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夢を見た――自分が夢の中にいると認識することができた。
そこは墓の前だった。
誰のものかわからない、名前の彫られていない墓石だった。
一人の少女がしゃがみ込んで合掌する後ろで、俺はそれを虚ろな瞳で眺めていた。
そのままどれくらいの時間が経過したのだろうか。
少女は朧げな足取りで、ふらふらと白い霧の中に消えていった。
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夢を見た――自分が夢の中にいると認識することができた。
そこは墓の前だった。
誰のものかわからない、名前の彫られていない墓石だった。
しゃがみ込んで合掌する俺の背後で、一人の少女が鋭い眼差しで見つめていた。
そのままどれくらいの時間が経過したのだろうか。
少女は朧げな足取りで、ふらふらと白い霧の中に消えていった。
◆
夢を見た――自分が夢の中にいると認識することができた。
そこは墓の前だった。
誰のものかわからない、名前の彫られていない墓石だった。
一人の少女がしゃがみ込んで合掌する後ろで、俺はそれを虚ろな瞳で眺めていた。
「あなたの未来に、一体どれだけの幸せがあるの?」
少女は問う。
「幸せなら、いくらでもあるだろう」
沈黙したまま、少女はその後、振り返ることも、立ち上がることもなかった。
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夢を見た――自分が夢の中にいると認識することができた。
そこは墓の前だった。
誰のものかわからない、名前の彫られていない墓石だった。
しゃがみ込んで合掌する俺の背後で、一人の少女が鋭い眼差しで見つめていた。
「君の未来に、一体どれだけの幸せがあるの?」
俺は問う。
「今が一番幸せ。未来に何を期待してるの?」
少女は問う。
「何も、けれど、良いものであって欲しいと願うよ」
俺は答えた。
「願う未来なんて、持ってない」
少女は答えた。




