表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/20

山本8

のん・あるこ〜る 第15話

山本8

「サマンサさん!?」



舞子を襲った男がハルに放った右ストレートを、

易々と片手で受け止めた男の正体


それは大学でハルと一緒に出会ったあのシンガポール人のサマンサさんだった。


「ハ〜イ!サマンサデ〜ス。」


陽気に笑いながら答えるサマンサさん。


以前会ったときは全然日本語が話せなかったはずなのに

今ではカタコトながらもしっかり聞き取れるほどの日本語を話している。



「サマンサぁ?なんだこの変な外人は。」


また新たに増えた邪魔者に男は怒りをあらわにしている。


「YES!サマンサ〜ヨロシク〜!

ほらガムアゲルよ〜。」


そう言ってポケットからガムを取り出すと

サマンサさんは笑顔でそれを男に差し出した。



「ガムなんていらねぇよ!ふざけやがって!ペッ!」



そう言うと男は自分の噛んでいたガムを床に吐き捨てた。



「あ〜ぁ。やっちゃった。」


ハルがワザとらしく頭をかきながら言った。



「ダメデース!!!」


その時いきなりサマンサさんが叫びながら男に突進した。


「な・なんだよテメェ・・うわぁ!」


サマンサさんは大きな身体で男に覆いかぶさるようにして男の肩を掴んだ。

さすがの男も恐怖からか弱々しい悲鳴のような声をあげた。


「ヒロッテくだサーイ!!」


サマンサさんは男の肩を乱暴に揺すっていた。

怒りに我を忘れているように見える。


「あ〜ぁ。サマンサの前でアレはタブーなのに・・・。

あぁなったら当分の間はサマンサの怒りは収まらん。」


ハルは苦笑いをしながらつぶやいた。


「アレって・・・?」


「ガムだよ。シンガポールじゃガムを吐き捨てるのは犯罪だしな〜。

サマンサはそういうのにすっげ〜厳しいんだ。

お前も学校でガム吐いた生徒にサマンサが怒った話前に聞いたろ?

まぁ・・・日本でもあの男がやろうとした誘拐強姦は充分重罪だけどね・・・あ!!」


ドカッ!!


「ぎゃっ!」


大きな音と共にサマンサさんの鈍い声が聞こえた。


男がサマンサさんを投げ飛ばしたのだ。


「っつつ・・。ってぇなコノヤロ〜!!!」


怒りを爆発させている男。

さすがに男より大きいサマンサさんでも一筋縄ではいかなかったようだ。


「ヒロッテくだサ〜イ!!」


なおも突っ込むサマンサさん。


真正面からつかみ合いになる二人。


力比べは全くの互角のようだった。


もつれながら二人は同時に弾けとんだ。



ガッシャン!!



「やべっ!」ハルはそう言うとサマンサさんの方へ駆け出した。



「サマンサ大丈夫か?

おいお前!俺のことも忘れてねぇか?今度は俺だ来い!」


ハルはサマンサを寄り起こしながら男を挑発した。


「へっ二人でもなんでもかかってこい!」


男は起き上がりながら言った。




ハルとサマンサさんと男は見つめあったまま距離を縮めていく。




ハル・・・。






ん!?






ハルが視線は男に向けながら背中の後ろに手を回しているのが見えた。





・・・何をしているんだ?




殴られてフラフラになったせいか、僕の視界はまだ正常ではなかった。




「くっ。」


僕はぼやける目をこすってもう一度ハルの方を見た。





手をこっちに向けている・・・・。





いや・・・まて・・。




指だ・・・。





指を何かあげてこっちに見せている・・・・。






あれは何指だ・・・・?





もう一度目をこする。







あれは・・・・・。








!!!










「ハル・・・。わかった。」



僕は震えるひざに鞭打ってフラつきながらも

言うことの聞かない重たい身体をなんとか起き上がらせた。


ご愛読いただき本当にありがとうございます。

よろしければ是非続きも読んでみて下さい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ