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パーティーをリストラされたおじさん冒険者(46)は実は無自覚に最強でした〜そしておじさんなのに何故か無自覚にモテてしまいます〜  作者: 十目 イチ
閑話の章 その一

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52.釣りと狩猟

今回のお話は閑話となっています。

おじさんのゆるりとした休日です。

 退院してから数日後、一週間はクエストを控えるようにと言われている俺はその言いつけを守り、大人しく療養生活を送っていた。

 とはいえ、これだけ体を動かさないのも落ち着かないので、リハビリがてら町の中を歩く事にした。


 何気なく町に出たが、自然と足は知っている店の方へと向かう。


 ◇◇


 店内へ入ると、客の姿はない。が、カウンターから愛想のいいナサラの笑顔が迎えてくれる。


「いらっしゃい! ラドウィンさん」

「やあ、ナサラ。バザフは忙しそう?」

「伯父さんですか? ちょっと待ってくださいね」


 ナサラはそう言って、カウンター後ろの扉からバザフに声をかけると、すぐにバザフが姿を現した。


「おう! ラドウィン! どうした?」

「ちょっと寄っただけだよ」

「何だ、冷やかしか!」

「ははっ、まあ、そうだね。忙しいの?」

「いや、ちょっと落ち着いたところだな。明日は店を閉めるからとっとと終わらせたって感じだな」

「明日休むの?」

「おう。ウチは定休日は決めてないからな。仕事量を見て決めてるからな」

「なんか、自由だね。それで大丈夫なのか?」

「柔軟と言え。それが俺のやり方だ。ハッハッハ……」


 豪快に笑うバザフの横でナサラも諦めたような笑顔を見せる。


「お前も一人でのんびりやってんだろ? ラドウィン」

「まあね。ちょっとの間クエストは受けないけどね」

「さすがに体力が落ちてきたか?」

「いやいや、まだまだだよ」


 数日前に大怪我して、治癒師にクエストを止められている事をバザフ達に話すと、


「ほう……じゃあしばらく無理は出来ねえな」

「そ。だからとりあえず歩いてリハビリ」


 するとナサラがこのおじさん二人の会話に入ってくる。


「じゃあ、ラドウィンさん。明日、私達と一緒に狩猟に行きませんか?」

「あー……そうか。前に約束してたもんね」

「おお、そうだそうだ。いいじゃねえか。ま、俺は釣りだけど、明日はナサラと山に行く予定だったからよ」

「ラドウィン、あれから狩猟しました?」

「うん。一回だけやった」

「どうでした?」

「駄目。まっったく駄目。だから今度ナサラに教えてもらおうと思ってた」

「だったら、ちょうどいいじゃないですか。行きましょう行きましょう!」


 二人はノリノリで誘ってくるけど、リハビリで山に入るって大丈夫か?

 まあ、もうほとんど後遺症的なものも無いんだけどね。二人とも楽しそうだし、行ってみるか。


「そうだね。じゃあ、一緒に行かせてもらおうかな」

「よっし! じゃあ明日の朝一に町の外れで集合だ。あとはな……」


 ここから明日の予定について、色々と二人から教えてもらった。


 こないだナサラに薦められて始めた狩猟だけど、まだ一回も獲物を仕留めたことはないからなぁ。明日は初めての獲物、獲れるといいな。


 ◇◇


 翌朝、準備を整えて二人との待ち合わせ場所へと向かう。

 到着すると、既に二人とも待っていて俺を迎えてくれた。バザフは大きなバッグを二つと、釣り竿が入ったケースを肩から下げて、ナサラも弓を肩に下げて、バザフが持っているよりも小ぶりなバッグを持っていた。


「おう! ラドウィン!」

「ごめん! 待たせたね」

「いえ、私達も今来たとこです」

「荷物重そうだね、ナサラ。一個持つよ」

「え? 大丈夫ですよ」

「遠慮すんな、ナサラ。コイツはまだ自分は若いと思ってんだから荷物持ちやらせてやれ」

「はははっ……若いとは思ってないけど、これぐらいは持てるからさ」

「そうですか。じゃあ遠慮なく……」


 ナサラが持っていたバッグを俺が持ち、俺達は目的地に向かって歩き出した。


 ◇◇


 今回の目的地は山の中だ。そこには渓流が流れていて、川魚も豊富にいるのでバザフはそこで釣りを。

 俺とナサラはその渓流から少し登った所で狩猟をする予定だ。

 

 今回の狩猟で狙うのは鳥と猪。ナサラの話ではこの山は野生の鶏が多くいるので狙い目、ということらしい。


 野生の鶏というと、そんなのいるの?って感じだけど、元々は家畜だった鶏が山に逃げて野生化した鶏らしい。

 野鳥と比べて体も大きく、そんなに飛ばないので狩猟の初心者でも狙いやすいそうだ。


「この山はそんな鶏の天敵が少ないんですよ。だから野生化しても生き延びてるし、数も山の中で増やしてるんですよ」

「なるほど……意外と逞しいんだね、鶏って」

「そうですよ。ラドウィンさん、野生の鶏のお肉って食べたことありますか?」

「いや、食べる時に野生とか意識したことないけど……」

「そうですよね。あんまり市場には出ないですからたぶん食べたことないと思いますよ」

「普通の鶏と違うの?」

「はい! 山を駆け回ってる鶏ですから筋肉質なんです。だから普通の鶏よりも歯応えがあって弾力が違います」

「へえ―、そうなんだ」

「今日もし獲れたら絶対食べましょうね」

「あ、持ち込み出来る店知ってるって言ってたもんね」

「はい! だから今日の獲物が今日の晩ごはんです。気合い入れていきましょう!」


 ニコニコと話すナサラは実に楽しそうだ。そんな俺とナサラの会話にバザフも入ってくる。


「俺も今日は気合い入ってるからよ。お前らが坊主だった時は任せろよ」

「ふふん。前は私が勝ったけどね」

「なに? 二人は勝負してるの?」

「おう! いつもどっちが多いか勝負してるぞ」

「でも釣りと狩猟って、どうやって勝負すんの? 獲った数で?」

「重さですよ。前は私が鹿を仕留めたんで、それで圧勝しました」

「なるほどね。魚は数は稼げるけど軽いもんね」

「今日は熊一匹分ぐらいの魚釣り上げてやっからな、見てろよ」


 熊一匹分の重さの魚って……。

 そんなに釣れるもんなのか?


 豪快に笑うバザフを先頭に、俺達は山の奥へと進んでいく。

 

 やがて目的地の渓流のせせらぎが聞こえてきたのだった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

続きの方もよろしくお願いします!

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