い。僕はその後も動画を取り続けた。5分ぐらいかな?材料を用意してそれくらいか。効率が悪い。材料があったとしても60分で16個、これじゃあ数日で消費しきれそうな量だ。だから異世界モノは調合士が少ないのか?


「店員さんはそんなに上手なのになんで苦いポーションなんか作ってるんですか?普通に作ったら売れそうなのに。」


「普通……まあそうですよね。人は普通が好きですから、私の効能が高いのより、ブランドとか味で判断して買ったりなんかしているからよく死んだりするんですよ…」


何か過去にあったのか?店員さんは苦い笑顔でそう言いながら、完成したポーションを試験管立てに指している。


「じゃあ、僕はここに来たばっかでブランドとかわかんないので、ここの常連さんになっていいですか?」


店員さんはぽかんと口を開けたあと少し笑う。


「なると言ってなれるものではなさそうですけど?」


「いや、なりますね。今からなりますよ。僕が常連さん一号です。僕が有名になった時に、ブランドが付きますよ、英雄が好んだお店って、ね?」


「ぷっ、はは、ははははは!!もう、笑わせないでよね。じゃ今私は英雄の卵に会えたってことかな?いやーこれは嬉しいな。うん、嬉しい。」


やっと女の子らしい笑顔が見れたな。そういえば主人公らしくなるってこういう事なのかな?日本で言ったら恥ずか死してしまいそうな台詞も結構言えるようになってるから。


「じゃあ、僕も覚えたし、やってみるんで横から教えてください。」


「よし!ポーション作りしか取り柄のない私に任せて!」


言ってて悲しくないのかな?


「はい、よろしくお願いします!」


僕は横で作り方を教えて貰いながら作ってみると、案の定失敗した。


「あちゃー、混ぜすぎだったかな。今度はもっと軽めでいいから。肩の力抜いて、ほらこう、ゴリゴリ〜って。」


「ゴリゴリ?こうですか?」


「そしてこのゴリゴリした薬草を魔力水に漬けて、沸騰させます。濾したあとはこの液体を瓶に詰めて、はい、魔力をここに込めてみて?」


「え?どれくらいですか?」


「うーん、そんなに強くなくてもいいよ、薄ーく流してごらん?ほら、こうやって。均一に流すイメージだよ?」


店員さんが未完成のポーションに手をかざすと。ポーションが薄く発光し始める。光がどんどんとポーションに吸収されていき、目の前には完成したポーションが完成していた。


「えぇ…こ、こうですか?」


僕は魔力を流し込むイメージをすると、薄く流しすぎたのか低品質のただただ苦いポーションが出来た。


「凄い!一回で出来るなんて君才能あるよ!私なんか最初何個もダメにしたのに!」


「………もう一回やっても良いですか?」


僕は少し不満に思いながら次を作ろうとする。


「うんうん!全然余ってるからやっていいよ。やっぱりこういうのは練習あるのみだからね。懐かしいなぁ、よくおばあちゃんにどやされてたっけ。」


なんか思い出に浸り始めたけどほっとくか。


「あーまた失敗した。なんで?なんか間違ってたかなぁ、均一に流すイメージ、イメージする。」


僕は目を瞑り掌の上の水に染み込むように、然し激しくない、清流の様な澄んだイメージをする。目を開ける。


「失敗した……よし、もう一回!」


もう一度同じイメージをする。


「さっきよりはマシだけどなぁ…まだいける。」


もう一度イメージ。次はイメージを変えてみた。大地のイメージ、壮大で、荘厳で、雄大な。目を開ける。


「やった!…店員さんに近いのが出来た。…あとはこれを何回やっても同じかそれ以上の品質を作れるようになりたいな…」


僕は店員さんを見る。見ているともう少し話は長引きそうだ。


「もう少しやってもいい…よね?」









取り敢えず15本を試しに作ってみた。結果は良いのが5本、失敗したのが9本、そして店員さんより良い品質のが1本。


「これきっっっつい!!魔力は少なめだけど流し込むのに集中力がそこまで続かないよ。一番いいのもこれ1本に最後の魔力を流し込むやつだけで10分間掛かったんだけど。加護も使っちゃったし。疲れないように使いたくなかったのにムキになって全部使って作っちゃったよ。これ絶対僕ラストエリクサー症候群になりそう。ってかなる。」


疲れたので僕は逆に変な事をする事にした。


「うーん、これ最初の魔力を込めた水とその後に魔力を込める作業の時の魔力量増やしてみよ。」


僕は薬草をすり潰し、魔力を込めた水に指を入れて、魔力を注ぎ込んでみた。魔力を流し込むイメージ。もっと入れるイメージ、もっと、もっと。


「うぉお、なんか脱力感がする。」


『ご主人様、魔力の放出が薄れていってますよ!?入れすぎです!』


「まあまあ、大丈夫でしょ。最悪回復できるし。」


僕は適当に見切りをつけてサッと手を離す。そうすると紫色のぶどうジュースみたいな色の魔力水が出来た。さっきは薄紫程度だったので、大きな変化だ。


「もうちょいいけるかな?」


『ご主人様、倒れますよ?』


「あとちょっとだけだから大丈夫だって、どうせ戦闘する時は雨降らせるからさ。」


『雨…?ご主人様は天候を操れるのですか?』


僕はドバドバと魔力を入れるイメージを、


「おおおおお??なんか眠たくなってきた、やばいやばい。」


追加で流した魔力のおかげか魔力水は闇を混ぜたかのように黒くなってる。これは成功だ、成功だけど、少し眠い。


『雨と魔力回復の関係性とは…ってご主人様、馬鹿なんですか?一度にそんなに出したら疲れるに決まってるじゃないですか。魔力譲渡は、しますか?』


文から考えると魔力を他人に渡す能力なのかな?僕は頭を振り、眠たさと少しの倦怠感を振り払う。


「いや良いよ、自業自得だし。…君は優しいんだね。一瞬弱ってる僕を殺しに来るのかと思ったんだけど。」


僕は黒色の魔力水でポーション作りをしながらナルカと会話する。


『いや、私をなんだと思ってるんですか。そんな猟奇的なやつだったら私ここに居ませんよ。殺されてます。』


よし、あとは魔力を込める作業だけなんだけど、試してみたいことがあるな。魔力は少なめだからもう使いたくないので、わざと天力を代わりに込めてみる。


「まあそっか、まだ僕を見定めてる途中ってこと?」


最初はどうするか分からなかったけど、マキナのことを考えながらイメージすると、スムーズに天力をポーションに注ぎ込むことができた。なんか黒色の光放ってるんだけど。怖ぇ。


『私達雷狼一族は一人一人が主人と見定める試練を持っています。私の場合は定期的に私のテストに合格すること、合格した後は大人しく従いますが、テストが不合格であれば即座に殺します。』


「へぇーじゃあ次のテストは何なのかな?」


『言うわけないでしょう?抜き打ちテストみたいなもんですよ。』


抜き打ちテストという概念が雷狼達にあるのがびっくりだよ。


「あ、ポーションっぽいのできた、よしステータスでも見てみるかな。『ステータス』」



未完成の天魔石水…魔力や天力を込め続けると…?



「うわ、できちゃったよ…天魔石?あーこの水底の結晶化したクリスタルみたいなこれかな?もっと魔力と天力を込めろねぇ?これ以上は雨を振らせた方がいいな。」


『なんでポーションからこんな訳の分からないもの作れるんですか。なんです?その黒光りしてるポーションは。普通のやつ作れたでしょご主人様。』


「いやなんか…冒険してみたかった。冒険者なだけに。」


『ツッコミませんからね…で、それはどうするんですか?』


「取り敢えずあとは外で作るかな。店員さーん、店員さーん!」


「いやぁ、おばあちゃんは薬草の見分け方とか、訳わかんないハーブの群生分布図の記憶を叩き込んだりとか滅茶苦茶厳しかったんですよねぇ、あ、他にもおばあちゃんが………」


「まだ話してんの?長いなぁ。」


『あ〜っと、吠えましょうか?』


「うん、お願い。」


『はい!うぅぅーーわん!』


「ひぃ!!」


この後、僕が作ったポーションを全て買ったり、ついでに初心者おすすめ、冒険アイテム一式みたいなものを買っておいた。割引してくれたので僕はホクホク顔だ。リュック型だから背負っとこっと。アイテムボックスでもいいんだけどね、せめて人が見ているうちは背負うことにした。あー重い。


「重いなぁ、ねぇナルカ、持っtえ?嫌?そっかぁ…」












「お、仮入国者その一が来たか。さっきお前の彼女さんが来てたぞ。入れ違いか?」


赤毛の全身鎧を着た、確かノルマだったかな?その人は昨日と同じ場所に相変わらずいた。


「へぇ、一度しか来てないのによく分かりましたね?ノルマ殿?」


「やめろやめろ、殿なんて俺なんかに使うんじゃねぇ、気持ち悪い。」


やっぱりこの人は良い人だな、巫山戯てもちゃんと返してくれる。


「外に行きたいんですけど。」


「ギルドタグを見せろ。はい、これでOKだ。それとこれでお前はちゃんと入国したことが証明された。ようこそバルトーへ。」


「僕は今から出掛けるんですけどね。取り敢えずありがとうございます。」


僕はノルマさんにぺこりとお辞儀をする。


「最近森から爆発音が聞こえたと言う報告があったからな。お前らも近づくなよ。何がいるかわからねぇからな。」


それ多分僕だと思う。あー結構近いんだ。魔物ならそっちに行けば居るかな。


「大丈夫ですよ、この子がいるんで。ね?ナルカ?」


「ガウ!」


「おお、もうワイルドウルフなんて手懐けたのか。お前はテイマーの才能でもあるのかもな。いや、ワイルドウルフにしては毛並みが違うな、別の種類か?」


「ワイルドウルフ?」


『ワイルドウルフと私達雷狼族は混同されやすいんです。そんじょそこらのワイルドウルフより私達の方が上位種なんですよ!こんなに顔も毛並みも違うのになんでまだ間違える人種が多いんですかね?』


「人から見たらみんな同じ顔に見えてるんだと思うよ?」


『うえぇー!あんな弱い種族と!?』


「うーん。僕はワイルドウルフを知らないけど、ウルフってくらいなんだし顔は酷似してそうだけどね。」


「お?なんだなんだ。お前このワイルドウルフの言ってることがわかんのか?」


「まぁそうですね、似たようなもんです。」


「羨ましいな、おっと、後がつかえてたか、まあ、気をつけろよ。」


「了解でーす。よしナルカ行こう。」


「不安だなあいつら。」


そう言いつつもノルマは顔を引き締め、並んでいた人の出入国を管理する仕事に戻った。











「よし、ここまで来たら大丈夫かな。」


『森が案外近くで良かったですね、ご主人様。』


「うん、これで僕が変な事しても王都から見えないでしょ…多分。」


音はどうしようもない。勝手に勘違いしといてくれ。


『ちょっと待ってて下さい、一番近い魔物を探します。ご主人様、見ててください。』


そう言うとナルカは立ち止まり、白い体毛の先が逆立っていく。ナルカの周りがパチパチといって電気が走る。ナルカの顔が、森の奥へと向いた。


『こっちに魔力の反応があります。この動きは多分ワイルドウルフでしょう。私達一族の下位互換、ここで潰します!』


「それはいいけどナルカ、今何やったの?」


『あれ?ご主人様に説明していませんでしたか。あれは私達に伝わる技の一つで電気探知、『電探』と私達は呼んでいます。身体から電気を発生させて生体電流を探知しています。魔力探知より範囲が狭いですけど、相手にバレにくいので便利ですよ。』


へぇ便利だなぁ。僕は身体から電気発生させたりなんか無理だから魔力探知があるならそっちを習得するかなぁ。


「じゃあ案内して?ナルカ。」


『はい!じゃあ、今からもうひとつの技を使って走ります。着いてこれますか?秘伝が一つ、『ラピッドサンダー』』


ナルカがその瞬間全身から雷電を放ち始める。青白い雷光はナルカの白い体毛から放たれ、想像以上にかっこよかった。もし雷狼竜がいればこんな感じだろう。大きさは違うが。僕は子供心ながら興奮した。


『もうテストは始まってますよ。追いつけなければご主人様は私が』


「噛み殺しますって?それは嫌だなぁ。『強化魔法』」



『デウス・エクス・マキナの加護が発動しました。』

『シェーンの加護が発動しました。』

『グランディールの加護が発動しました。』

『主人公の加護が発動しました。』



『分かりますか、流石は私が認めたご主人様です。じゃあ、頑張って追いついてください。ね!』


ナルカは白い雷を残像に残し、木々の間をスイスイと通り抜けていった。このままだと、追いつけないだろう。


「僕も試してみたい技あるんだよねぇ、確か人間砲弾だっけ?あれ僕もできるんじゃないかなって思ってたんだよー。」


僕の目の前から砲台が出現した。弾は込めていない。僕はリュックをアイテムボックスの中に放り込んだ。


「僕が弾だからね。」


今の僕は弱いから、木々の間を全力で走りながら狼に追いつくなんて不可能だ。それなら僕の手持ちで出来ること、それは。


「僕が砲弾になることだ!馬鹿っぽいけどいけー!『人間砲弾』発射ー!」


爆発音と共に身体が地面から離れる。僕が入っていた砲台は光になって消える。


「あばばばばばばばば!!!ダメージは無くても風圧はくらうのかよぉぉぉぉ!!!」





僕は、空を飛んだ。

主人公はナルカのことどう皆に説明するんですかねぇ?

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