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ワンテンポ!ツーショット!スリーバウンド!

二十四話

桜はすっかり花が散り、葉桜が目に優しく色を浮かべている。誰もが足早にすぎる廊下をゆっくりと歩く。木漏れ日が足元を揺らぎ、さらさらと暖かな音を奏でる。

地獄の初めての訓練から二週間が経った。

あれから授業と訓練を繰り返している。

魔法の世界は知らないことだらけで新鮮だ。パンにジャムを美しくかける魔法とか猫に好かれやすくなる魔法とか……まあこれは授業全然関係ないけど。



今日の授業は魔法史だ。真野先生が教壇に立って説明を始める。



「君たちが使う魔法、実はこれは魔力を使った物の中の一種類にしか過ぎない」

「魔法の他に魔導、魔法陣……名称が違うだけの物もあるがこの二つは明確な違いがある。なんだか分かるか?」


魔法じゃない魔力の使い方……?なにが違うんだろう?魔法陣は陣だから描かないとダメ、とか?


「はい」


「お、ルベリクスくん分かるか?」


「魔導は魔法の研究を主にした体系的に続く物、魔法陣は広範囲に作動する魔力を使った紋様……でしょうか」


「素晴らしい、正解だ」



へ〜……そんな違いがあるんだ、全然知らなかった……。

そういえば俺が今まで習ったのは魔法と呼ばれる物だけで確か魔導や魔法陣は習ってない……はず?



「ここは魔法学園……つまり魔法を主に教える場所だ。実は他にも魔導学園や法陣学校がいろんな場所にあってそこではそれぞれ魔導と魔法陣をメインで教えているんだ」


他にも学園や学校があるとは……!普通に家に来たお便りを読んで、

へ〜魔法って学園で習うんだ〜としか思ってなかった……。世界って広い……!と俺がこっそり感動していると先生が俺に話しかけてきた。



「では刀真くん?魔法陣はどの地域で多く学ばれているでしょうか」


「え!?え~と……南の辺……とか?」


「残念!正解は寒い地域で多く学ばれています……なぜか分かるか?」


う、う〜ん……?寒い地域?どうして寒さが関係あるんだろう……?寒いと外に出れないから……とか?


「雪で外に出れないから……とか?」


「確かにそれもあるな、もっと明確にすると寒さと魔物の活動時期が関係しているんだ。魔物が食料を求めて活発になるのは春から……その前、冬の間魔物は勿論人間も雪に閉ざされて外へは容易に出歩けない」

「お腹を空かせた凶暴な魔物達が外に出てくるまでに人間は対策を練る必要がある、だから冬眠している間に魔法陣を村に描いておくんだ。魔法陣は防御と共に攻撃の陣でもある。これを用いて村の守りを固めることがより寒さの強い地域で発達した一因と言われている」


なるほど……!そういう理由で地域によって使う物が変わるんだ!ふむふむ、と頷いていると俺の中の神様が参加してきた。


「(面白いだろう!地域差が魔力の使い方に現れるのだ)」

「(え、知ってるのか?)」

「(当然だ、魔力の使い方を教えたのは私の父様達だからな)」


あっそうか、そういえばそんなことも言ってたな。確か神様のお父さんたちが条件と共に教えたんだっけ。


「(名前を付けたのは人間達だが使い方は神々によってもたらされたものだ、まあ発展する地域差は考えていなかっただろうが)」


そうなんだ……神様も別にそこまでは考えてなかったとかちょっと驚きなんだが。


「俺達やこの学園の生徒は俗に言う魔法使いだ。魔導を使うのは魔導士、魔法陣は魔術師と呼ばれるな」


真野先生はそう言ってくるくるとペンを回す。


「この学園の授業では魔導や魔法陣はあまり教えないだろうが部活動で研究しているところもあるから気になるならそこで教わるといい」


部活!あるんだ!やってみたいな、とわくわくしているとチャイムが鳴った。真野先生が挨拶を促して出席簿を閉じる。ありがとうございましたー、と挨拶が終わると教室は賑やかな雰囲気になる。みんな部活動が気になるんだろう、俺もすごく気になる!

帰りに部活勧誘のチラシを探そう、と心にメモをしていると守道と羽知瑠がなにやら話しているのが見えた。


「何話してんの?」


「あっ刀真くん!」 


「おー!刀真!お前はどうする?」


「部活をやってるの見に行かないかって話してたんだよ」


二人に手を振りながら近づくと二人も部活動の話が気になっていたのか見に行こう、と誘ってくれた。やっぱ魔法学園の部活なんて楽しそうだもんな、絶対参加したい!


「俺も行く!どんなのがあるんだ?」


「えーと、有名なのは魔法科学部とか魔物飼育部とか……」


「あとはそうだなー、魔法クラフト部に魔法映画部なんかもあるぞ!」


全部面白そう……!なんかもう魔法って付くだけで全て面白そうに思えてくるから不思議だ。魔力がそうさせるのだろうか。


「どれから見に行きたい?」


「みんなで行こうぜ!」


二人に連れられて教室を出る。

廊下には何枚もの部活動のチラシが貼られていた。

気になる物を手に取って場所を確かめる。まずはここが面白そうかな、と目星をつけた。


「ここ行ってみよ!」


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