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prologue【こういう謎のプロローグはファンタジーの王道だと思う】



これは闇夜に生きる堕天使達の物語。


その姿は闇夜に紛れるために漆黒の衣装を纏い素顔を隠すために白い仮面を付けている。


この街の者は彼らを畏敬の念をもってこう呼ぶ。








"夜の執行人"または闇夜に生きる"堕天使"


  【CROSS:ROAD】と








――だがこれからお話する話はその【CROSS:ROAD】の主格メンバーである。



"流れ星のホーリー"と呼ばれる【綾瀬川聖】でも


"枯れた樹海クローバー"と呼ばれる【白草湊】でも


"黒龍王のバーサーカー"と呼ばれる【東雲凉】でも


"超電磁砲のホークアイ"と呼ばれる【成瀬杏】の話でもない。



なぜならこれは【出会い】の物語だからだ。



闇夜に生きる彼らも最初から堕天使やら夜の執行人やらとは呼ばれていたわけではない。そう――言うなれば堕天使の呼び名が示すように堕ちたのだ。


人に汚れた平和に満ち溢れた【平和な世界】からその平和を護るために血を見る【地獄の世界】へと――




そして今宵もまた1人の少女が【地獄】へと堕ちる。




彼女もまた大好き"だった"幼馴染が思い描いていたこの世界を護るため。


自ら望んでこの【地獄】と呼ばれる世界へとその身を投じるのだった――。





〜4月20日・AM7'56〜


???side


「よぉ凉!!おはようさん。朝からしけた面してんなぁ〜」


「……あぁ。聖ですか。おはようございます。そちらこそどうしました??朝から病みつきになってますよ??」


「いや!!怖えーよ!?俺に一体何があったの!?」




いつもと変わらぬ清々しい朝。校門に立つ私はその低レベルな会話を聞き我が校の制服を着たある2人組を発見する。


無論知らない2人ではない。だが知り合いというわけでもない。だが彼らの事はこの高校で知らぬものはいないほどの有名人。私はあの2人を見ながら呆れるように息を吐き出し脚を進める。


私の周りにいる同じ腕章をつけた生徒たちはそんな私の行動に驚きあわてて止めようとする。だが私は止まらない。


なぜならあの2人組には今日こそビシッと言ってやりたかったからだ。




「……知ってます聖??最近では殺したいほど愛したいやら血の一滴まで愛したいっていうヤンデレなるものが流行ってるようですが……僕の調査ではどうやら幼馴染に発症する確率が高いそうです」


「唐突に何の話!?つかそれ幼馴染がいる俺への当てつけ!?」


「いえいえ。僕は純粋にリア充死ねと思っているだけです♪」


「彼女いるてめーにリア充呼ばわりされるとは思わなかったよ!?」




あの2人は未だにそんな下らない会話をしながら私がいる校門の方へと近づいてくる。


だがそれと同時に私にも近付いているということ。そしてついに私はそんか2人の前に立ち冷たい目で彼らを見下ろす。


そんな私の登場に彼らは脚を止めこちらを向く。その表情には戸惑いはない2人とも不貞不貞しくも余裕の表情を見せていた。


ふと気付けば先程まで登校する生徒で騒がしかった辺りは静まり返り静寂な空間へとなっている。


だがその静寂な空間を私は何の戸惑いもなく壊すのだった。




「……貴様等。その身なりはどうした??」


『『……風紀委員長』』




私の問いかけに2人はよほど仲がいいのかまったく同じタイミングでそう口にした。




「ふむ。確かに私は風紀委員長【平等院鞘ビョウドウインサヤ】だが私の問いの答えにはなっていない。さぁ。キリキリと私の問いに答えろ……!!」


「…平等院…鞘…!?」


「……これは驚きですね」




しかし私の2回目の強い言葉に返ってきたのは問いの答えではない。明らかに驚きで瞳を見開いた2人の驚愕した言葉だった。


だが私は焦ることはない。実を言うとこの反応は予想の範囲内だからだ。なぜなら私の氏である【平等院】これは――




「……ふむ。やはりその反応を取るか。だが致し方あるまい。私の名前の意味分かるな??」




そう言いながら私は両手を広げ手のひらを上に向けまるで自らを天秤にしたような姿勢を取る。


その動作に周りの生徒は頭に??マークを浮かべるが目の前の2人は違う。2人は私のこの動作に警戒したのか半歩引いて臨戦態勢を作った。



――やはりな。この2人なかなかできる。



私はそんな2人の動作を見ながら"最強の不良"そして"お人好しの何でも屋"を経営する凄腕の噂が本当であったことを確信した。


その様子に私はフッと花を鳴らすと手のひらに力を込める。




ボシュッ!!ボシュッ!!




そして2人が臨戦態勢を取るのと私の手のひらから巨大な炎が現れるのは同時であった。


――そう。私はこの学校の風紀委員長。だがそれ以上に私の名前は――




「不知火街の七大名家の1つ"炎"の【平等院家】の方でしたか……」


「ふむ。驚いたかい??最強の不良こと【東雲凉】??」


「……そこまでお調べになっていましたか。これは侮りすぎていましたね」




だけど最強の不良。東雲凉はそう言いつつも戦闘の意志はありませんと言わんばかりに構えをとく。


よくよく見てみればお人好しな何でも屋【綾瀬川聖】のほうはいつのまにやら携帯を取り出してどこぞへと電話をかけ始めていた。


その人を馬鹿にしたような態度は私を挑発しているようにしか思えない。だがこの小競り合いは私にとって思わぬ形で決着が着くことになった。




「はいストップ♪鞘ちゃんとセイ君&凉君♪喧嘩はよくないよ♪」




不意に聞こえてきたその声は私以外のこの場にいるメンバー全てにとって予想外すぎる声だった。




「せ…生徒会長!?」


「またの名前を【白草湊】!!ちなみにそこにいるセイ君の幼馴染なんだよ♪」




振り返ってみたその先にいたのは見間違いうことはない。まるでバラの花のような濃く紅い色の長い髪にパーフェクトなプロポーション。そしてアイドル張りに端正な整った顔。


ご存知学校1の美少女と名高い本校始まって以来初めての1年生生徒会長にして学園のアイドルと呼ばれる【白草湊】が携帯片手に立っていた。


彼女はその綺麗な紅い髪を振るとニッコリと微笑みかける。ただそれだけでも周りにいた男共は発狂し声を荒げるほどの効果を発揮していた。




「……迷惑騒音で最早犯罪ものですね」




今回だけは東雲凉の意見に賛成だった。




「よぉ湊!!早かったな!!」


「もうセイ君!!朝一番にこんな騒ぎ起こさないでよ〜。後でお小言言われるの私なんだから〜」


「へーへー」




親しげにお人好しの何でも屋【綾瀬川聖】と楽しげに会話を交わすアイドル生徒会長【白草湊】


だけどこの光景を見ても不思議に思う人は誰一人もいない。なぜなら彼女と彼が幼馴染なのは最早全校生徒の共通認識だからだ。



――うん。そりゃ会長挨拶の途中に壇上から「やっほ〜セイ君〜☆」なんて言われたら誰だって気がつく。



そんなことがあって今では彼は誰からも知られる存在となったのだ。――主に妬みの対象として。


ふむ。私としたことが話がずれてしまったようだ。そう思った私は「オホン!!」とワザと大きく咳払いをする。


すると会長と何でも屋は2人揃って頬を真っ赤に染め恥ずかしそうに顔を俯かせた。




「あははは。ごめんね鞘ちゃん」


「すまん。風紀委員長」


「……私に謝れても困るのだがな」




あまりに可愛らしい反応の2人に私はタジタジになってしまう。そう思った私は気づかぬうちに彼らから目をそらすように背を向けていた。




「どうかしましたか??風紀委員長??」


「……今回は会長に免じて許してやる。明日からはちゃんとした服装で学校に来いよ??」


「え??あ…はい。以後気をつけます」




最強の不良の言葉を遮るように出た私の言葉に何でも屋はポカーンとした表情で頷く。


そんな彼の様子に会長はクスリと微笑を漏らし私の方へと近付いてくるとそっと呟いた。




「我らの道が交わった」




私はその言葉にバッと振り返るもすでに彼女は私より離れた位置にいる何でも屋や最強の不良と仲良く談笑を始めていた。


私は彼女が最後に呟いたあの言葉の意味はさっぱりだ。


だけどあの言葉が彼女なりの親愛表現。そう思うのだった。






聖side


「……聖」


「分かってる……。分かってるって凉……」




俺は切なげな悲しげなその声に自分を納得させるように何度も分かってるとつぶやき続ける。


まさか同じ学校にいるとは思ってもいなかった。俺は彼女との会話中。彼女のあの鋭い目を見ながらそう思い続けた。


だが――やはり彼女のあの瞳はどこか切なしげで見てるこっちが悲しくなってくる。


そしてあの瞳は俺達の中に眠る失ったことへの悲しさ。それに彼女への罪悪感がふつふつと沸いてくる。


なぜなら彼女は俺達の親友の"忘れ形見"だからだ。




「あれが【平等院鞘】……(アクア)が護りぬいた最愛の幼馴染か……」




彼女の――平等院鞘の表情に俺達は唇を強く噛み締めた。





           `

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