決闘?なにそれ美味しいの?以下略
最近ピクシブにスト魔女の二次小説を上げていて、最近こちらを疎かにしておりましたので、とりあえず生存報告を兼ねて、第4話です。
第4話 決闘?なにそれ美味しいの?以下略
ちょ、決闘とか!ステータスチート状態だけどまだ始めたばっかなんですけど!
心の中でツッコミを入れてみる。
「あんた心の声だだ漏れなのよ!」
どうやら盛大に漏れていたらしい。
赤毛に近い茶髪の髪に深紅の防具で地味にお臍とか出ている、腰には片手剣を下げている。
そしてエロ…ゲフゲフ…じゃなくてエルフの美少女が入ってくる。
ツカツカとこちらに近付いてくる。グイッと胸ぐらを掴まれる。
「あんたに言ってんのよ。」
「は、はい?!」
思わず声が上ずっちまった、なんと恥ずかしい…
「大体、五百万エギルも持っているプレイヤーが初心者な訳ないで…しょうがぁ!!」
「うぐぇ……うぐぐ…ぢぬぢぬ…」
く、首が絞まって死にそうなんですけど…
「まあまあ、インフィーちゃんよ。大体、首が絞まってるぜ」
ギルバートが、インフィーと言う少女がユウキを絞め上げているのを見て苦笑いをしながら忠告する。
「大体、ギルが勝手に売っちゃうのがいけないんじゃない!!」
ドサリと絞殺刑から解放されたユウキが地面に降ろされる。
「し、死ぬかと…思った…」
ぶっちゃけ、ジョンの言ってた黄色いお花畑のある河原が見えた。ヤベぇガチだぁ…俺の霊魂が囁いている…
ギルバートがやれやれと頭を振る。
「なあインフィーちゃんよ。俺も商売してるんだ。勘弁してくれよ。」
肩をすくませる。
「第一、ちゃんと金だって払ってくれたんだ。お金様は神様だぜ。」
いや、それ違う。
再びユウキへと怒りの矛先が向く。
「ちょっとあんた何断りもなく買ってんのよっ!!」
「はいぃぃっ?!何で?!」
もう観点がおかしい方向へと大きく脱線し始めた。
「わたしがどんなに思いでコツコツ古代龍のキャンプ狩りをしてお金貯めたと思ってんのよっ!やっと!ウキウキしながら!!買えると思って!!!帰って来たのに!!!!!!くやしいいいいぃぃぃいぃ!!!!!!!!!!!」
「ぐぼっ!…うぐへっ!…どはっ!ブルアァ?!」
!一回につき一発のボディーブローが決まっていく。
く、クイーンさん…手を合わせてないで、助けて下さい…あとジョンは殺す…
そんな事を思いながら、されるがまま500hit!!の文字が出るまで殴られ続けた。
「で、俺をあれだけボコっておいて…結局決闘するんですか?」
散々ボコられた挙げ句、外に引っ張り出されて決闘をさせられる羽目に…なんだか続々野次馬が集まり始めている。
「当たり前じゃない。ルールは一発勝負。先に相手に攻撃を当てた方が勝ちね。因みにわたしが勝ったらあれを貰うわ。」
「成る程ね。よくわかりましたけどインフィーさん、そんなにこれがすごい物何ですか?」
「当たり前じゃない。古代武器なんだから。」
これだから…とインフィーがなにやらぶつぶつ言っている。
どうやら、このゲームのレア度はこんな具合らしい。
まず一番下がカス、下級、中下級、中級、中上級、上級、高級、最上級、古代級、神格級続くらしい。
しかし、一番下がまさかカスとは思わなかった。
「決闘するのはいいんですけど、俺にメリット無いんですかい?」
至極当然の事を言ってみた。
「そうね…わたしに勝てたら一つ願いを聞いてあげるわ。」
ええっ!?と、周りのギャラリーがどよめく。
ジョンがゲスな眼をしている。気持ち悪い。
「言いましたね?もう後には退けないですよ?」
「別に敗けるつもりないから。」
そう言うと腰に下げている片手剣を抜く。
やれやれ、これはもうやるしかなさそうだ。
ユウキは所持品からレア度がカスの《錆びた長剣》を装備する。
なんとこの長剣、カスの名に相応しい攻撃力と解説を有していた。
《錆びた長剣》攻撃力2 命中率2 解説、長剣の中でもある意味最強のカス武器。プレス加工製のクセに武器破壊が起きない。カスのくせに生意気。
らしい。どうやら、運営側はこの武器が気に入らないらしい。
「いつでも良いですよ~」
自分の持っている武器を見てインフィーがニヤリと笑う。
《Fight!!》
最初に動いたのはインフィーだった。
一瞬で距離を詰め、低姿勢から脛を狙って一閃。
残念、その手は最初から読めているんだよね。というか、まず動きがゆっくりし過ぎなんだよ。
全然遅くはない。普通のプレイヤーならまず彼女の俊敏値について行くのは無理である。それほどの斬撃速度なのだ。こいつがチートなだけである。
『もらったっ!!』
インフィーは勝利を確信したが、一瞬で裏切られた。
片手剣があと少しで当たる瞬間、ユウキの長剣がまるで生き物のように片手剣に絡み付き、受け流したのだ。
インフィーは一瞬硬直したが、βテスターのプライドなのか意地なのかが、直ぐに体勢を持ち直し、今度は肉薄してくる。
しかし、全て体を反らしたり少し屈んだり長剣でパリーしたり受け流したりと避けていく。視線なんて明後日の方向を向いている。
インフィーが躍起になってスキル技を連発してくるが、ことごとく回避していった。
なんだか、可哀想になってきた…もうそろそろ終いにしますか。
インフィーはなんだか既に涙目になっていて泣きそうな顔をしていた。
最後、インフィーが上段から斬りかかって来るのを見たユウキは、不敵に笑った。
『なんか今コイツ笑った?…マズイ!』
もうそう思っても遅い、スキル技をキャンセルする事は出来ない。
視界がゆっくりと見え、ユウキに迫った自分の片手剣を長剣が絡め取り、愛剣が自分の手から離れていく感覚はあり、次の瞬間…眼を強く閉じた。
しかし、何時までも斬撃は来ない。そして前へ倒れこむ形に誰かに抱き留められた。
眼を恐る恐る開けると、剣を下ろしたアイツの顔が見えた。
「あ~、女性を斬る趣味はないので降参して貰えません?」
インフィーは、バッ!と体をユウキから離すと、赤くなりながら小さな声で
「降参」
と言った。
ギルバート愉快な武器本舗店内
「で、俺が勝った訳ですが…一体どうしてくれましょうかねぇ」
ユウキは腕組をして頭を捻る。
肝心のインフィー本人は顔を真っ赤にして俯いている。いくらゲーム内とはいえ、お触りとか出来てしまう意味の分からんシステムが実装されているため、変な要求をされてしまうと大変な目にあってしまうのだ。
必死にインフィーは神に祈っているのだ。神の目の前で。
「ユウキ君。変な要求などは慎んだ方が良いよ。」
クイーンが察知してユウキに言う。
「大丈夫ですよ。ジョンみたくゲスじゃないんで。」
「確かにそうだな。」
「おい!なんで俺がゲス扱いされてんだよ!クイーンさんもそこは否定して下さいよ…」
ジョンは机にうっぷした。
「そうだな…じゃあ、ギルド今度開いたらメンバーになること…こんなでどうです?」
ガバッとインフィーが顔を上げ眼をウルウルさせながらウンウンと二回頷いた。
かくして、お騒がせな決闘事件は幕を下ろしたのであった。
つづく
さて、ノート引っ張り出さなくては…
ピクシブで公開している、スト魔女の二次小説は、戦場で散り逝く乙女達なので、気になる方はどうぞ