ディガリア城急襲?だから?③
次で、七話が終わります。
皆様、ご機嫌麗しゅう・・・じゃなかった、こん〇ちは。九十九 大和です。
さて、③の内容なのですが、気分を害されてしまわれる方が出てこられるかもしれません。
グロテスク系統は毎度のことですが、今回はほんの少しですが、一部性に対しての暴力が出てくるシーンがありますので、お気を付けて下さい。
なお、上記に書いた事は、戦争には付き物です。
綺麗な戦争など御座いません。
どうか、皆様が眼をそむけられないで読んで頂ける事を願っています。
「グヘへ、もう逃げ場はねぇから諦めな。お姫様よぉ」
卑下た笑みで近付いて来るサラマンダーの兵士。
こんな無礼な輩に犯される位なら舌を噛みきります!!
「妾を誰だと思っている!無礼者!妾に触るでない!!」
目の前のサラマンダーは、余計笑みを深めた。
「そんな事知ってるさ、だから、お前さんを偽文書使って誘き寄せたんじゃないか」
「おのれ…!」
妾を騙して…
なんて卑劣な!!
「そんな顔すんなよ。あっちじゃ、お姫様のお友達はあんなによがってるのによ」
サラマンダーが、身体を横にずらして、後ろが見えた。
「!!…エイシャっ!!」
最後まで一緒にいた侍女のエイシャが、三人のサラマンダーに強姦され、陵辱されていた。
「姫…さま。見ないで!見ない…でください…」
涙で顔を濡らしたエイシャが、悲痛な叫びをあげた。
周りには、エイシャ以外の侍女や拉致されて来た女性達が、犯され、涙で顔を濡らしながら喘いでいた。
「貴様らっ!」
「そう凄むなって、次は…お姫様の番だからな!!」
犯される?こんな異種族の誰かも分からない兵士に?この妾が?
「離せ!いや!!誰か助けて!!」
「騒いだって誰も来やしないさ」
その時、空がサッと一瞬陰り、何かが落ちて来た。
だが、サラマンダーは気付いていない。
あれは……
サラマンダーが服を破り、柔肌が露になると益々興奮して、図上に気が行かない。
「退きやがれ!!」
空から剣を携えたアルフが落ちて来た。
☆ユウキ視点
「退きやがれ!!」
暗器銃のブレードを下に向け、やっと気付いたゲスの頭に突き刺し、そのまま幹竹割りにする。
サラマンダーの上に着地したら、衝撃でぐしゃぐしゃに潰れた。ゲスに相応しい死に様だ。
「お怪我はありませんか?」
「え、えぇ…それよりも、友達を助けて!!」
「直ちに!!」
後ろで、唖然として腰を振るのも忘れている三人に向き直る。
血の滴る暗器銃を引き抜き、隠しスキルの威圧を発動する。
周囲に、濃厚な殺気が放たれる。
髪の毛が逆立つのがわかった。
「貴様ら、死ぬ準備はいいか?」
威圧によって、動けなくなった三人に近付いて一人ずつ首を跳ねていった。
汚濁にまみれた女性を抱き起こし、魔法で浄化して、アイテムボックスから布をかけてやる。
「……あな…たは?」
焦点のあわない瞳で、こちらを顔を見上げてきた。
「さて、誰でしょうね?誰だと思いますか?」
そう言って、次の目標に威圧を振り撒きながら突進していく。
アイテムボックスから、何時もは被らない面頬付きの漆黒の冑をかぶり、吼える。
怯えて逃げる連中の背中に、暗器銃の大口径質量弾(20mm)を放ち、命を奪っていく。
健気にも立ち向かって来る連中は、身体を両断した。
「どうした!彼女らを襲っていた時の威勢を見せてみろ!!」
全身が返り血を浴びて真っ赤になっても、剣を振るうのを止めない。
「や、やめてくれ!」
そう言って、最後の一人が足にしがみ付いてきたが蹴っ飛ばし、肩口にブレードを突き立てる。
「ぐわあぁぁぁ!?」
「痛いか?だがな、彼女達の方がもっと痛いと思わないか?」
傷口を広げる為に、柄を捻る。
それと同時に絶叫が響きわたった。
「許して、許してくれ!」
顔面をぐしゃぐしゃにしながら、泣き叫ぶサラマンダーを一瞥する。
「その言葉は、彼女達が一番叫んだ言葉じゃないのか?」
震えながら、なおも命乞いするサラマンダーの太腿を踏み付け、ゆっくりと体重を掛けていった。
ボキリと大腿骨の折れる音に続き、絶叫があがった。
「第一、この俺が許すと思っているのか?」
「……うぐっ!…はぁ……思ってる、思ってるから、だから…!」
「バカな、空が落ちて来ても有り得ないな」
傷口からブレード部分を引き抜き、トドメを刺す為に暗器銃の柄に付いているレバーを引いて、薬室に金属製の弾頭を装填した。
ガシャと、小気味のいい音がした。
何度聴いても、カッコイイとは思うが、やはり命を断つ物であるためいい気はしない。
「頼む!…頼む!」
恐怖のあまりか、失禁すらしていた。
やはり、冑を被っていて正解だ。
こんなにも醜い表情をしているのに、誰にも気付かれないですむ。
トドメを刺す為に、トリガーに力を込めようとしたとき、止めが掛かった。
「お待ち下さい!」
服を破られていた女の子だ。
服装からして、やはりお姫様に違いない。
「仰せのままに」
暗器銃を自分の肩に当て、片膝を付いて平伏した。
「そのサラマンダーは、妾が身柄を預りたいのです。騎士様」
「ですが、宜しいのですか?」
冑越しにいまだに放心して座り込んだままの女性や、肩を寄せあって泣いている女性が見える。
「其奴には、罰を与える必要があります」
「そう仰るのであれば」
後ろで、サラマンダーが気絶して倒れたようで、ドサッと音がした。
あ、ヤベ…傷を塞がないとアイツ死ぬな
取り敢えず、治癒魔法をかけて出血だけ止めておいた。
その次に、女性達を浄化して傷を治していったが、俺の魔法は心の傷は治してやれなかった。
女性達の数は26人。
種族はバラバラで、ケットシーやホビット、ウンディーネなんかもいる。
どうやら、王女の侍女以外に、近隣の村から拐われて来た人もいるらしい。
唯一の救いは誰も殺されていない事だ。
一人一人に何か着るものを渡したいのだが、生憎女性物の服なんて持っているはずがなく、応急措置として大きいと思うが、自分のシャツとズボンを渡した。
「どうやら、一段落ついたようですな」
そんな声を伴って森の中から、賢者の着てそうなローブを纏った、白髪白髭お爺さんが出てきた。
誰ですか…
「あのぅ、どちら様ですか?」
その言葉に、ガーンと落ち込んでいる。
へんちくりんなじい様だなぁ
「この翁をお忘れになるとは…さっきは背中に乗せたのにですぞ」
「オムナか…」
人に姿を変えられるなんて、ぼかぁ聞いてません。
教えてないもんね。
「まったく、そのくらいは教えて置いて欲しいものですな」
「だから、どこ見て言ってるんだってば」
お姫様が、こっちの様子を見て、 動揺していらっしゃる。
「この翁は、オムナと言う者です」
「ホッホッホ、オムナですぞ。以後よしなに」
優雅に一礼をしたオムナ。地味にジェントルマンに見えるのは、年が見せる技だと思う。
「そうだ…指令室に連絡を」
別に、忘れてた訳じゃないんだかんね!
……何言ってんだろ。
「目標の保護に成功した」『了解した。ユウキ、イカロスが戻ってきたぜ』
「了解、安全圏に移動次第攻撃を開始するよ」
通信に出たのはジョンだった。
後ろで、目標の保護に成功したと、ジョンが告げたらしく、歓声が聞こえて来た。
『しかしよぉ、どうやって敵さんをぶっ潰すのよ』
「お楽しみ」
それだけ答えて、通信を一方的に切った。
取り敢えず、高級将校が拉致られて混乱している内に、攻撃しなければいけないな。
ならば、早くここから逃げなくては…
ちょうど近くに王女様がいた。
「王女様、お名前をお教え下さい」
王女の目線まで膝を折ってあわせる。
「妾の名前は、サリアス=アルデナリア=ファリス。ナリアと呼んで下さい。騎士様、貴方は?」
「私ですか?…ユウキとお呼び下さい。ところでナリア様、急いでここから離れる必要があります」
大雑把ではあるけれど、サラマンダーを殲滅する攻撃が開始される事と、我々がここに居ると巻き込まれる可能性がある事を伝え、面頬のスリットの隙間から入って来た血を拭う。
そういや、全身血みどろだったっけ。
改めて自分の鎧を見たら、返り血がべっとり貼り付いている。
黒くてよくわからないだけだ。
取り敢えず、自分の身体にも浄化の魔法で血を拭っておく。
向こうでは、ナリア王女が女性達に説明していた。
「オムナ、彼女達を乗せてディガリア城まで飛べるか?」
「ひいふうみい…26人ですかな?乗れない事はないでしょうが、掴まる所が無いと思いますぞ」
確かに、オムナの背中に乗れない事はないだろうが、掴まる所は無さそうだ…
鱗と言っても、逆さに生えているわけでもないし。
…一つだけ方法があるけど、オムナが了解するかな…
「オムナ、これを着けて飛べるか?」
「……これ、ですかな…?」
アイテムボックスから、でんと取り出したのは、輸出用コンテナのような金属製の籠。
「老体に鞭を打つおつもりとは、中々良い趣味をしておいでなようですな」
オムナがジト目で、皮肉を言ってきた。
だって、これしか無いんだもん。
ブツブツ言いながら、オムナは一回森の中に消え、直ぐに巨大な龍が飛んで来た。
女性達が悲鳴を上げたので、誤解を解きに走った。
オムナの胴体にコンテナを装着し、その中に女性達を誘導して、自分はオムナの背中にしがみついた。
「良いぞ!」
『いきますぞ』
やはり、重いせいとコンテナの中の女性を気遣っているのが、かなり慎重に飛び立った。
ディガリア城まで、残り一キロになったときにジョンに通信する。
『どうした?』
「でっかい花火がみれるかもよ」
『なんのこっちゃい』
幕僚達と、城の最上階のテラスに行くように伝え、とある所に連絡する。
『久し振りですね。私の存在そのものを忘れてしまったかと思ってましたよ』
水晶玉の向こうで、黒髪長髪なお姉さんが笑っている。
「そんなことないさ。まだ、あれの存在を公にする時期ではないからね」
『確かに、まだ完成しているのは半分ですからね。でも既に私が出来てから三ヶ月が経ってます。しかも、最後の連絡から二ヶ月と十日…私には長過ぎる時間です』
水晶玉の中で口を拗ねるようにすぼめているお姉さんの名は、
「いや、申し訳ないと思っているよ。セリーナ」
『さて、本当の所はどうでしょうね』
あっと、こんな話をするために通信した訳じゃなかったや。
「セリーナ、ちょっとA27.J5に、制圧砲撃を要請したいんだけど」
セリーナが片眉を上げて、少し考える顔をした。
『距離的には可能ですが、標的があれでは威力が有りすぎるのでは?』
ちゃんと目標が何なのか分かってる。
「一発でか?」
『二発ですね。一発だと、難しいです。第一、軟目標を攻撃する為のモノではありませんよ』
セリーナが肩をすくませながら言った。
「構わないよ。やってくれ…時間が惜しい」
『アイ・サー』
水晶玉の中で、セリーナがニコニコしている。
『現在射角調整中…二番、五番発射用意よし』
「撃ぇ!」
遥か向こうで、チカッと何かが光った。
『目標地点まで残り約15秒』
風を切り裂いて何かが飛翔して来る音が聴こえてきた。
ヒュルルル…
近くを通過したらしく、余波でオムナがよろける。
『な、なんですぞ!』
『弾着、今』
サラマンダーの本陣が有った地点で強烈な閃光が迸り、黒紫色の光がドーム状に広がる。
遅れて爆風と爆発音が衝撃波を伴ってやって来た。
その爆風に濃厚な魔力を含んで。
『バ、バランスが取りにくいですぞ!』
巨大で安定性能抜群のオムナでさえフラフラしてしまう程の爆風。
『む!なんと純粋な魔力…力がみなぎりますぞ!!』
オムナが周囲にある魔力をあらかた吸収して、ハッスルした。
しかし、これは改良の余地がありそうだ。
余りにも、魔力がエネルギーに変換されていない。
「オムナ、見ろ」
爆心地は、球体状に抉れていた。
それも、約半径一キロ程もありそうである。
想像を絶する破壊力だ。
そこには、クレーター以外何も残っていなかった。
『なんと凄まじい…』
オムナは長い首を曲げて見ていた。
いかがだったでしょうか。
七話は次で終わりなのですが、八話の前に、一旦閑話を挟もうかなと計画しておりますので、お楽しみに待っていて下さいね☆
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