ボイス家家訓!
新しい話です。よろしくお願いします。
なぜ、こうなったと、言いたかった。
父は冒険者。母はかなりまれな魔道士。そんな中、チェルリ・ボイスとして自分は生まれた。
先手必勝。
ならうより、なれよ。
ヤラレル前にヤレ。
それが、我が家の家訓である。
生まれた、その瞬間に、もうすでに後悔したのは、記憶に新しかった。
目の前には、半端ない大きさの奇妙な動物が牙を向けていた。
「おぎゃああああ!!!」
無理無理無理!!何かの怪物!!しかも何!ここ、戦場!?戦闘!?
意味が分からず、声を出すが、口から洩れるのは泣き声だけだった。
「ああ、チェルリちゃーん!大丈夫よ~怖くないわ~」
何言ってんの!この人!あれが、怖くないってなんなの!?
「おんぎゃあああああ!!!」
「ああ、そうね~生まれて初めて見たものねえ~あの、」
「魔獣」
え?魔獣・・・ま、ま、魔獣う!!!
意味が分からない。全てで意味が分からない!!
「大丈夫よ~。まだあなたは生まれて、一か月だもの~、まだ倒せないけど、一歳ぐらいになれば、大丈夫☆パパみたいに、」
「一撃だぞ~!」
そう言って、長身で筋肉が、程よくあるかなりのイケメンが、高笑いしながら、一撃で伸した。
その魔獣は、直径5メートルはあった・・・。
「・・・。」
いや、ちょっと、待とうか、色々と待とうか!
まあ、もう転生したのは、言うまでもないけど、それより、
生まれて、生まれて一か月!?
なに、首座ってない状態の赤ん坊を、こんな戦闘場所に連れて来てんの!?
ちょっと、周り、鬱蒼とした、なんか空気の淀んだ、森の中だよ?!明らかに、この先魔王城あり。的な場所だよ!?分かってんの!?
周りはさっきから、ひっきりなし、魔物っぽいモノ多発だよ!!?
「まあ、貴方!チェルリちゃんがあなたのかっこいい姿見て、喜んでるわ!やっぱり私たちの子よね~この子、戦いたいのよ!絶対!だって、魔物見て、歓喜したんだから!」
いや、全然、喜んでないから!ねえ!ママさん!気づいて!
むしろ泣いてるから!怯えてるから!!
あなたの容姿、そんな精霊みたいな、はかなげ美女なのに、何それ、あんた、熱血戦闘狂なの!?
「そうか~そうか!よーし!しっかり、かっちり、ばしばし鍛えてやるからな~!世界最強にしてやるぞ!」
いや、いや、全然そんなこと望んでないからね!?分かってる?ねえ?てか、貴方、さっき向こうで、また、拳一撃で8メートルぐらいの魔物、平気で伸してたよね?!
なんか、さっき、『1歳で倒せるようになるから❤』なんて言ってなかったか?!
・・・。
「おぎゃああああああ!!!」
うそだろー!!!。
それとともに、前世の記憶は三歳のある時まで、記憶の彼方にふっとんだ。
家訓
先手必勝!
ならうより、なれよ!
ヤラレル前にヤレ!
それが、ボイス家家訓。
いらない家訓である。
読んでいただきありがとうございます!