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パーティーをリストラされたおじさん冒険者(46)は実は無自覚に最強でした〜そしておじさんなのに何故か無自覚にモテてしまいます〜  作者: 十目 イチ
第八章 護衛とフェスティバル

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92.帰路そして帰宅

こちらの話でこの章は終了になります。

次からの章もよろしくお願いします。

 サリーデのフェスティバルが終わった翌朝、俺達がイオアトスへ向けて出発する日。

 滞在期間、約五日間。かなり濃厚な時間だったが、過ぎてしまえばあっという間だった。

 ミザネアとツァミにはだいぶ振り回されたし、生まれて初めて殺し屋などという人種にも出くわした。

 いや、なかなか濃かったね。


 イオアトスを出てからの約十日間の護衛に加えて、店荒らしからメイドカフェを守る護衛の仕事。その両方の護衛報酬のお陰で懐はかなり温かくなった。

 これだとイオアトスに帰ってもしばらくはクエストしなくても大丈夫なくらいなので、ちょっとのんびりしようかなと考えている。


 ボルゾアやバザフ、リューラ達へのお土産も買ったけど、まだまだお金には余裕がある。

 俺は来た時よりもお土産で膨らんだ鞄を持って、馬車乗り場へと向かった。


 ◇◇◇


 サリーデの馬車乗り場。そこにはまだミザネア達の姿はなく、今回の依頼人サフィアと、ティレイアとナディライがいた。


「おぉー! ラドっち、早いね。一番乗りだよ」

「あぁ。ミザネア達はまだかい?」

「うん。まだみたいよ」


 このハーフエルフ三姉弟(きょうだい)はイオアトスへ帰る俺達をわざわざ見送りに来てくれたそうだ。


「ラドウィンさん。どうぞ気を付けてお帰りください、ね」

「ありがとうございます。サフィアさん。今回は色々とありがとうございました」

「いえ、こちらこそ本当に助かりました、わ」


 サフィアと握手して、ナディライが俺に話し掛けてくる。


「ラドウィンさん。どうぞお元気で」

「ナディライも。また別の町に行くんだね?」

「ええ。我々もサリーデの後片付けが終わりましたら、また出発する予定です」

「またイオアトスに寄る事があったら是非声をかけてよ」

「ええ。その時は是非」


 次にティレイアが、


「ラドっち。ツァミちゃんのこと、よろしくね」

「まあ……別に俺はツァミとパーティー組んでるわけじゃないけど……」

「変な男とか大人に騙されないようにしっかり見張っててね」

「……分かった」


 全く俺の心配をしてくれないティレイアとの話が終わると、こちらに近付いてくる数人の人影。ミザネアとツァミ、そしてハルバリだった。


「ごめん。ラドさん。待った?」

「いや、俺も今来たところだし、大丈夫」

「そう」


 ミザネア達もサフィアに別れの挨拶をしていると、次に現れたのはディケイドだった。


「おぉ。もう全員揃っているのか?」

「ディケイド。何か……久し振りだな」

「はは……四日振りか? フェスティバルは楽しめたか?」

「まあ、それなりにね」


 ディケイドはサリーデに来てから別の仕事があるとかで、フェスティバルの期間中俺達とは完全に別行動を取っていた。

 ハルバリ曰く、こっちの冒険者ギルドからディケイド指名の仕事があったそうだが、詳しくは聞いていない。


「もうこっちの仕事は終わったのか?」

「ああ。問題ない。もう後は帰るだけだな」


 

 ディケイドもサフィア達に挨拶をして、俺達五人は同じ馬車に乗り込んだ。

 馬車の窓を開けて、サフィア達に皆で手を振る。華麗なるハーフエルフ三姉弟が俺達に向かって笑顔で手を振る。


「皆さん、ありがとう。気を付けて、ね」

「それじゃあ、サフィアさん。また」

「ツァミちゃ――――ん!またね――!」

「バイバイ。ティレちゃん」


 ティレイアがツァミに向かって絶叫しながら全力で手を振っていた。


 ハーフエルフ三姉弟に見送られて、俺達の馬車はイオアトスに向かって出発して行った。


 ◇◇◇◇◇◇


 サリーデを出発して約十日。

 俺達は約一ヶ月振りにイオアトスへと帰って来た。


 帰りは護衛の任務もないし夜の見張りもなかったけど、毎日一日中馬車に揺られるのはやっぱり体に堪えるね。

 クエストとかとは違った疲れが残るな。


 馬車乗り場で馬車から下りると、大きく伸びをして町を見回す。サリーデのフェスティバルと比べると、人も少なくて静かな雰囲気に安心感を覚えるな。

 ディケイドが手を差し出しながら俺に近付いてくる。


「ラドウィン。今回は本当に助かった」

「いや、こちらこそ。報酬も高くて、フェスティバルで遊べて、楽しかったよ」

「そう言ってもらえると何よりだ」


 ディケイドと握手をすると、隣のハルバリも手を差し出してくる。


「ほなまたな。ラド」

「ああ。ハルバリも。色々ありがとう」

「ウチは特に何もしてへん」

「そんな事ないよ。色々と話せて楽しかった」

「……ふんっ。そうか。そりゃ良かった」


 無愛想だけど、照れたように顔を逸らすハルバリ。ハルバリはそのままミザネア達の方に向かって行った。

 ディケイドが更に俺に続ける。


「また何かあったら頼むかもしれんが、その時はよろしくな」

「ああ。出来る限り努力するよ」

「そこは任せろと言えねえのか?」

「そんな自信家じゃないよ、俺は」


 なるほどな、と笑ったディケイドもミザネア達の方に歩いて行く。


 ミザネアとツァミとの別れの挨拶を終えて、ディケイドとハルバリが馬車乗り場から立ち去って行った。

 ミザネアが俺に話し掛けてくる。


「じゃあ、私達も帰ろっか?」

「そうだな。ツァミも帰るだろ?」

「こくり。ツァミ、疲れた」


 二人も俺よりかなり若いとはいえ、十日間の馬車旅は結構疲れたようだ。

 俺は二人とは別方向へ向かって歩き出す。


「じゃ、二人とも。俺はここで……」

「うん。またね。ラドさん」

「バイバイ。おじたん」


 歩き出してすぐに、またミザネアから呼び止められた。


「ラドさん!」

「何だい? 忘れ物?」


 振り返りながらミザネアの方に顔を向けると、ミザネアは立ち止まり、ツァミは少し先を歩いていた。

 呼び止めたミザネアは目を逸らして言葉に詰まるが、もう一度俺の顔を見つめると、満面の笑みを浮かべて話し出す。


「やっぱり……何でもない。……またね!」

「ああ。また」


 何か言い忘れてたのか?

 まあ本人が何でもないって言ってるし、大丈夫なんだろう。


 俺は片手を上げて、ミザネアに応えると再び宿へ向かって歩き出した。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

次の話から新しい章になりますので、これからもよろしくお願いします。

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