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パーティーをリストラされたおじさん冒険者(46)は実は無自覚に最強でした〜そしておじさんなのに何故か無自覚にモテてしまいます〜  作者: 十目 イチ
第七章 盗賊団を追い詰めろ

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61.凶行の理由

 ネルアリアに強引に連れてこられた憲兵隊舎。

 だが気を失ったまま連行されたダイラー隊長は、結局意識を取り戻さなかったので尋問は出来なかった。

 俺とミザネアとネルアリアは憲兵隊舎を後にすることにした。


 隊舎の中を歩きながらネルアリアが話しかけてくる。


「ミザネア、ラドウィン。腹は空いとらんか?」


 そういや、昼メシを食べた後から何も食ってない。何だかんだでもうかなり夜は更けてきているし、当然腹は減っている。

 こちらが答える前にネルアリアが続ける。


「今から妾の屋敷に来るのじゃ。食事ぐらいは用意するぞ?」


 ここから飲食店や冒険者の宿へ行くよりネルアリアの家の方が立地的には近い。さて、どうしたものか。


「食事をしながら、今回の顛末を話そうと思うんじゃが、どうじゃ?」

「なるほど……」


 俺としてはあまり首を突っ込みたくない事だが、町の治安を守るべき憲兵の隊長が何故あんな凶行に走ったのかは、知っておかねばならない気がする。ネルアリアは最初から色々知っていたようだし……。


「分かった。じゃあお言葉に甘えてご馳走になるよ」

「ふむ」


 姿勢良く歩くネルアリアがこちらを見て満足げに微笑んだ。


  

 ネルアリア……美人で凄腕の魔術師。そして謎にデカい屋敷に住んでいて、言葉遣いが変わってる。見た目は二十代半ばぐらいだけど、本当は何歳ぐらいなんだろうか? 貫禄のある立ち振る舞いと見た目がどうも釣り合わないんだよな。

 ネルアリアが俺達から少し離れて、憲兵と話している隙にミザネアに小声で聞いてみる。


「ミザネア、ネルアリアっていくつなんだ? 君と同い年ぐらい?」

「ラドさん……女性の年齢を詮索するのは失礼よ」

「分かってるけど……気になってね」

「まあ、確かに謎よね。あの人って……。実は私も正確には知らないの」

「そうなの?」

「前に一度聞いたことあるんだけど『お主よりは遥かに上じゃ』で、片づけられちゃった」


 遥かに上? ますます謎が深まってしまったな。


 ◇◇◇


 ネルアリアの屋敷を訪れた俺達は、少し遅めの夜ご飯をご馳走になった。どうやらこの屋敷にはメイドも料理人もいるらしく、俺とミザネアという突然の訪問者がいるにも関わらず、あっという間に豪勢な食事が用意された。


 そして食事を終えてのティータイム。おじさんには馴染みのない習慣です。

 出来ればお酒も用意して欲しかったと思うのは贅沢か。


 紅茶を一口飲み終えたネルアリアがさて、と俺とミザネアの顔に目を向ける。


「お主らにはどこから話せばよいかの?」


 まあ色々聞いておきたいことはある。まずはダイラーのことだ。


「ネルアリアはダイラーが盗賊と繋がっているというのはかなり前から知っていたのか?」

「ふむ。憲兵隊から情報が漏れているというのは確信しとったが、ダイラーと気付いたのは最近じゃ」

「ダイラーは何の情報を?」

「この辺り一帯の貴族の屋敷の警備状況などじゃな」


 この辺りというのは、このネルアリアの屋敷もあるこの高級住宅地区のことだ。


「つまりその情報を元に盗賊どもは盗みに入っていた?」

「その通りじゃ。盗賊どもは警備の薄い場所や時間帯を狙って盗みを働いておったのじゃ」


 朝も見たがこの辺りの豪邸は皆、自前で警備員を雇っている。つまりダイラーは憲兵隊長という立場を生かして、その各屋敷の警備情報を仕入れていたということだ。

 だが何故ダイラーはそんな情報を盗賊団に? アジトでネルアリアはダイラーに向かって何を探している? と聞いていたけど……。


「ダイラーは盗賊団を使ってある物を探しておったんじゃ」

「ある物?」

「詳しく何かは話せんが、それが奴らの手に渡る事は絶対に阻止せねばならぬ」


 隠し事が多過ぎる……ある物とか奴らとか……。ネルアリアが俺の怪訝そうな表情を察して、ふっと微笑む。


「ラドウィン。納得しておらんようじゃな。じゃが、妾が全てを話せばお主にも厄介事が降りかかる可能性が上がるぞ? それでも良いのか?」

「厄介事は勘弁だな。興味はあるけど今は止めとくよ」

「賢明な判断じゃな」


 ネルアリアがニヤリと微笑む。

 俺はとりあえず、のんびり一人冒険者を続けたいだけだからな。厄介事は本当に出来るだけ遠ざけたい。


 ネルアリアがそのまま続ける。


「他に何か聞きたい事はあるか?」

「ダイラーが使った魔石は? アレは何だったんだ?」


 あの時、ダイラーが魔石を飲み込んだ直後、眼が真っ赤になって身体能力が爆上がりしていた。強化魔法に似ているが、あの眼の色は異常だった。魔法とは違う何か別の力がダイラーの体に作用しているような感じだった。


「奴は奇跡の力などと抜かしておったが、あれは遥か昔に封じられた古代魔術の一つを使ったものじゃな」

「古代魔術?」

「そうじゃ。昔、栄華を誇った王都で使われておった魔術の一つじゃ」

「でも今封じられたって……」

「そう、封じられているはずじゃった。じゃが、奴らがまた復活させよったんじゃよ」

「それはダイラーの後ろにいる奴?」

「そうじゃ。じゃが完全に復活出来てはおらん。いわば欠陥魔術じゃ」


 欠陥魔術であの強さかよ。ミザネアの土牢を斬り、何人もの憲兵を一太刀で数人斬ってたぞ? もし欠陥じゃなかったら……俺も今頃こま切れだったかも……。

 ネルアリアがそのまま続ける。


「ダイラーはその欠陥魔術の反動でしばらく目を覚まさんじゃろうな。ひょっとしたら二度と目覚めんかもしれん」

「そういう欠陥なのか?」

「そうじゃ」


 ネルアリアは静かにそう答え、紅茶に口をつけた。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


ネルアリアは美魔女なのです。ラドウィンと歳は近いという設定です。


まだ続きが読みたいと思われた方はぜひブックマークと☆評価をお願いいたします!

これからもよろしくお願いします!

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