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パーティーをリストラされたおじさん冒険者(46)は実は無自覚に最強でした〜そしておじさんなのに何故か無自覚にモテてしまいます〜  作者: 十目 イチ
第八章 護衛とフェスティバル

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89.フェスティバルフィナーレ①

 空腹と共に目覚めた。やっぱ疲れてたのか、部屋に戻った途端に寝てしまった。

 さて、時間はまだ昼をちょっと過ぎたぐらいか。とりあえず外にメシでも食いに行くか。

 簡単に支度を整えた俺は宿を出て行った。


 ◇◇


 フェスティバル最終日の町はかなりの盛り上がりを見せていた。

 まだ昼時だし、こりゃ町中の食堂やレストランはどれだけ待たされるか分からないな。どこか適当な露店で買って、宿で昼飯を食うか。


 通りを歩きながら、目につく露店でメシ……というより酒のツマミのような食い物ばかり買いまくってしまった。

 そうなると酒も欲しくなるな。通り沿いの店には食料品の他に酒を置いている店も少なくない。

 というわけで、さすがに昼間から飲むのはちょっと迷ったが、とりあえず今晩の一人晩酌用にと酒も買い込む。最終日だから夜はどの店も混むだろうからな。花火の後は一人でゆっくり宿で晩酌をするぞと意気込んだ。


 紙袋一杯に買い込んだ酒とツマミを抱えて、俺は宿へと戻って来た。


 ◇◇


 日も傾きだし、俺は皆との集合場所へと向かう準備を始める。

 花火を見るのは久し振りだな。確か、最後に見たのは王都だったな。何の花火だったか覚えてないけど、花火を見ながら飲む酒は旨かったというのは記憶している。

花火そのものじゃなくて、その時の酒の味を記憶しているおじさんって……我ながら情緒のない奴だと思う。

 

 今晩花火を見るのは別にいいんだけど俺以外は全員、女性だよな? さすがに見ながら飲むのは失礼か? てか、どこで見るのかもよく分かってないしな。失礼なのは承知で、やっぱり花火見ながら一杯ぐらいは飲みたいよな……。

 悩んだ挙げ句、念の為に酒とツマミを少し鞄に忍ばせる事にしたおじさんでした。



 集合場所へ着くと、既に皆揃っていた。

 ミザネアとツァミ、ティレイアそしてハルバリ。フェスティバル最終日だからさすがにサフィアとその護衛を務めるナディライは店を離れる事は出来なかったそうだ。


 全員が揃ったのを確認して、ティレイアが全員に声をかける。


「さあ、皆! こっから花火鑑賞場所まで移動するよ! はぐれないようにアタシに付いて来てねっ!」


 ティレイアが俺達を引き連れて歩き出した。


 空が暗くなるにつれて、通りに人が溢れてくる。皆、フェスティバルフィナーレの花火を見る為に建物から出て来ているのだ。

 通りには真っ直ぐ歩くのもままならないぐらいの人が溢れてきている。


「みんな――! 付いて来てる?」

「なんとか――」


 ティレイアの呼び掛けに最後尾を歩く俺が応える。

 すると、すぐ前を歩くミザネアが俺の手を繋いでくる。ミザネアのもう片方の手は彼女の前を歩くツァミの手を握っている。


「ラドさん。遅れないようにね」

「ん、ああ。ありがと」


 俺達五人はお互いの手や服を掴んで、離れないように先頭のティレイアの後へ続く。


 

 通りを進む人の洪水はどんどんその量を増やしていく。

 これは想像以上だ……。まさかこれほどの人混みになるとは思っていなかった。

 ティレイアからは町の広場近くにアステミア商会所有の建物があり、サフィアから許可をもらっているから、その建物の屋上から花火を見るって聞いているが……これじゃ広場までもたどり着けねえぞ。

たぶん広場からが一番良く花火が見えるから皆、そこを目指しているんだろうな。

 なんとか進めてはいるけど……。


「あっ! ツァミ!」

「ミザちゃん……」


 不意にミザネアがツァミを呼ぶ。

 ミザネアとツァミの手が離れ、人混みに飲まれたツァミの姿があっという間に見えなくなってしまった。


「ツァミ! ツァミ!」

「ミザちゃ……」


 周りの喧騒にかき消されてツァミの声が一瞬で聞こえなくなる。ミザネアが俺の方に振り返る。


「ラドさん! どうしよう、皆とはぐれちゃった」

「大丈夫だ。皆、広場を目指しているんだからそこを目指そう。そうしたら合流出来るはずだから。俺達はとりあえずこのまま大通りを進んで行こう」

「うん……分かったわ」


 ミザネアが俺の腕に自分の腕を回し、俺の顔を見上げる。


「この方がはぐれなくて良いでしょ?」

「あ、ああ……まあ、そうだね」


 まさか狙ったわけじゃないよね? ミザネア?



 

 しかし状況は思っていた以上に厳しかった。通りにはどんどん人が増え、人混みは遅々として進みが悪い。時間的にもそろそろ厳しいんじゃないだろうか? 広場に着く前に花火が始まってしまうかもしれないな。

 ミザネアもそう感じたらしく、俺の顔を見上げる。


「ラドさん。これはちょっと間に合わないかもね」

「そうだね。ちょっと厳しそうだね」


 目の前の人混みはほとんど足が止まり、進みそうな気配がない。

 ミザネアが周りに目を向けて、上にも目を向ける。すると、ぐいっと俺の腕を引いて別の方向へと歩き出した。


「ちょ……ミザネア。何処へ行くんだ?」

「ラドさん、このままじゃ花火に間に合わないから付いて来て」


 ミザネアに引っ張られるまま、人混みの洪水の流れから外れて、通りから路地の方へ抜ける。

 人混みから外れた俺達はひと息ついて、ミザネアに尋ねる。


「ミザネア。何処へ行くんだ?」

「花火が見えるとこ。あそこよ」


 そう言ってミザネアが指差した先は町の外壁の一番高い場所。


「いやいや、あそこは一般人立ち入り禁止でしょ。てか、そもそも入れないだろ?」

「行けるわよ。任せておいて」


 町の外壁の上には、数百メートルおきに建てられている尖塔の中にある階段から登ることが出来るが、その塔は一般人の立ち入りは禁止。もちろん鍵も掛けられているので侵入も出来ない。

 一体ミザネアはどうやってあの外壁の上まで行くつもりなんだろうか?


 ミザネアは俺の腕を掴んで外壁に向かって歩き出した。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


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