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ダウジング幽霊

「ひーひひぃー!ふふふん!キタレ!キタレ!!!ああ、キミニ会いたいよ~!!」


「・・・。・・・。・・・」


 なんか、変な声が聞こえた。

 げ、幻聴だよね!

 額から冷や汗が流れてくる。

 気にしたら負けだと、内なる自分が言っていた。

 

 そんなことを考えながら、声のする方をあえて避けながら騎士団の古びた、年季の入った建物の回廊を歩いていく。

 心地よい風がチェリーの頬を撫ぜて行く。

 若干、声が聞こえてくるのは、スルーすることにする。

 スルースキルがどんどん上がっていっているような気がする。

 王城の一部に位置していることもあり、結構な年代を感じる。

 それに、まあ、王城の中心部に比べれば、彫刻が細かくないが、それでもかなりの物だ。

 石造りの頑丈な梁の外には、木々が生えている。

 庭師達が丁寧に整えているのだろう。

 きらきらと葉っぱが反射して輝いている。

「・・・。きれいだな・・・」

 そう、誰に言うでもなく呟く。

 平和だなあと、幼少期の戦闘を思い出す。

 そして、両親たちは今どこにいるだろうと少し考えてみる。

 思い浮かぶのは、魔獣を前に、高笑いをしているパパさんと、おほほほと上品に笑っているが若干悪役令嬢っぽい笑いをしているママさんを思い出す。

「・・・。・・・。・・・」

 やっぱりどこか、遠くを見てしまう。

 そうして、現実逃避をしていると、遠くで誰かを探している声が聞こえた。

 そんなことに気をとられていると、

 横の木の間から10歳ぐらいの子供が飛び出してきた。

 手には不思議なモノをもっている。

 スルーしていいですか・・・?

 さっと、チェリーが避けると少年はよろめいて、一人で転けた。

 それを、しっかり見ていたチェリーとその少年の目線がしっかり合った。

 少年はバツが悪そうに

「ははは・・・」

 笑った。

 何故だろうそれとともに、ドヤ顔しているのは?

 チェリーが無言で見つめていたら、若干顔が赤くなって、ブルースカイの瞳は若干涙目になっていた。

 その表情にこっちもなんだかバツが悪くなって

「あのー・・・。大丈夫ですか・・・?」

 そう、とってつけたように言ってみると

「は、うん・・・!大丈夫だよ!!君も怪我とかしていない?小さいのに一人でいるけど大丈夫?」

 そう、心配したように聞きながら優しく笑った顔に、天使がいるね!そう思った。

「ええ。大丈夫ですよ」

 そう、答えながら顔面偏差値半端ねーなんて思ってみる。

 けっ!イケメン滅びろなんて腐ってみる。

 だって、だって!女の子だったなら、『キャー』って黄色い声出して喜ぶけどさあ。

 男の子になったら、なんだか将来自分と比較して、腐りたくなるよ!まったく!!!

 イケメンずるい!

 本音だよっ。悪いか!?

 確かに両親は顔面のみとてもよろしかった。

 そんな両親の子供だから期待するが、良く両親の知り合いに

『人生、か、顔じゃねーもんな!』

 なんて、肩を叩かれながら言われる。

 おい、どんだけだよ。

 かわいい時期の子供に対してそれはねーだろうって言いたい。

 そう言われるようになる前(赤ちゃん)は、そこまで言われなかった。

 まあ赤ちゃんだから、あまり変化がなかったのだろうそれで言われていたら、色々とアウトであるが年々、成長すると顔の造形も将来の形を示し出す。

 マジでそんなに酷いのかと、若干疑いと、そんなはずはと希望をもって自分で自分の顔を見ようとするが、その頃からどうしても世界が眩しくて顔をしかめて見てみるが自分の顔が見えにくい。

 母曰く

『チェリーちゃんは魔力の関係上、眩しくて見えないのよ?』

 そう言われる。

『その内魔力も成長とともに安定するでしょうから(多分)、眩しさも半減していくわ!それまで、このママの特性メガネが重宝するわよ~』

 と言われてもらった。

 確かに、3歳頃から、眩しさが半端なくなった。

 確かに、このメガネは重宝する。

 ありがとうママン!けど、なんか『多分』って、心の声が聞こえたような気がしたが!?

 気のせいだよね?

 大丈夫なんですよね?ママさん!そ、そうですよね?マミー!!

 だがしかし、眩しくなくなっただけでなんの解決にもなっていない。

 ちょっと、かなり、顔が残念という事実は変わらない。

 くっ!く、悔しくなんかないんだからね!

 遺伝子なんてっ!何の役に立たないんだからね!

 不細工両親からは美人が生まれる事あるらしいけど、美人さんの両親からも不細工だって生まれるんだ!!

 パーツのバ、バランスの問題だからね!!

 そんなことを考えながら、心で号泣していると

「へ、変な所見られちゃったね」

 ああ、本人自覚あったんですねというか、自分も十分変だから何とも言えないがというか手に持っている物はなんでしょうか。

 いや、聞きたくないんですが、目にものすごくつく。

 少年の手に持っている物とは反対に、少年は照れくさそうに笑っている。

 その顔にああ、変態さんが見たら悶えるんだろうなあなんて思う。

 けど、やっぱりイケメン滅びろ、イケメン滅びろっ!

 内心、血の涙を流しているようにつらい。顔面偏差値が低いのがつらいよ。

 少年の恰好は市民の簡素な作りの恰好をしているが、明らかに質が違うのが分かる。

 そんなことを踏まえると明らかに、貴族。

 そして、まあ、王城の中心部からかなり端にあるが、一応騎士団や兵部が存在している区。

 それに訓練場も存在している。

 もしかしたら、王子?かもしれない。

 まあ、この王城にどんだけ人がいるか考えると、そんな豆粒のような確率で遭遇するとも考えられない。

 そうなるとまあ、中級貴族の子供。

 それか、確率低いが上級貴族の子供という事だろう。

 まあとにかく、貴族なのには変わらないだろう。

「けがはないですか?」

 そう言って、怪我がないかさっと見て確かめる。

「へ?いや、怪我はないけど・・・?」

 困惑したようにチェリーを見てくる。

 まあ、こんな小さい子供に言われるとも思ってないだろうし、本来ならば、相手が子供だろうと引かれて声も掛けてこないのかもしれない。

 手に持っているダウジングもどきの事を気にしているのだろう。


 そう、ダウジングもどきなのだ。


 綺麗なハートの形の水晶玉のネックレスだった。水晶玉はきらきらと特殊なエフェクトのような輝きを放っている。ただし、普通の人が見たら、このエフェクトが見えているかどうかは分からない。その光は魔力に似ているから。

 本来ならば、そのダウジングもどきがなんなのか聞くのだろうが、全く完全無視させていただいております。

 厄介事は御免こうむります。

 それにしても、水晶のネックレスが、普通の重力に逆らって、恐ろしい勢いで何かを示している。

 一体何を示しているのやら・・・。

 知りたいような知りたくないような。

「では、良かったですが」

 そう話していると、遠くから誰かが、誰かの名前を叫んでいる。

 もしかしたらこの少年の名前かもしれない。

「うわ!やばい!」

 そう言って、焦ったように、その場をうろついた。

「この辺のはずなのになあ・・・。今・・・なんてことだっ!ひーひひぃー!ふふふん!キタレ!キタレ!!キーターレー!!」

 何かのスイッチが入ったように叫びだした。

 うわっ、あなた様でしたか。

 先ほどの声は・・・っ!

 なんとなく予想はついて分かっていたことだが、心底知りたくなかったです。

 将来有望なイケメンがっ!

 相変わらずダウジングもどきは、意味があるのかないのか、重力に逆らって振り子のようにして動いている。

 まるで新種の生き物のようだ。ニョロニョ○・・・。

 そんなことを考えていると、真剣にブルースカイの瞳で見つめられて

「おっと、取り乱してしまった。すまない」

 10歳ぐらいの子供に何か陰のある言い方で言われても、しかも最後、白い歯をカッコ良くのぞかせても、全く決まっていない。

 残念が前面ににじみ出ている。

「ねえ君、いい?いいかい。ここには誰もいなかった。いなかった!分かった?分かったよね?!いたのはそう、霊だ!霊的存在とまで言っておいて!というか、そうだ!俺幽霊だから!君以外見えない幽霊だよ~」

「・・・。・・・。・・・」

 何をどう反応していいのでしょうか?

 幼児だから騙せると思っているのか?


 少年は電波系の方でした。


「あ、それじゃあ失礼!さあ、キミニ会いに行くよ~!!」

 急いで、立ち去った。

「・・・。・・・。・・・っ!」

 目から、汗がっ!

 なんだろ、この違う意味でのやるせなさ!

 あれじゃ、将来イケメンが台無しである。

 幽霊って何よ・・・。

 電波系なんですか?!

 いや、冗談だよね?誤魔化すためだよね?

 誤魔化すにもあの言い訳はないような気がするんだけど?

 なんだったのかなあなどと、それ以上は考えたくなくて思考を一旦停止させた。

 時計を見ると

「そろそろ、休憩時間も終わりだよね・・・」

 そう、さっきの事はなかったことにして呟きながら、あの書類の山を思い出し溜息が出る。

「・・・。がんばろ・・・」

 などと気合を入れたら

『待て、くそ餓鬼!!ところ構わず降霊をするな!!』

 近くでそんな声が聞こえた。 

「・・・。・・・」

『ははは!あんた、分かってないよ!すっばらしいじゃないかい!てか、俺はついにっ!ひーひひひぃ!!邪魔するな!!それに俺は幽霊だー不思議現象がひぃひひひ大好きだー!』

 なんか、本音が大放出だ。

 少年よ、君は実態あるから幽霊じゃないだろう?

 君は幽霊に何を期待しているの?

 降霊・・・やっちゃったの?できちゃったの!?

 相当、幽霊って素敵なモノって思ってない?

 やばいよ・・・色々やばいって!

 電波系・・・。

 それにしても、貴族だよね?

 あれ?勘違い・・・?

 王子とかいう事もない?

 王子様が電波系って・・・いやだよ!

 遠くからは、少年が幽霊だって高笑いをしている。

 天使が幽霊。

 将来が、残念イケメン・・・。

 もし王子様なんてことだったら・・・っ!色んな意味で、大変だよ!?周りがね!

 なんだか迷惑こうむったりしないよね?

 ふ、フラグだったりして?

 落ち着こう、そうだ落ち着こう。

 冷静、冷静ね!

 まあそんな簡単にフラグみたいな事あるわけねーわな。

 そうだ、そうだよ!

 それに、そんな電波系とフラグなんていやだよ。

 どんなフラグだよ。

 本当にいらねー・・・。

 などと思いながら、再び歩き出す。

 青々とした葉っぱが、風と共に舞っていた。


 将来残念イケメンが、自分に一切かかわりのないことを祈りながら。



 それにしても、あの笑い方はねーよ・・・。


 


読んでいただきありがとうございます!

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