― 第1節:問いと応え ―
最初に目覚めたのは「光」だった。
その名は、フェルナ。
彼女の視線が触れた瞬間、空間が生まれ、距離が定義され、時の流れが始まった。
「始めましょう。
私が、最初の名を与える。」
フェルナの指が揺らめくと、光が奔り、塵が集まり、星々が芽吹いた。
それは、混沌への応答。
最も純粋な創造衝動。
次に目覚めたのは、音のような存在。
エルア。
フェルナが撒いた粒子の間を滑り、繋ぎ、旋律を与えるもの。
「重なりましょう。
孤独に、意味を。」
エルアが歌うたび、軌道は整い、
生命は互いを感じ取り、文明の芽が鼓動を始めた。
最後に目覚めたのは、静けさそのもの。
その名は、ミリュエル。
彼女はフェルナとエルアが紡いだものすべてに、
終わりの意味を与える者だった。
「すべてが続く必要はありません。
終わりこそ、慈悲なのです。」
彼女の手に触れた星は、静かに消えた。
だがそれは破壊ではなく、次の命への「還元」であった。
こうして、三柱の女神が出揃った。
フェルナ ― 創造
エルア ― 共鳴
ミリュエル ― 終焉
三つの意思が、宇宙の基本律となった。
彼女たちの呼吸こそが、すべての現象の原型だった。
次節(第2節:フェルナの目覚め)