表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒猫センチメートル。  作者: 三番茶屋
41/56

■■■

 夢を見た――自分が夢の中にいると認識することができた。

そこは墓の前だった。

誰のものかわからない、名前の彫られていない墓石だった。

一人の少女がしゃがみ込んで合掌する後ろで、俺はそれを虚ろな瞳で眺めていた。

そのままどれくらいの時間が経過したのだろうか。

少女は(おぼろ)げな足取りで、ふらふらと白い霧の中に消えていった。







        ◆







 夢を見た――自分が夢の中にいると認識することができた。

そこは墓の前だった。

誰のものかわからない、名前の彫られていない墓石だった。

しゃがみ込んで合掌する俺の背後で、一人の少女が鋭い眼差しで見つめていた。

そのままどれくらいの時間が経過したのだろうか。

少女は(おぼろ)げな足取りで、ふらふらと白い霧の中に消えていった。







        ◆







 夢を見た――自分が夢の中にいると認識することができた。

そこは墓の前だった。

誰のものかわからない、名前の彫られていない墓石だった。

一人の少女がしゃがみ込んで合掌する後ろで、俺はそれを虚ろな瞳で眺めていた。

「あなたの未来に、一体どれだけの幸せがあるの?」

 少女は問う。

「幸せなら、いくらでもあるだろう」

 沈黙したまま、少女はその後、振り返ることも、立ち上がることもなかった。







        ◆







 夢を見た――自分が夢の中にいると認識することができた。

そこは墓の前だった。

誰のものかわからない、名前の彫られていない墓石だった。

しゃがみ込んで合掌する俺の背後で、一人の少女が鋭い眼差しで見つめていた。

「君の未来に、一体どれだけの幸せがあるの?」

 俺は問う。

「今が一番幸せ。未来に何を期待してるの?」

 少女は問う。

「何も、けれど、良いものであって欲しいと願うよ」

 俺は答えた。

「願う未来なんて、持ってない」

 少女は答えた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ