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アジテートシンパティカ
プロローグ
拍動─
生きていると気づくほどの大きな音に。
閃光─
目を開いてしまうほどの眩しさに。
灼熱─
まだ動くことができると分かる熱い血に。
手に入れた数えられるだけの大切なものと切り捨てた数多の可能性。なくしたものを探す間もなく、駆け抜ける速さで通り過ぎた日々を思い返す。
いつの間にか入っていた肩の力が抜ける。刀の軌道が変わる。相手は予測できなかったらしく、防ぎきれない。
あと一太刀で終わる。その手応えがあった。
鉄の匂いが強くなっていく。
あの日感じた君の砂糖菓子の香りと思い出もかき消していくようでさみしくなった。
もう一度言ってほしかった、あの日の言葉を胸の中で反芻する。
「─君があんまり輝いて見えたから、僕は─」
笑顔で告げる君と目の前の君が重なってぼやけた。