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第一話 プロローグ 1

どうも、サンマエビ南蛮と申します

文才がレベル1なので、ポテチ片手に気楽に読んでください

テスカトリポカ。


当初、それは世界からあぶれた浮浪人、商人、貴族が落ちぶれる最後の地となっていた


彼らはその地に安住を求め、虫が灯りに群がるように当然のように自然に集まり彼らはその地を平定し暮らし始めた。

他の町の様に畑を耕し。魚を釣り。家畜を育て。

災害によって失われたゴーストタウンは彼らの手によって姿を取り戻し始めたのだった


しかし世界からあぶれた住人がいるように、世界から放逐された人間、盗賊、凶悪犯罪者、異常者。国から迫害された彼等がその街に集まり始めた


愛した者を殺す事に至上の悦びを感じ殺人鬼

自分以外の人間の事を考えず、傍若無人に振る舞う凶悪な犯罪者

幼児の肉しか食することが出来ないという異常者


奴らが来たときから、安住の地のルールを塗り替えた。この世界の法を


弱き者に救いを――――聖マシュラバ教の教えを体現し、テスカトリポカを安定化させた【ジョージ・アンデルセン】初代町長。

彼が生涯に渡って紡ぎあげたルールを奴らは簡単に犯し、都合のいいように変えた


そのルールは奴らにとって最も都合のいいルール。そのルールは最早ルールではなく、唯の注意勧告であり、無法地帯と化していた。


何故彼らは奴らのルールを食い破らず、甘んじて受けているのか


それはテスカトリポカに集まった者は世界からあぶれた、謂わば弱者である。その弱者に共通する点は多い。


一人は家族を売り払ってしまった業を背負った弱者

一人は村から迫害され、行き場も無く落ちぶれた農夫

一人は脱税がバレ、国から追いかけられている貴族

一人は、子が産めなくなった女


そう、負けたのである


闘争に負けたのだ。未来を掛けた闘争に


弱肉強食と言わんばかりの無法地帯に、彼等は謂わば牙の折れ、衰弱しているライオン。百戦錬磨、血に飢えたハイエナに勝てる道理は無い。


殺人をモノとも思わない異常者が跋扈する無法地帯。それらは初代町長が築き上げた町を、横からかすめ取るように自分の玩具であるようになった


今のテスカトリポカにルールは無い。あるのは最低限の【裏切りは許されない】という魂に刻まれた呪縛だけである。


殺しを躊躇わなくなった者でも裏切りだけは怖いのだ。

しかし裏切らないというルールを作る事により、安定した生活を送る者いた


それ以外の住人、弱者は……女は犯され、性欲処理として使われる。時折、食料と交換に身体を売る女もいるが、それは一部だ。

子供は気配を殺し、大人を殺し生き延びるか、犯されるか、一部をそぎ落とされ食料と交換される商品となる。この町には臓器を食べる人間もいるので、子供の綺麗な臓器は貴重な資金源にもなるのだ。


当たり前のように弱き者が淘汰され、強き者には天国を思わせる町と化した弱肉強食と体現するかのような異常地帯。最早今まで培った常識など糞の役にも立たない、寧ろ生きていくには邪魔になるのだから



この世の地獄とさえ呼べるような光景に人々は、周辺国はこう呼んだ


“人が産みだした地獄・テスカトリポカ”と


しかし地獄のようなテスカトリポカに人が絶えることは無い。

世界に犯罪者が減らないように、世界から炙れる者も減らないのだ


生きるための最終手段、誰もが最初に思い至る生き延びる為の道。

他に安息を見つけることもできる者もいるだろう。他に賊に身を落とし、新たな人生を送るこの出来る者もいるだろう。


しかしテスカトリポカに人が絶えることは無い


簡単だ。誰もテスカトリポカに入ってくる人達を奇異の目でみないのだ。


テスカトリポカは受け入れる。何人であっても……

国で大罪を冒してしまった者が来ても、鼻つまみ者でも、5月か6月に転校してきた転校生よりも気が楽なのだ


そしてテスカトリポカにはもう一つ特徴がある。

近いのだ、周辺国に。

テスカトリポカは周辺国、エイヴム、ハイヴム、アルノギア、ミルムースに囲まれて存在している。故に周辺国は警戒もするが、増えすぎた人口を減らせることにもメリットがあるので。現状放置となっている



テスカトリポカに入ることは誰にでも可能である。生き延びれば、の話だが

しかしテスカトリポカから脱却することは叶わない。例え出たとしても、彼らは必ず討伐されるだろう


なにしろ、私たちに共通する常識があるように、彼らにも共通した常識があるのだから―――――






       ※※※※※※※※※



「やめ、やめああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


「……っ!………はあ…………」


「ああ゛お゛お゛…………ぐがっ」


獣の様な声を絞り出すかのような呻き声をあげた、俺の前に倒れている名前も知らない全裸の女は、身体を痙攣させながら必死に身体機能を整えようと呼吸している。最早用は済んだのだからこの女を外に放りだしてもいいのだが、それではこの女は外に居る住人に犯され、あっさり殺されるだろう。

知り合いが言うには俺は抱いた女には少し愛情を持ってしまうタイプらしい。

確かに疲労困憊な女が出ていけるような状態になるまでここに置いてしまうが、これは別に愛情なんてものでは無いと思うのだが。


それに俺は愛情なんてふわふわした感情なんて、10歳も前から捨てている。この世界では愛情なんてモノを持っている時点で生きてはいけないのだから。


俺は河から汲んできた水で、生臭さと共にアンモニア臭が漂う女にちょろちょろと掛ける。隅っこに何処かに通じているかわからない謎の小さな穴がある。そこに水が流れるように工夫して水を流す。何故こんな面倒な事をしているのか?この部屋は密室なのだ。生臭い匂いが充満して、深夜に襲撃されてお陀仏なんて御免被る。ここでは嗅覚も生き延びる為に必要な手段なのだ。これが欠けても生き延びる事が出来る奴もいるだろうが、そもそもそれは一部だ



「お゛お゛おおお……ゴロス……ゴロしてヤル………」


女が玉のような汗を体中に付けながら俺に向けて鬼気迫った表情で怨嗟の声をあげる。蟹股になって股から小便や精液を垂れ流しているのが笑えるが…

此方を必死に睨んでいるようだが、外の連中なら悲鳴を上げるなり怯むなりするだろうが、この世界の住民には効かねえよ


「何も出来ないお外様なのか?あんなにきょろきょろして周りを見渡すなんて、『犯してください』と言っているようなモノだぞ。それに、ここら辺のガキの方がお前より利口で強い」


そしてあんなガシャガシャ煩い重い鎧を着ているなんて頭可笑しい人間にしか見えないぞ


ここの住民は大体、ここテスカトリポカに慣れていない人をお外様と呼んでいる。生半可な覚悟で来ても、ここでは命取りとなるから。人殺しを躊躇わなくなってからが住人となれるのだ。


俺?別に俺は一般ピープルではないから殺しには躊躇わなかったよ?


「ゲルベス伯爵が娘、メリアカの名に賭けて……貴様を殺してやる……」


「貴族……?ここで名前使っても意味なんか無いぞ」


どうやらこの女は貴族であったらしい。別にどうでもいいが。だがこの女はまだ15にもなっていないように見える。ゲルベスなんたらの家は娘を騎士にさせる程切羽詰まっているのか?だとしたらお笑いだがな。


「そうか、大変なんだな。ゲル……えー、なんだっけ………げ、ゲルベスタ・スタローン伯爵とやらは」


「ごぼっ?!……ゴロしてやるゥ!!………私の純潔までしも……我が家名を汚すとは………!!」


「知らねえよ、お前の膜云々なんぞ。恋人に破ってもらってなかったお前が悪い」


ここに来てまで家名を振り回す連中など、長生きは出来ないし無意味だ。殺された方も、犯された方も、やられた方が悪い。被害に遭いたくなければ、利口に生きればいいのだ。

長年ここに住んでいるが、何も出来ずに死んでゆく貴族を何人も見てきた。大抵アホ面のまま食用肉と化したがな


まあそれのお蔭でこんなに簡単に綺麗な状態のままのコイツを拉致できたんだ。、文句の一つや二つくらい聞いてやるよ


「地獄に来たんだ、貞操なんて気にする暇はねえよ。命だけ考えな……ほらっ、返すから出ていけ」


適当に水で洗い流した後、この女が元々来ていた鎧を返す。剣は俺の部屋の扉付近に隔離している。襲い掛かってきた女を対処するのは面倒だからな。この程度ならあっさり返り討ちなんだが、この状況に便乗してくる馬鹿もいるのだ。故に余計な面倒は避けたい。


「………………糞の掃溜め共メ……!必ずこの町ごと殲滅してやる……!いずれ必ず……!」


「元気でな」


女は鎧を身に付け、這うようにして俺の部屋から出て行った。勿論剣も持って行った。あいつ剣以外は掃溜め連中にも敵わないだろうし……


「……なんでこんなに女の事考えなければならないんだ……寝るか」


俺は部屋の奥に敷いてある何処かのドラゴンだが大型魔物だか知らんが、結構上質な毛皮をシーツにして寝ている。

そこに向かいながら女が来ていた鎧に付いていたマント。それを水に少し浸し、汗を拭う。結構上質な物のようで、さらさらした感触が股間に伝わる。


「ぬお……ちょっといいかも」


俺は拭いたマントを乾かす為に、部屋にある少し窪んだ場所に置いておく。乾くのには時間がかかるだろうが、無いよりはマシだ。外の区には水すら手に入れる事が出来ない連中もいるのさ


テスカトリポカには大きく四つの区に分かれている。


一つは大盗賊と名乗るジャンという自己中野郎が治めている第一区。ここは意外に安全で、ジャンに忠誠を誓ってもいい奴なら比較的生き延びる者が多いだろう

しかしジャンは少しでも気に入らない事があれば、大量に人を殺す。別に殺しが非難される世界ではないが、殺す人数が人数なのだ。

ジャンは一晩で、1000人以上の人を虐殺した。アイツは俺に似て化物だ。戦えば勝てるだろうが、少しでも油断すればばっさり殺られるだろう


一つは喰人鬼と自称している商人のメルキュース。ここは第二区。

ここは市場が開かれている区で、殺しとは無縁の場所だ。商人に対しては、厳格なルールの元接していかなければならない。もし商人に対して信用を裏切れば、テスカトリポカ総ての住人が牙を剥くだろう。人は食料をくれる人物に対しては、非常に縋るのだ。故に商人の敵は総ての敵となる。


しかし“ここ”に平穏なんてものは無く、当たり前に死の匂いが漂っている。

喰人鬼がいるように、食料が無くなると人間は何が何でも是が非でもナニカ肉を喰らうのだ。肉を取り扱っている店では、当たり前のように死んでいる幼児が吊られている。外には奴隷商人という商売をやっている者もいるようだが、ここでは商売あがったりだろうな……ここの住民は金なんて持っていないし、欲しい物が有れば物々交換か強奪という原始的手段しかない


残り二つの内一つ。第三区は他と比べていても、自由だと言えるだろう。ここにはかなりの強者が住んでいて、誰かに忠誠を誓わない者が居ればすぐにやってくるだろう。ここには愛の狩人と名乗っている変態がいるようだが、俺は見たことは無い。

そして誰もが思ったかもしれないが、何故この地区は誰にも支配されていないのか。

それは


―――――ここがダンジョンの中だからだ


ダンジョン

それはある日突然に産まれる謎の迷宮。ダンジョンの中には、比較的強いとされる魔物が跋扈している。迷宮を統制している迷宮主を討伐しない限り、魔物は無限に湧いて来る。

迷宮主を速やかに討伐しなくてはダンジョン近辺に被害は無くならないだろうが、人間とは利口なもので、最近では商売に使ったり、腕試しのような感覚になっている世界に蔓延る謎の一つだ。簡単に言えば世界のニキビのようなものだ。


元々テスカトリポカがゴーストタウンになっていたのも、迷宮から溢れ出た魔物の被害によるものだ。周辺国から近いとされているこの町だが、見て見ぬふりをしていたのか、一夜にしてこの町は壊滅したそうだ。それ以降、一度立ち直ったらしいが、この生活を見るに、無駄な努力に終わったようだな。


話を戻そう。この区はダンジョンの中にある。地下だ。迷宮主も寿命で死んだか知らないが、このダンジョンは死んでいて安全に暮らす事が出来る。

俺が来た頃には満員だったらしいが、偶然(・・)譲ってくれた成人男性が居て、ここに住むことになったのだ。


つまり、ここが支配されない理由とは、ダンジョンの中で、猛者が多いからだ。ジャンでも見て見ぬふりはできない猛者もいるようで、それが抑止力となっているらしい。詳しくは知らんが好き好んでダンジョンに住み着くなんてジャンのプライドが許さなかったのもあるだろう


というわけで俺が住んでいる第三区については終わりだ。


そして第四区だが………

あそこは本当の地獄だ。


住んでいるのは俺のように力を持っている者がいない。簡単に言えば幼児や女、老人ばかりだ。

力無き者は寄り添って、集団として暮らしているようだが、先ほど言ったように、ここは本当の地獄だ。

狩りの気分で子供は商人の地区に連れ去られ、性欲処理として女は物のように輪姦され、老人は気分発散のようにボロ雑巾のようにリンチされる。


しかしここは犯罪を咎める者がいないのだ。故に彼らは行き場の無い無念で死んでゆく。やられた方が悪いのだ。

俺も食料を求め、あの地区に行ったが、その地区よりも屍が多かった。ゴミのように転がっている赤子もいた。

哀れに思うだろう、普通なら。しかし俺も感覚が麻痺しているようで、俺は何の感情も湧かなかった。知り合いが言うには「それで?」と無表情で言ったらしい。

今ならいい思い出だな、と鼻で笑うだろうが、その頃の俺は10歳だ。明らかに異常だろう


しかしそれのお蔭で、俺はここまで生き延びる事ができた。


「こんな時間か……寝ている場合じゃねえな」


紹介が遅れたな。俺の名前はフレン。歳は今年で14になるようだ。


この人を家畜以下に落とすくそったれなテスカトリポカで生き延びる


人を殺す事を歯牙にもかけないくそったれな男だ




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