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Spirit of kingdom  作者: 九十九 大和
異種間戦争へ~ん
6/11

狩りって楽しいよね!やったことないけど

長らくお待たせ致しました。

眼を怪我したりと、問題が様々積み重なっていまして…

ここは、腹を切ってお詫びを……え?腹を切ったら、次回が投稿されないって?

………………



今回はグロ強めなのであしからず

狩りって楽しいよね!やったことないけど


クイーンたちの黒銀聖龍騎士団の本拠地、ディガリア城の城内は重たい空気に支配されていた。


どんなに国境の警備を(人員が許す限りの話)多くしても、何故か近隣の村が襲われるのだ。


そんなせいで、怒り心頭なのかは表情からは読み取れないのだが、クイーンは機嫌が悪かった。

たまに、身体からどす黒いオーラが滲み出る(揶揄ではない)事があり、秘書官のアルフの女の子がビビッて半泣きで団長室から飛び出て来たこともあった。


そんな中、二人の人物が団長室の扉の前に立ち、扉をたたいた。


この二人は、命知らずなのか、はたまたただのバカなのか。この二人には、ある意味当てはまるかもしれない。


入りたまえと、声が中から聞こえ、二人はお互いに頷きあってから中に入った。


「良く来たね。ユウキ君にジョン君………さっきから、何を考えているんだい?そんなにいやらしい笑みを張り付けて」


入って来た二人の下卑たニヤニヤ面を見て、クイーンは片眉を吊り上げる。


「いやですね?最近イライラされているご様子をお見かけしましたものでして…」


ジョンがヘコヘコしながら揉み手をして、クイーンのデスクに近付いていく。どう見ても、ただの変態か越後屋にしか見えない。

しかも、顔には下卑たニヤケ面と来た。さすがのクイーンもドン引きである。


「最近、鬱憤を解放していらっしゃらないのが、原因ではないかと、愚考した次第に御座いまして…」

「お、おぉう……」


そして、まるで道化師の仮面の様に、極限まで口の端を上げ、眦を落としてさらに近付く。

すでにデスクの側面に回り込んでおり、クイーンの顔をのぞき込んでいる。非常に顔が近い。

一番、あの顔を表現するに相応しいキャラクターがいるとすれば、ゼ〇ダの伝説 ムジュラの仮面に登場する、あの有名な仮面売りだろう。

というか、髪型が違うだけで、ご本人様だ。


クイーンは、仰け反りながら回転座椅子を器用に後退させている。


「そこで!とある情報を入手致しました。」


ここの時点で、揉み手は眼にも留まらぬ速さで前後していた。


「ほ、ほう」

「近隣のオデゥナスと言う街に邪龍が出たと……邪龍自体は、騎士団の面々と、街の自警団及び有志の活躍で、森まで後退させたらしいのですが…」


ジョンの揉み手がピタリと止まり、表情も真面目になった。


「奴らは、火炎属性でしか致命傷を与える事が出来ません。幾人か犠牲者の出たようですので…」

「…ふむ」


そして、また直ぐに元の仮面売りフェイスに戻り、揉み手を開始した。

その豹変振りというか、変身振りというかに、クイーンが圧倒されている。


「ここで一つ提案が御座います」

「龍狩りか」

「お察しがよろしい様で」


スッとクイーンから身を引き、ユウキの隣に立つ。


「住民達にも恩を売れますし、気晴らしにもなりますので」

「ユウキ君もそう言うなら……行きますかい?」


満場一致で可決された。


城の防衛等は、インフィーとイカロスに任せ、騎龍として飼育されている黒銀龍を使って、オデゥナスの街まで一っ飛びだ。

と、いっても二時間掛かってしまう。


オデゥナスの街は、比較的アルフ領王都 グラッセンディアに近い為か、普通の街と比べると、かなりデカい。


普段の街の喧騒はなく、静まりかえり、まるで街が死んでいるみたいだ。


「やはり、邪龍のせいなんでしょうか」

「たぶんね。みんな隠れているんだろうよ」

「とっとと、倒して何とかしましょうぜ」


三人は頷きあい、冒険者ギルドに寄って邪龍の位置情報を貰い、先回りして罠を仕掛ける。


罠といっても、踏むと大爆発する自爆魔法が刻印されている壺を埋めてあるだけなのだが。


あとは、近くに肉塊などの餌を設置して待つだけである。なんてお手頃な仕掛けだろうか。

呆れてしまうが、これで掛かってしまうのだから、仕方ない。


三分後、匂いにホイホイ釣られたのか、黒く巨大で不細工なカメレオンみたいな顔をした邪龍が、ゆっくりと降りてきた。

10tトラック程の大きさであろうか。


三人とも魔法で姿を消し、得物を握りしめて舌なめずりをして待ち構えていた。


傍から見たら、どっちが悪者なのか分からないだろう。

一言で言うなら某拳王親衛隊みたいに見える。


「ゲヘヘヘヘ……あと、一歩だぁ……」

「フヒヒヒヒ……綺麗な花火が咲くぞぅ……」

「最近この二人、どうもおかしいなぁ」


ノッソノッソと肉塊に歩いて行く様は、何とも滑稽だ。


大きな口から覗く牙は、凶悪な印象を与え、その牙の隙間から滴り落ちる唾液は不衛生な印象を与える。


はっきり言って、近寄りたくない顔をしている。しかも不細工だ。


どう生まれてきたらこうなるのか聞いてみたい。


邪龍が、最後の一歩を踏み出した瞬間を二人は、眼を見開いて邪龍顔負けな醜悪の表情で見ていた。


大きな足が、壺地雷(即席)を踏んだ瞬間、周囲の音が消え、強烈な閃光と共に爆発が邪龍を包み込んだ。


「ギシャヤヤヤヤャャャッッッ」


凄まじい叫び声を上げて、罠を踏んだ右足を引きずりながら、モウモウと立ち込める爆炎を切り裂いて飛び出してきた。


「クイーンさん、先行きます」

「了解。どんなんか実力を測ってみて」


ユウキが魔法を切って、ミスリル鋼で出来た長剣を片手に飛び出した。


「シッ」


短く息を吐いて、勢いを付けて尻尾に叩きつける。


ガキン!と金属同士が接触したような音と共に、ボキン!と嫌な音が続いた。


邪龍は、純粋な打撃力により、よろけただけで鱗には傷一つ付かなかった。


おまけに、叩きつけた方の長剣が衝撃に耐え切れずに、真ん中から二つに折れてしまった。


「かた!?」


剣を振り切った姿勢で一瞬硬直したユウキに、邪龍が体ごと回転して振った尻尾が襲い掛かる。


ユウキは軸足と体重移動で紙一重の回避をやってのけた。


さらなる追撃が来る前に、邪龍の顎を蹴り上げて脳震盪を誘発させ、眼を回している間に魔法で姿を眩ました。


「あぶねぇ…カッチカチだぞアイツ」

「純粋な打撃は効くみたいだな。だが……俺にはこれがあるんだゼ!!」


そう言ってアイテムボックス代わりの亜空間から取り出したのは、運営側の悪戯又はガンヲタの野望と呼ばれたアイテムだった。

その名も


「電熱の鉄斧、又の名をヒートホーク!!」


見た目もまんまヒートホークである。ぶっちゃけとても欲しい。


しかも、地味にレア度と威力が高い。


<電熱の鉄斧>

片手斧

レア度  古代級


攻撃力  50000

命中率    570

属性    火炎属性

属性値   1000

解説

『この斧の前には、斬れない物は一部を除き無いだろう!!さあ、これを手に入れたそこの君!タックルと一緒に繰り出そうではないか!!勝利の栄光を君に!!』


さっぱり何を言いたいのか分からん。

というか、解説で一部を除きとか書く意味である。

さらに言うと、訴えられないのが謎とまで言われていたりする、曰く付きの一品だったりする。


「出ましたよ…ヒートホーク。しかも、こう見ると錆びた長剣とは、エライちがいだな…」

「邪龍には火炎属性しか効かないからな。部屋に埃まみれで飾ってあったのを引っ張りだしてきましたゼ?」

「で、ジョン君はそれをどうするんだい?」


クイーンの問いに、ジョンは口の端を歪めた。


「こいつはですね。こうやって振りかぶって…オリャ!!」


何を想像したかは不明だが、さながら巨人の☆の星 何某の様な投擲ポーズを取り、勢い良く、いまだに眼を回している邪龍に投げた。


クルクルと回転して飛んで行ったソレは、邪龍とは明後日の方向に飛んで行き、進路上の木々を伐採して、最後に地面に突き刺さってそこをガラス化しながら止まった。


「…………」

「…………」

「…………」


何とも言えない空気が流れた。


「……ノーコン!!」

「うっさいわ!?」

「哀れノーコンジョン君伝説」

「ぐはっ…」


トドメを刺されたジョンは、地面に倒れ伏した。

おお勇者よ、死んでしまうとは情けない!


ユウキは、そんなジョンを放って置いて、アイテムボックスから柄の長く、ブレード部分が大きいヒートホークを取り出した。


これもまた運営側の悪戯そのⅡである。

コアなガンヲタしか分からないネタ武器をユウキは取り出したのである。

諸君らは、この意味が分かるであろうか。


そして、それの名は


「電熱の戦斧又の名を対艦用ヒートホーク!!分からない人は機動戦士ガン○ム THE ORIGINを読もう!!」

「おい、どこに向かって言ってんだお前は」


<電熱の戦斧>

両手斧

レア度  古代級


攻撃力 100000

命中率    300

属性    火炎属性

属性値   1000

解説

『よくぞ手に入れてくれた!!これで君も一人前の機動戦士だ!この武器を前にしては、一部を除いて、敢えて言おう、カスであると!!実は、本物は超振動しているのだが、そこまで処理が追い付かなかったのである!!ゴメンネ』


さらによく分からない、むしろ意味不明である。

というか、又出た。『一部を除いて』どう考えても解説に必要ない。

しかも、ガン○ムにはなれない。

でもって、詳し過ぎて、一般人には付いて行けない。


ツッコミはさておき、この電熱の戦斧もとい対艦用ヒートホークは、とにかく長い。

ユウキの身長は185cmだが、対艦用ヒートホークは柄の先から切っ先までの長さが200cmもある。

威力は申し分無いのだが、長すぎて取り回しが劣悪なのと、滅茶苦茶重たいので、筋力値にある程度余裕が無いと、隙が大きすぎてまったく使えないというロマン武器なのだ。


「リベンジだ。さっきは中上級の長剣を壊されたからな。落とし前付けなきゃ」

「ユウキ君、そろそろ私も出るよ」


よいしょと対艦用ヒートホークを持ち上げたユウキの隣で、クイーンも重い腰を上げた。


「クイーンさん、武器は?」


クイーンは何も持たずに、さっきから手のひらを閉じたり開いたりしている。


「何って、私には拳が有るじゃない」


そう言って、ギュッと拳を握り締めた。


「うわぁ…」

「打撃が効くなら…ねぇ」

「えげつねぇ…ここに鬼がおる…」


クイーンの拳が、蜃気楼の様に揺らめいている。

何かしらの魔法を纏わせているのだろう。


どうやらクイーンは、簡単に邪龍を成敗する気はないようだ。


「では行きましょう」

「行こうか」


不可視化魔法(敵のみ有効)を切り、サッと飛び出した。


スタンから回復した邪龍に向けて、クイーンは離れた所から拳を繰り出す。


拳の延長線上に魔法陣が浮き上がり、邪龍が何かに殴られた様にふらつき怯んだ。


ユウキは、その隙を逃さずに対艦用ヒートホークで追撃する。


長所である長いリーチを有効活用して、その長い柄で邪龍の足を払い、体勢を崩して転んだ所に対艦用ヒートホークで襲い掛かる。


邪龍の堅牢な鱗に覆われた、長い尻尾の付け根に、赤々と熱せられた灼熱の刃が食い込む。


余りの激痛に、邪龍が吼え、空気がビリビリと震動した。

普通の生物ならば、本能の奥底に眠る生理的恐怖に支配され、それこそ蛇に睨まれたケロちゃんの様に…いや、ニョロロに睨まれたケ○ロ軍曹の様に動けなくなるが、生憎この二人は普通ではない。

内一人は人外(妖精族を人と表した場合)である。


そのまま、尻尾の付け根に食い込んだ対艦用ヒートホークの刃は、周囲の組織や細胞を高熱で溶かし、胴体と尻尾を切り離した。


「野郎!!赤っ恥掻かせやがって!ぶっころしてやる!!」


はっきり言って自業自得なのだが、絶望の深淵から奇跡の生還を果たしたジョンは、回収したヒートホーク(普通版)を持って、翼を捥ぎ取りに掛かった。


狂気を身に纏い、ジョンとユウキの二人は、何度も何度もヒートホークの叩き付け、邪龍の身体の部位を削ぎ落として行った。

だが、ちゃんと死なないように手加減してあるのが始末に負えない。


その頃クイーンは、少し離れた所から次々に拳を打ち出し、邪龍の顔面をサンドバックにしていた。

途中、『北斗百裂拳!!』とか『北斗十字斬!!』とか『北斗破顔拳!!』とか『銀色の波紋疾走メタルシルバー・オーバードライブ』とか言っているのは気にしない。気にしたら負け確定である。


急に、何を思ったのか、己の拳に掛けていた魔法を切って、新しい魔法を掛け始めた。


先程までは、蜃気楼の様に揺らめいていたのだが、今度は淡く光っている。


クイーンは、頭を殴られて、スタンというよりもグロッキーになっている邪龍の頭をつかんだ。


半狂乱になっていたユウキとジョンは、何事かとその手を止め、クイーンに近付いた。


ニヤリと笑ったクイーンは、一回その手を離し、技名を高らかに言い放った。


「シャイニングフィンガー!!」

「「いやいやいやいやいやいや!!」」


強烈な閃光を放つ手のひらで、再び邪龍の頭を掴み、街とは反対方向の森にむけた。


「Gだよな…」

「いや、この感覚…これはターンXだ!!」

「という事は…」

「我が世の春がキター」


手のひらが爆発し、邪龍が吹っ飛んだ。


木々を薙ぎ倒し、その先にあった巨石にぶつかって止まった。


「また一つ、つまらぬモノを飛ばしてしまった」

「以前にもやった事あるんですか…」


クイーンはドヤ顔をしているが、二人はドン引きである。


「さて、そろそろお仕事を片付けましょうか。」


クイーンの言葉に、二人は口の端を歪めた。


何故か、三人の背後から陽炎の様なモノが立ち上って、周囲の景色が歪んで見えた。


そんな恐怖の大王から逃れようと、邪龍は必死にもがくが、尻尾は根元から千切れ翼はもがれ足は傷付き頭はクラクラしているので、どうにも出来なかった。


嗚呼、無情…とはまさにこの事だろう。


そして、邪龍は考えるのを止めた!


「ん?」


途中、地面にひっくり返っているアルフの男性を見付けた。


格好からして、どうやら冒険者の様だ。

邪龍退治でもしに来たのだろう。

火炎属性の高い武器を背負っていた。


取り敢えず回収して、再び邪龍に近付く。


ズズーンと、三人は邪龍の目の前に仁王立ちした。

その時、三人がジョジョ立ちをしていた事は見なかった事にしよう。


「では失礼して…ゴホン……助さん角さん、少し懲らしめてやりなさい!」

「「承知!」」


ジョンがヒートホーク片手に飛び掛かり、頭に何度も何度も繰り返しブレードを叩き付け、噴出した血液を全身に浴びて恍惚とした表情を浮かべながら、出て来た脳ミソを素手で掴んで、引っ張ってみたり、長い刺突用の針を突き刺して、邪龍が痙攣するのを楽しんでいたり、ユウキは背中に対艦用ヒートホークを突き刺して、強固な鱗と組織を破壊し、背骨が見え始めた所でアイテムボックスから、<氷山象のキモ>というアイテムを取り出して、絶対零度のそれを背骨に乗っけて、カチンカチンに凍ったところを蹴っ飛ばして粉砕し、出来た穴から手を突っ込んで血の滴る内蔵を鷲掴みにして引っ張り出し、奇声を上げながらその血を啜っていたり、とてもじゃないが一般人が見たら、あまりのスプラッターぶりで気絶してしまうような光景にはならず、ただただ二人は、チマチマと邪龍の尻周りの鱗を毟り取っては、塩と辛子の混合物を刷り込んで行くという、単純かつ何の嫌がらせか分からない拷問をしていた。


「助さん角さん、もうその辺で良いでしょう。尻尾と、もいだ翼を傷口に付けてやりなさい」

「「ははっ!」」


もいだ翼と、切断した尻尾を持ってきて、傷口に押し当てると、驚異的な生命力で完全にくっ付いてしまった。


足は傷付いたままだが(壺の破片が刺さったままだから)、急いで起き上がった邪龍は、暫く威嚇するように三人を見ていたが、火の付いた蝋燭と調教用の鞭を持ったジョンと、口笛を吹きながら塩と辛子を混ぜ出したユウキを見て、慌ててアルフ領から逃げ出す為に飛び立った。


「もう来んなよー。行くならサラマンダ―領に行けよー」


ジョンが、ヒラヒラと小さくなって行く背中に手を振った。


「さて、次の問題だけど」


三人は、木の幹に寄り掛からせてある、気絶した男性を見た。


「……う…………ぅ」


タイミングが良い。

どうやらお目覚めの御様子。


「おい、起きろ」


ジョンがしゃがんで、ペチペチと男性の頬を軽く叩いて、覚醒を促した。


薄っすら眼を開けた男性は、三人の顔を見た途端、恐怖に顔を引き攣らせて後ずさりした。


「こ、殺さないでくれ!俺には妻と二人の子供が居るんだ!!子供が病気で…」

「おいおい!ちょっと待ってくれよ。なんで俺がアンタを殺さなきゃいけないんだ?」


ジョンは、後ろの二人に振り向いて、肩を竦めた。


クイーンは両手を上げ、ユウキは首を竦めた。


ジョンは向き直り、男性の肩を叩こうと手を伸ばしたら、


「ば、化け物!!」


と叫び、更に後ずさろうと努力するも、木の幹に背を預けているので、それ以上下がれなかった。


「失礼なヤツだな」


普通の反応です。


「何もしないから、今日あった出来事だけは忘れろよ…それと、今お前に握らせた物は、絶対に離すなよ……行け!!」


そう言って、男性を立ち上がらせ、その際さり気無くミスリル貨を握らせて、ケツを叩いてその場を去らせた。

ミスリル貨は一般人には高すぎるかと一瞬考えたが、その辺は気にしない。


男性は、必死な形相で走り去った。

ようやくオデゥナスの街に着いて、自分が必死に握らされていたモノを見て、驚愕し、次の瞬間にはへなへなとその場に座り込んで、また直ぐに立ち上がっては大喜びで子供の名前を叫びながら、走って帰路に就いた。


実はこの男性、子供が病気と言うのは本当で、二人揃って仲良く難病に罹ってしまっていたのだ。

なんとかして、子供の治療費を稼ぐために冒険者ギルドに足を運び、貼り出されていたクエストの中でも一番報酬額の高いやつを選び(内容を確認せずに)、受けたのだが、邪龍退治と後から気付き、友人に土下座までして火炎属性の武器を借りてやって来たのだ。

そこまでは良いのだが、先客が居るのに気が付いて、交ぜて貰おうとしたら、どうも様子がおかしい。

大規模なパーティーで事に当たるのが、邪龍退治のセオリーだが(一人で来てしまってどうしようか考えていた)、なんと三人でまるで遊ぶ様に邪龍を手玉に取っているではないか。

しかも、見た事の無いような武器でだ。

逃げようか迷ったが、好奇心に負けて観察していたら、一人の長髪の男性(クイーン)が片手で邪龍の頭を持ち上げたではないか。

いよいよ好奇心に負けて、彼らを見ていたら、突如邪龍がこちらに吹っ飛んできて、逃げる暇もなく余波で気絶してしまったのだ。


まぁ、結局のところ、ミスリル貨(五十万エギル)を貰った男性は(この男性の年収二年分と同じ)、この大金で子供を治す事ができ、暫く裕福に暮らせたそうな。


「ふぅ、最後のは興醒めだな」

「まぁ、良しとしようじゃないかい」

「そうそう、気にしない気にしない」


三人は、全身を返り血で染め上げながら、肩を並べて愉快そうに帰って行った。


かくして、オデゥナスの街から脅威は去ったが、三人と他複数名を襲う困難?はまだまだ続くのである。

それはまた、別のお話…


             



                   続く


「隊長!次回投稿催促命令です!!」

「なぁにぃ?そんな事をしている暇があったら、俺のケツを舐めろ!!」

「はい!よろこんで!!」

「おい!待て、待つんだ!!そう言う意味で言ったんじゃない!…おい、よせ止めろ!!俺に近寄るな!……どこを触っている!HA☆NA☆SE☆……うわ!うわぁ!うわああああぁぁぁぁぁぁぁあああぁっぁぁぁぁぁ!!!!!…………………」

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