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パーティーをリストラされたおじさん冒険者(46)は実は無自覚に最強でした〜そしておじさんなのに何故か無自覚にモテてしまいます〜  作者: 十目 イチ
第八章 護衛とフェスティバル

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80/108

80.出来る商人は先を読む眼力が違う

 しばらくしてツァミとミザネアが店員に連れられて戻って来た。

 鮮やかな青を基調としたメイド服のツァミと、淡い碧色のメイド服のミザネア。

 堂々と歩くツァミと、少し恥ずかしそうに歩くミザネア。

 近くまで来たツァミが俺に尋ねてくる。


「どう? おじたん」

「うんうん。いいと思う、似合うよ」


 隣で無邪気な笑顔を見せるサフィアが手を叩きながら、


「とっても可愛いわ、よ。ツァミちゃん。ミザネアさんもとってもいいわぁ」

「そ、そうですか?」


 少し頬を赤らめながら照れるミザネア。チラリと俺の方に目を向ける。


「ど、どうかな? ラドさん」

「ああ。スゴく似合ってる」


 そう言って親指を立てると、ミザネアが嬉しそうに微笑んだ。

 

 この二人は気付いていない。

 二人がホールに戻って来てから、ホール中の客の視線を自分達が集めているということを……。

 美少女メイドと、オトナの知的美女メイド。この絵面はかなり強力だ。


 サフィアが二人を称賛していると、奥からメイド店員に連れられてハルバリが戻って来た。

 オレンジ色を基調としたメイド服が彼女の真っ赤な髪ととてもマッチしている。

 とても良いと思うのだが、メイド服店員に連れられた当の本人は、顔を真っ赤に染めて顔を俯かせていた。

 例えるなら、怯えた子犬だ。


 その子犬のようなハルバリが側まで来ると、サフィアが輝くような笑顔を見せる。


「まあまあ、まあぁ! とても可愛いわ、ハルちゃん」

「うぐ……ぐ……」


 サフィアの称賛に何も返せないハルバリ。同じメイド服を来たツァミとミザネアに挟まれる。


「こくり。ハルちゃん、可愛い。とても似合う」

「うん。とっても良いと思うよ、ハルバリ」

「ぐ、ぐぐ……」


 髪と同じくらい真っ赤になった顔からは唸り声しか聞こえてこない。

 でも三人が言うようにとても似合ってると思う。ハッキリとした可愛らしい顔立ちのハルバリは、ツァミとはまた違った可愛らしさがあると思う。

 真っ赤になって下を向いているハルバリに、俺からも声をかける。


「俺も似合ってると思うよ。そんなに照れなくても大丈夫」


 俺の声にピクリと反応し、狂犬のような鋭い視線を俺に向ける。


「後でボコボコにしたるからな……」

「え?」


 それ、メイドさんが絶対に言っちゃ駄目なセリフね。

 と、即席メイドが三人揃ったところで、凄い勢いでこっちにやって来るメイドが一人。


「おおぉぉ――!! ツァミちゃん、最っ高じゃん! めちゃ似合う! いいよいいよっ!」


 ティレイアがツァミがたじろぐのも無視して至近距離から褒めまくる。更にミザネアにも視線を移すと、


「ミザネアもいいねぇ……。オトナというか、妖艶な雰囲気がメイド服に封じられているというか……。なんだかイケナイ気持ちになっちゃうね……」

「そ、そう?」


 何言ってんだ? ミザネアもちょっと引いてるやん。

 そしてハルバリに目を向けると、ティレイアの口角がニヤァと、吊り上がる。


「おんやぁ〜? ずいぶん前に『ウチはスカートなんか履かんっ!』とか言ってたと、アタシは記憶してるんですけどぉ〜? 随分と可愛らしいお召し物をされているのですねぇ?」

「…………うっさいわ」

「……ティレちゃん」

「えへへへ、冗談だよぉ! ハルちゃん。めちゃ似合ってんじゃん!」

「……お前も後でボコす」

 

 ティレイアに肩を組まれたまま、ハルバリがまた物騒な言葉をティレイアに投げつけた。


 と、そうこうしているうちにカフェが忙しくなってきたみたいで、店員の一人がティレイアを呼びに来る。


「ティレイアさん。だいぶお客様が増えてきたので……」

「あ、ホントだね」

「ティレちゃん、早く行って上げて」

「うん、分かった。あっ! じゃあ三人にも手伝ってもらおっかな? いい? お姉ちゃん」

「それは申し訳ないわ、よ。ティレちゃん達だけで何とかしなさい」

「うー……ん。分かりました……」


 サフィアさんの言うことは同然だ。第一、ミザネアもツァミも全くの素人だ。メイド服を着てるからって手伝えることなんて何もないだろうに……。

 けどツァミが、立ち去ろうとするティレイアの手を掴む。


「ティレちゃん。ツァミ、手伝う。何すればいい?」

「ホントに?」

「わ、私も……。あんまり出来ないかもだけど……」


 ツァミとミザネアの申し出に、ティレイアがサフィアに目を向ける。サフィアがツァミ達に尋ねる。


「ホントにいいの? 二人とも」

「こくり。だいじょぶ」

「は、はい。せっかく服も着させてもらえたので、ちょっとだけでもお手伝いします」

「まあまあ、ありがとう。じゃあ、ティレちゃん。お言葉に甘えて少しだけ手伝ってもらいましょう」


 素早くカフェの奥に消えたティレイアがすぐに戻ってくる。手には大きな板のついた棒。何か、手早くない?


「じゃあ、ツァミちゃん。これ持ってお店の外に立ってくれる? ミザネアも一緒にね。分かるよね?」


 渡された板を見て、ミザネアが得心のいった顔をする。何が書いてあるんだろうと、その板をのぞき込むと……。


 『最後尾はこちら』


 と、書かれていた。

 なるほど……これなら素人の二人でも手伝えるな。

 早速二人はカフェの前で列を成すお客さんの整理を手伝いに行った。


 並んでるお客さんだけでなく、前の通りを歩く人達の注目さえも集める美少女と美女メイドコンビ。

 瞬く間にカフェ前の列が伸びていく。

 文字通り看板娘といったところか……。


 俺の隣ではサフィアがその二人の光景を微笑みながら満足そうに眺めている……。


 ハッ! 思い出した!

 イオアトスで初めてサフィアに会った時、確かサフィアはツァミを見て『商売に繋がりそう』とか言ってた!

 もしかして、それはこのことだったのか……? だとしたら何という商売脳なんだ。瞬時にそんな考えに至るとは、出来る商人とは恐ろしいな。


 俺がそんな事を考えているとは露知らず、サフィアは涼しげにカフェを見回しながら紅茶を飲んでいた。


 

「…………ウチは手伝えへんからな。もう着替えるで」

「え、ええ。ありがとう、ね。ハルちゃん。とっても可愛かったわ、よ」


 地獄の底から聞こえてくるような低い声で、そう言ったハルバリは誰とも目を合わせないようにカフェの奥へと消えて行った……。


 ありがとう、ハルバリ。

 おじさんは今日、本当に色んな楽しい物を見せてもらって、とても満足です。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

ちなみに作者はメイドカフェには行ったことがありません。

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