そうだ、文官になろう!
そんな両親の教育のたまものか、毎回、冒険に連れて行かれた。そうなれば、生きるために、いつの間にか、敵の倒し方、魔物の狩り方、森の中での食べられるもの、食べられない物。
危険な動物や魔物。山賊の倒し方、盗賊の倒し方。etc.・・・などが、生活の中で、いつの間にか身についたのもしょうがないような気がする。
それが目下0歳のころからであるらしい。ある一部を除き覚えてないが・・・。
それに父は、何かと剣の手合せや、体術などを、教え込んでいたし、母なんて、おままごとを教えるように、魔術を教え込んでいた。
ある意味生活の一部だったから、息をするように教え込まれたのだ。
そうしないと、生きていけないのだから、それはしょうがなかったのかもしれない。
しかも、そんな冒険者な両親が、自分たちの家に戻ってくると決まって、 それとは別に、教養を身につけさせようとしていた。
こう言っては何だが、一応女の子なのでという配慮だったらしい。
何の配慮だと言いたいが・・・。
女の子云々以前に、すでに人外化しているような気がするがそれは、考えないことにした。
冒険は息をするのと同じ事だった。
だから、好きかと聞かれたら、好きだし。大好きかときかれたら、普通と答える。
嫌いかと聞かれたら、いいえと答える。
それとは別に、どうやら、自分は本を読むのが好きなようだった。
意外と言われるかと思うかもしれないが、そこは、あれだ、いつもアウトドアなのだから、というのもあるし、実は、昔、むかーしの記憶がちょろっとあって、その記憶が、本を読むのが好きだったり、ゲームをするのがすきだったり、そんな感じなのでまあ、だからでもある。
まあ、あれだ、転生っていうものをしているからだ。
幼児の頭や、身体に、柔軟に取り込めるだけの教養などを取り込んだ後に、転生前の記憶が戻った。
ある日のある魔物との邂逅であった。
両親と少し離れたところで、魔物を狩っていた時だった。
事件は起きたのだった。
突然目の前に、もふもふが現れたのだった。
そう、もふもふが!
それによって、一瞬のすきができてしまった。
ああ、あのもふもふにうもれてみたいっと。
そんな甘い考えが、危険な魔物に一瞬のすきを与えてしまったのだった。
もふもふな魔物によって、衝撃的なタックルをおみまいされたチェルリは、息ができない程の全身の痛みを感じ、次に頭の中に流れ込む数々の情報に、吐き気で、気絶しそうになった。
僅か三歳の頃だったと思う。
だが、目の前には、もふもふ。自分に衝撃的な壊滅的なタックルをかましたにもかかわらず、それによってなんかやばい事が起きてしまったが、とりあえず、このまま、ちょっと、遠いところに行くのなら、せめてと、そのもふもふ魔物にちかづいて、めいいっぱい抱き着きたいとも思い、抱き着いた。
その行動に、もふもふ魔物=大きな大きなオオカミに似た、羽の生えた者が、一瞬どう行動していいのか分からずに、瞠目していたが、その後、抱き着いて離れないチェルリに感服したように、抱き着かせていた。
いつの間にかチェルリに気を許したそのオオカミもどきは、いつの間にか、母親よろしく、他の魔物から、チェルリを両親が来るまで守っていたのである。
何故か、それより専属召喚獣となったのも記憶に新しいような気がする。
まあ、それによって、前世と言っていい記憶が戻ったのだった。
記憶が戻って、何か変わったかと聞かれたら、あまり変わらなかったのもまた事実だったりする。
多少、本の読む量が増えたともいう。
そんな、ある意味、他からしたら、相当、変わっているが、自分たちからしたら、たいして変わりない日常である。
そんな、感じではあるが、事件は起きた。
ある意味だ。
そう、ある意味だ。
チェルリがある日両親とともに、冒険に出かけたら、そこで、呪いを受けてしまった。
「お前の父ちゃん、かーちゃん人間じゃねー!!」
いや、自分もそう思います。
「逆恨みじゃ!!なんか文句あっかー!!呪いにかかりやがれー!!!」
思い切りのいい方に呪いをかけられた。
たぶん、あれでも魔族っぽかった。
魔族などに出会うのは本来、珍しい事らしい。
しかも、このような呪いのようなものは、あまりないらしい。というか、使える者がいないらしい。
だが、それにより、男の子になってしまったのは、どうしようもなかった。
というか、言うしかない。
あの魔族も積年の恨みが、多分詰まっていたのだろう。
綺麗なルビー色の瞳からは、心の汗が流れていた。
ちょっとかわいかったのは、内緒である。
そんな男の子になったとしても、子供であるからして、早々に順応能力発動なのだろう。
違和感は早々になくなった。
いや、両親の遺伝子をきっちりかっちり、受け継いだのだろう。
たとえ前世の記憶があろうと、いや、あるからして本来なら受け入れられない状況になるはずなのにだ。
「ははっは!なっちまったもんはしょうがねー!息子ができたぞー!!やっぱり目指すは世界最強だな!」
「そうね。男でも女でも変わりないわ!私たちの子供には違いないわ~目標、世界最強ね!」
相変わらずな両親であるが、それにしっかり影響という洗脳はされていたのだろう。
うん。そうだね。私は私だ。
女だろうと、男だろうと・・・。・・・。世界さいきょう・・・。
「・・・。・・・。・・・」
いや、よくねーだろう!
そんな普通だったら、そんなに早く割り切れない。
これは完全に両親に毒されている。
毒されて・・・。
・・・。・・・。
それもしょうがないのか・・・。
遠い目・・・。
そんな日も過ぎて行った、ある5歳のある日の事だった。
両親が、なんかちょっとやばい依頼が来て、本当に珍しく、チェルリを残して、仕事に行った時だった。
両親が行方不明になったと知らせが来たのは。
そして、両親が、亡くなったと知らされた。
衝撃的で、どうしていいか分からなかった。
悲しくて、悲しくて、いつでも笑いながら、ただいまって言われそうで・・・。
「・・・。・・・。・・・」
いや、冷静になろう。
というか多分、冷静に考えたら、あの両親がそう簡単にくたばらないだろうとも、思っていた。というか、そう思い直した。
現実あの親が、そう簡単にくたばらない。
これは断定である。
まあ、数年後、増えた弟双子とともに、呪いの解き方をこさえて帰ってきたり、しなかったり?
すでに5歳で、自活できるほどの知識と、力が備わっていた。
この異世界な世界でも5歳児という者は、対して前の世界の5歳児と変わらない筈なのに。すでに人外化している。
チートなんていい方だ。本当に人外だ・・・。
まあ、生活には不自由しなかったから良しとしよう。
それだけで両親にはある意味、感謝だった。どうにか一人でも生きていけるように育ててくれてと。
前世の記憶が戻ってもその現代人の知識など、まったく意味はなさなかっただろうから。
まあ、本当にある意味だけれど!!
そうなると、これからの事を考える。
このままでいいはずもない。
力はある。知識もある。だが、年齢が、という問題点もある。
ギルドに登録はしている。だが、年齢を考慮して、保護人の同伴が7歳まで義務づけられている。
それ以降は、実力があれば、依頼を受けられる。
けれど、これから先、冒険者を仕事にして生活をし続けるのにも、少し不安が残るのも事実。
「どうしよう・・・」
安定した仕事先がいいと、考え出す。
ふとした本が、目に入る。
何かの募集の紙が挟まっていた。
「あ、そうだ、文官になろう!」
文官試験のご案内だった。
そうして、とりあえず、文官を目指すことに決めた。
給料も、そこそこ良くて、誰でも試験を受けられる。年齢も何歳からでもOK。
先々出世コースにもある程度乗れる。まあ、元が平民なので、ある程度だ。
まあ、それなりに安定しているので。
そういう事で、文官目指します!!