貴方の言葉
ああ
ああ なんて美しい詩なのでしょう。
貴方の紡ぐ その一文一文が
月並みな例えだとは分かっていますが
まるで輝いて見えるのです。
私の空っぽな頭を絞り
貧困なれど掻き集めた語彙を以ってして例えるのなら
羽ばたく度に舞い落ちることを定められた
天使の純白なる羽根のようなのです。
ああ
どうしてこれほどの美しい詩を紡げるのですか。
どうしてこれほど美しく言葉を繋げれるのですか。
貴方の紡ぐ詩に生きる言葉は この世で一番輝いているのです。
ああ
私は妬ましく思います。
羨ましく思います。
貴方の紡ぐ言葉の その誇らしい表情を そのとても嬉しそうな笑顔を見て
己を惨めに思わない詩人などいるのでしょうか。
貴方の紡いだ詩、
その眩しさを読んだとき
私は泣き崩れました。
私の紡ぐ言葉のその平凡さに
海に流された種のような かわいそうな言葉に、
私は申し訳なくて仕方ありませんでした。
きっとその言葉は
私ではなく貴方が紡げば それはそれはとても美しい花を咲かせたのでしょう。
咲いている間はもちろん 散った後もその芳香を漂わせ
いつまでも 読んだ人の心に残ったのでしょう。
現に私の心は
貴方の言葉のその美しさを 忘れられないでいるのです。
貴方の詩に
私が涙した理由はそれだけではありません。
むしろ、こちらが本当の理由です。
ああ
とても、
とても 美しかったのです。
貴方の紡いだ言葉が
貴方の詩に生きる言葉が
とても美しくて 気がついたら涙を流していたのです。
留まることを忘れた涙は
いつまでも私の頬を流れ落ちました。
涙で潤み歪んだ視界で それでも私は貴方の言葉を読み続けました。
白いページをめくる手は止まりませんでした。
黒い文字を追う目は止まりませんでした。
読み進めていくほどに
唱えていくほどに
貴方の紡ぎあげた幾筋もの文が 私の心の琴線を震わせ続けました。
ああ
なんで 貴方はそれほどまでに 言葉を愛したのですか。
なにが 貴方にそれほどふかく 言葉を愛させたのですか。
貴方の愛が まるで私のものであるかのように この心で叫ぶのです。
愛おしい恋人への睦言。
妬ましい恋敵への嫉視。
近しい親友への感謝。
貴方の愛が 貴方を知らないはずの私の心から離れないのです。
貴方の紡いだ詩が 貴方の縒り合わせた文が 貴方の愛を私に教えるのです。
ああ
それは 貴方が言葉を愛したからでしょう。
でなければ これほどまでに言葉の活かし方を知るはずがありません。
貴方の紡いだ詩の中では どの文も生き生きとしているのです。
全ての言葉が 輝いているのです。
そんなこと 言葉を深く愛してなければできません。
貴方の愛が
これほどまでに 私を泣かせました。
その涙が言うのです、
この言葉達も 愛されていると。
貴方の愛を これほどまでに伝えることの出来る言葉が
貴方に愛されていないはずがないのだと。
ああ
ああ なんて美しい言葉なのでしょう。
貴方の詩に生きる言葉は どれも美しく輝いています。
空を漂う雲のように
水と流れる泡沫のように
大地へ根を張る花のように
そして
愛に生きる人のように
生き生きとして 輝いていて
忘れられないほどに
美しいのです————
拙作をお読みくださり、ありがとうございます。
批評批判大歓迎です。もっと私自身の思い描く世界を表現したいので、感想酷評、友人への紹介も期待しています。
長編の作品を幾つか載せる予定ですが、いずれもまだ修正中ですので先は長そうです。
少なくとも月に一度は、短編や童話や詩を載せるつもりなので、気が向いたらお読みください。
繰り返しますが、本当にありがとうございます。