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episode4【驚愕の事実!?うちの学校は2人の女王様の手で守られていた?】


〜4月20日・PM16;25〜


聖side



「ん…??」


「あれあれ〜?」


「………」


「あら…?」




放課後。教室の騒ぎを終え、それぞれが教科書とか入ったカバンを持ち下校するために靴箱へ向かっう俺。奏。凉。杏の4人。


だが、その途中。俺たちは今日1日で一番会いたくないランキング堂々の第一位へと昇格したその人物と出会った。ちなみに最初のセリフは上から俺。奏。凉。杏の順番である。




「…放課後の見回りか何かですか風紀委員長?」


「…ふん。貴様らには関係ない」




で。その会いたくない人物とはもちろん本日三回目の登場となりますこの御方。我らが堅物風紀委員長の“平等院鞘”先輩でありま〜す(笑)。


いや…すまん。ちょっとボケが空回りしてたな…。だけど勘弁してくれ。まさか今日また彼女に逢うとは思ってもいなかったからある意味緊急時体なので焦っているのだ。


取りあえずどうしよう。そうだこういうときは確か素数を数えればいいんだっけ。って…俺。素数が何か知らねー…。じゃあヒトという字を飲み込むのは?そうしよう。そうしよう。落ち着け…冷静になれ。俺。さっそく…どっちが人でどっちが入だっけ?


ぎゃあ〜!!もう!!




「どっちが人でどっちが入るなんだあぁあああああああああああああ!!!!!!」


『『…はぁ?』』




テンパりすぎたあまり、俺はどんどんドツボへとはまっていった。ヤバい…空気が死んだ。氏んだじゃなくて、マジで死んだわ…。




――ポンッ…




目の前でぼーぜんとしている風紀委員長他、2名の風紀委員会の生徒。そんな3人を後目に俺の肩へと優しく手がおかれる。


その感覚に、俺はゆっくりと振り返った。振り返ると、そこには何故か優しい笑みを浮かべる幼なじみの姿。そして笑顔そのままで俺に優しく呟くのだった――




「セイ君。病院行こ?」


「…神は俺を試しているのか?」




その問いにそれ以上の解は不要であった。




―――――――――


――――――


―――





「あ〜ゴホン。すまないけど今の会話は忘れていただきたい…切実に…」


「…安心しろ。すでに記憶から消去した。貴様もろともな」


「ひでー…」




幼なじみの一言から早くも一分。ずっと放心状態だった風紀委員会の3人が帰ってくる。


だが、その第一声と共に俺の存在は彼らから消え去ったことになっていた。俺ってそんなに痛い子?




「…聖。あなたの存在自体が痛いのです」


「あぁ…親友だと思っていた男がまるで聖人みたいなものすごい笑顔でとんでも無いこと言ってきた…。そうか、これが神の選択だったのか…」


「聖。あんたはとりあえず病院に行きなさい。あたしが会社のコネを使っていい医者を紹介してあげるから…ね…」←こう見えてメッチャお嬢様です。


「綾瀬川聖。すまん。貴様の事情も知らずに悪い奴だと決めつけていた。心から詫びよう。だから病院に行け。今すぐに」←風紀委員会は本気です。


「セイ君。病院に行こ?ね?私が一緒に付いていくからね?お注射怖いなら、手握っててあげるからね?だから…行こ?」←幼馴染は無茶苦茶過保護です。




学園の三大美女からの温かみがある言葉に、俺は目からの汗が止まらなかった。




「…聖。どうでもいいですけど涙が血になってますよ?」

「気にするな凉。これは昨日チョコレートを食べたからだ…」


「…なぜそれが鼻血じゃなくて血涙に繋がるんですか」




…っ!!うるさい!!うるさい!!うるさい!!うるさい!!(シャナ風)べ…別にいいじゃん!!俺がなにしようがさ!!俺の勝手じゃん!!悪いの?ねぇ悪いの!?ねぇ!?…ぐすん。




「…ぐすん。別にいいもん。誰も彼も俺のことなんてどーでもいいんだ。ぐすん。ぐすん…」


「ん?そういえば平等院さん。さっきから気になってたんだけどそちらの2人は誰かしら?」


「マジでスルーするとは思わなかったよ!?」




俺が捨てられた少女のように女座りでハンカチをかみしめているにも関わらず、この女(杏)マジで無視しやがった。


あぁ…だんだん、俺の立場が無くなってく…。主人公なのに――




「え?そうだったんですか!?」


「今気づいたみたいな口調で言うのマジでやめてくんないか凉!?余計傷つくから!?」


「うるさいぞ貴様ら!?」




途端、俺達の声は凜とした彼女の言葉によって塞がれた。さっきまでの俺に対する同情はどこへ行ったのか、そこにいたのはいつも通り鋭い眼を俺達へと向ける鬼の風紀委員長。


平等院鞘だった。




「貴様らから聞いてきたというのに黙って聞くこともできないのか貴様らは。本当に我が校の恥だな貴様らは…」


「あ。自覚してるんで別にいいです」


「僕もその気はないんですけど、勝手なイメージが1人歩きしてますからね。一応自覚はしてます」




だが、俺達はそんな鋭い眼を軽々とスルーする。恐怖など感じなかった。なぁに…お前の瞳なんか怖くねーよ。


色がない。まっさらなお前の瞳なんか…俺達には通じない。だって――




「…それは、お前の本当の顔じゃないからな」


「??セイ君?今、何か言った??」


「うんにゃ。何にもねーよ」




俺達にも…彼女にもな。




「さてと、じゃあ読者と全世界の俺が気になってるからいい加減そっちの2人を紹介してくれないかな?風紀委員長?」


「貴様らが話を折っていたのだがな」




うんうんと彼女の隣にいる2人が頷く。さすが風紀委員、規律正しく真面目だねぇ〜。


とまぁ、そんなことはさておき風紀委員長。ちゃっちゃか紹介ヨロシク!!




「あ〜ごほん。では、紹介しよう。まずはこいつだ。こいつの名前は小笠原、小笠原豊。私の部下だ」




風紀委員長の平等院鞘。彼女が最初に指さしたのは右となりにいる少年。


風紀委員らしいピシッとした制服に、片目だけのメガネ。いわゆるモノクルをつけた少年。


だが、彼に至っては紹介する必要はなかった。




「お初にお目にかかります…と、言うのはおかしいですね。先ほどぶりです」


「あぁ。さっきぶり豊」

「豊君さっきぶり〜」




その堅物なイメージから少しはずれた笑顔で俺と奏に「えぇ。先ほどぶりですね」と、笑う豊。こいつ、俺達のクラスメートなのである。


あの日――入学式、凉が初めて教室に現れたときのあの事件現場にもいたのだが。凉に怯えず、ただ立ち尽くして強者がこいつなのである。


いや〜あれにはマジびびった…。まさか凉に怯えないやつがいたなんて…。


ま、そんなわけでこいつは俺達のクラスメートかつ、俺達のクラスの風紀委員なのだ。




「…なんだ、豊はそいつらと知り合いなのか?」


「はい、鞘様。彼らとは同じクラスなもので」


「ふむ。そうだったか」




俺達が知り合いだったのが意外だったのか、風紀委員長はそう言って不機嫌な顔になる。


仕方ないか、あんなことがあったし…って、そんなことより――




「さや…さま?」


「はい、鞘様です。そういえば綾瀬川君たちは知りませんでしたね。実はわたくし、こちらにいらっしゃる平等院鞘様の専属執事なのです」


『『えぇえええええええええええええええええええええええええっ!!!!!!』』




し、知らなかった…。まさか…まさか…。




「あなたが本当の主人公だったのですね…」


「っておーいっ!!」




なんでやねん!?




「聖。あんたまさか分かんないの?学園のアイドル的お嬢様…その専属執事とくれば…ラブコメにおいて、ツンデレ幼馴染に次いでありがちな展開じゃない!?」


「知るかボケっ!?誰がどう言おうが主人公は俺だっつーの!!」


『『え゛?そうだっt…』』


「そのネタはさっきやった!!第一!!そこの2人!!」


「ほぇ?どうしたのセイ君?」


「なによ聖?あたしたちがなんなのよ?」


「お前らはさっき言ってた幼馴染とツンデレだろうがあぁあああああっ!!!!」




ちなみに、杏はツンデレという設定だが、べつに聖にデレることはない。ここ重要☆




「…じゃあ次だな」


「やべー!!この堅物風紀委員長また俺のこと無視しやがった!?」


「…お前だれだ?」


「綾瀬川聖でえぇえええええええええええっす!!」


「…この男。私の専属執事だけあって、【日曜日】とかいう某漫画雑誌の執事マンガに出てくる執事と同等のスペックを持ってる。そこらの不良には負けはしないさ」


「………」




悲しくなんか…悲しくなんかないもんね!!




「ははは…すごいハイスペックですね。豊さん、まさかあなたがそんなに強いなんて知りませんでしたよ…」


「お褒めに与りありがとうございます、東雲君」




俺の様子に関係なく、話はどんどん進む。主人公の扱いがこんなに非道いなんて…俺、主人公やめようかな…。


そんなことを思った今日このごろだった。




「おほん。では、もう1人、貴様らに紹介したい人物がいる。私のもう1人の右腕とも呼べる彼女だ」


「“彼女”…?」




平等院さんの咳払いで、再び皆の視線が彼女へと集まる。その彼女が指さす先。そこには豊とは別にもう1人の風紀委員の子がいた。


杏の少し疑問詞な声が気になったが…俺は、平等院さんが指差した彼女へと目を向けた。


背は少々低め、フワフワとした茶色い髪にコンパクトに整った顔、スレンダーな体型によく似合うセーラー服が栄えている。


そう、そこにいたのはとても可愛らしい1人の少女だった。




「では、紹介しよう。彼女の名前は【薬師寺鳴】、風紀委員の副委員長だ」


「きゃはは!!鳴で〜す♪みんなに会えてちょーハッピーだよ、キャハ☆これからよろしくね☆」


「なんかすげーめんどくさいのがまた増えた…」




うん、見た目はメチャクチャ可愛い。正直、三大美女の奏、杏、平等院さんにも負けないくらい可愛いんだけど…。


なんていうか――




「え〜ひっどーい。鳴、頑張って自己紹介したのに、えんえん。そんな言い方…しなくても…ぐすんぐすん。わーん」


「………」




…なんていうか、ちょーうぜーのが来た!!


え?なに、こいつ。え?まじなんなの?自分でキャハ☆とか、ぐすんぐすんとかいう奴、俺初めて見たんですけど!?


俺はさらにこいつを観察してみる。まず足元をよく見てみた。で、気付いたわけだ。


いや、この場合不本意ながら気づいてしまったと言うべきか…。


あれ?よく見たらこいつ、学校指定の上履きじゃなくて、なんか黒い靴履いてないか?


黒く…ツヤツヤした長い靴…って!?はぁ!?




「お前それ、SM壌とかがよく履いてるブーツじゃねーか!?」




なんてもん校内で履いてやがるんだ!?




「はれはれ?わぁ!!ホントだ〜♪なんでだろぉ?キャハ☆」


「可愛らしく言っても何もかわんねーよ!?」




――パタン…




そのとき、彼女のスカートの中から何か黒い物体が落ちる。


長い…長い…黒く、とても細長い物体。


あ〜うん、これはあれだな。はい決定〜




「学校内に鞭を持ち込むなあぁあああああああああああああああああ!!!!」




決定打キター!!こいつヤバい!!完全にヤバい!!


なんで?どうして?なんでこいつこんなもん持ち込んでやがんだよ!?


というか、え?こいつ風紀委員?しかも副委員長!?え?マジで言ってんの!?正直、こいつが一番風紀乱してんだろ、おい!?




「平等院さん!!こいつなんなんすかー!?」




耐えきれず、俺は彼女の上司である風紀委員長へと目線を移した。




「…風紀副委員長だ」


「…おい、風紀委員長。こっち見て話せや」


「…風紀副委員長だ」


「いや、それは分かってますから!?いや、納得はしてませんけど!?そうじゃなくて!!こいつが風紀副委員長ってどういうことなんですか!?」


「だ!!か!!ら!!こいつは風紀副委員長だと言ってるだろーが!!!!」




…この(あま)、全部それで通す気か!?


木刀片手に(どっから出した?)俺に睨みをきかせる風紀委員長、平等院鞘。彼女は…意味不明だった。


俺、あなただけはまともだと信じてたのに…。うちの風紀委員長がこんなに意味不明なわけない!!



…そう思っていた時期が、俺にもありました。




「キャハ☆綾瀬川君だっけ?君、ちょーウケるー♪今度、お姉さんがイジメてあ、げ、る♪キャハ☆」


「…頭痛い」




あぁ、そうか。そうだったのか…。


このとき俺はある1つの結論に達した。それは単純明快な計算式だ。


この学校は基本的にメチャクチャ風紀がいい。なんて俺の幼なじみが生徒会長やってるくらいだ。


もし、風紀が悪かったら、きっと今頃、奏はで×××なことになってるはずだからだ。


だが、そうなってない理由が今…分かった。


右をみる。そこには木刀を持った強面の大和撫子な美人お姉さまのお姿が。


左をみる。そこには鞭片手に笑顔とウザい言葉を話すSMお姉さまのお姿が。


なるほど、つまり…。




「…つまり、この学校の風紀は――」




2人の女王様の手によって守られてたんだあぁああああああああああああ!!!!


この日、俺は1つのことを学んだ。


この学校はおかしいです、まる。


最後にそう結論を下した1日だった。




「…俺、マジで医者にみてもらおうかな」


「セイ君♪ファイト♪」


「……」




ちなみに俺の幼なじみは、そんな学校の生徒会長(トップ)なのである。


あぁ、頭痛が止まない…。






           `

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