洋行記編7 日本現地時間8月10日木曜日AM06:10
保安検査場に向かった2人を見送った後、約1時間後のWiFi機材の受け取り時間まで、時間を潰す必要があった。
で、どうせなら、せっかくの機会なんだから普段なら意図しない限り行く機会が無さそうな空港内の色んな場所にフラッっと散歩するってのも面白そうなんじゃないか?
そう思い立ち第3ターミナル内の散策を開始する事にした。
先ずは現在地の3階中央にある保安検査場から案内カウンター方面に歩くと近くにエスカレーターがあり、それをを利用しすると4階レストラン&ショップフロアの『広小路』に移動する事が出来る。
更にその『広小路』を真っ直ぐ奥に進むとその先には真っ赤な柱が特徴である『江戸舞台』があり、その両脇には5階に移動出来るエスカレーターと階段が設置してあった。
4階の探索は後回しにして、先に5階屋上の展望デッキに移動してみたかったので、そちらを優先する。
エスカレーターを使い5階に移動、中央にある『EDO HALL』は半円型の造りになっていて、天井部に設置されている円形の間接照明が特徴のホールだ。
吹き抜けになっていて広い印象を受けた3階フロアとは違い、最上階故に少し天井が低く感じられ、全体としてちんまりとした印象を受けた。
朝6時過ぎと言う時間も相まって、照明が付いている時間帯でも無くまた両脇の方に広がっている各店舗は何処もまだオープンされていない様子で、更にホールには他の乗客は誰もいないから、たった2フロア下にある3階出発ロビーの喧騒が嘘の様な静けさに感じられた。
果たして、この時間に展望デッキって開いているのかしら?
流石に当初は行く事そのものを想定していなかったので、展望デッキの開放時間までは調べてはいない。
開いていたらラッキーだな、と思いつつ扉に向かって歩いていると、その展望デッキには既に「先客」が複数名いらっしゃるようだったので、
「へぇ、この時間でもデッキは開いているのか」
と何ともなしに口に出しながらエアロックさながら二重になっている自動ドアを通じて外に出た。
デッキに出た時に真っ先に出迎えてくれたのは夏の日差しの強さとチリチリする暑さ、冬の青空のあのキンとした引き締まった空気とは違うドカンとした何処までも手を伸ばしたくなる様な夏空の青さ、遠くの方にプカプカと遠慮深く点在している並雲の兄弟達だった。
まだ6時半前でそこまで太陽高度が高く無いから建物の奥まで強い日差しが入って来るのだが、逆に言えば真上からジリジリとグリルで頭っからこんがり焼かれてローストポークになる様な時間帯では無かった。
ホール中にいる時にはそんな日差しの強さを感じる事が出来なかったから、ひょっとして窓ガラスは日差しを遮る為に遮光ガラスを使っているのだろうか?
天気は正にドッピーカン。
外に出かけるには絶好のタイミングが私達の旅行出発日当日たぁ幸先がいーぜ。
「懐旧の空か・・・」
と思わず意味不明に口に出てしまったとしても誰も罪には問えまい。
表に出た後ダークブラウンのデッキを降り、一番迫り出しているデッキの最深部に歩みを進める。
途中で複数台の有料望遠鏡を確認出来た。
昔私が子供の頃、仕事で忙しい父に代わり母に連れられる形で家族旅行として色々な所に行った時、大抵の景勝地と言われている所にはこの様な望遠鏡がよく設置されていたのを思い出す。
ただ、私の家族は3人弟妹だった上に、私が何かしらのベネフィットを受ける際には、大体下2人はそれと同等以上の受益を得られないと直ぐに癇癪を起こす事が多かったから、一定時間で切れてしまう有料望遠鏡を3人で楽しもうとした場合は1回の時間を妹>弟>私の順で観る羽目に陥る上、小さい頃は私が妹や弟を持ち上げて観させる必要があり、その行為自体がまあまあ大変だったし、大抵私が観始める頃には『カシャン』と無慈悲にシャッターが下りる音と共に真っ暗で何も観えなくなってしまう、と言うまるでコントのオチみたいな事が何回かあった。
故に個人的に有料望遠鏡を楽しもうとする欲求そのものが自然と無くなってしまい、時間の経過と共に完全に縁遠い存在になってしまった。
以前この事を思い出したのが、今の私と妻、そして息子の3人家族で旅行に行った時に当時まだ小さかった息子が景勝地の展望台で望遠鏡を観させてやった事があった時だったから、それ以来と言う事になるか。
一人っ子だった息子からすれば、私の様な思いは無縁の環境で育っていたから、当然望遠鏡であちこちの景色をゆっくりと観る時間を独り占め出来た訳で、最後の方は「ぜんぶみたから、もういいや」となってしまい、残りの時間を妻の方に投げた事もあったっけ。
息子を持ち抱え望遠鏡を覗かせながら、私が子供の頃に同じ様な事を弟妹相手にしていた過去を思い出したのだ。
あれから更に月日が流れ、息子も今年の冬には19になる。
選挙権や婚姻、一部国家資格の取得等の面では成人扱いだが、飲酒や喫煙、他にも競馬や競艇等の公営ギャンブルなんかはまだ出来ないし、地元台東区の成人式の催しは再来年2025年1月に挙行される予定だし、同じ時期に小学校同窓会主催の成人を祝う会も行われるはずだ。
そう言う意味では『中途半端に大人』ってカテゴリーになるのかも知れない。
ここまであっという間だった、と言う見方も世間ではあるかも知れない。
実際、他所様の子供の成長スピードってのはエライ早く感じるもんである。
が事、自分の息子と言うケースに関しては当事者であるって点を考慮するべきなのだろうが、個人的には「ここまで何だかドエライ時間が経過しちまったじゃねーか、オイ」と言う感想の方が強かった。
1日1日は何もせずとも経過していくはずなのだが、大抵何事もトラブル無く無風で1日を終えられる事なぞ殆ど無かったし、大抵の場合は常に何らかの『イベント』が望む望まぬ問わず向こうの方から勝手に押しかけて来やがるし、その中のタスクやミッションを成功しようが失敗しようが何とかクリアする為に本人はもとより私達夫婦も交えて家族全員で七転八倒する日常ってのがデフォだった。
でそうしている間に私も五十路も過ぎて今年で52になっていて、洗面所で顔を洗う度におでこの生え際が毎年心許なくなっていく様子を感じていたり、白髪の割合が随分と増えていたり、顔のほうれい線が目立つ様になっていたり、腹の肉付きがいよいよベルトの買い替えを余儀無くさせようとしていたり、鼻毛が出ていたから抜いたら白髪だった、とかそりゃまあ五十路にもなりゃ老いるし、身体のポンコツ度に拍車が掛かるのも当然と言えば当然だったりするのだが、オメェさんもうとっくに人生の折り返し地点を通り過ぎていたんだぜ、って事を嫌でも思い知らされる例が多くなって来た。
私も、息子も、そして父も毎年1歳ずつ年を経ていくのだから、当然父も私以上に更に老いていくのは否定出来ない事実だったりする。
大病を患い、そこから帰還し、リハビリと言う名のトレーニングを欠かす事無く肉体年齢の限界に挑戦している様な父の生活パターンってのはとてもじゃないが真似しようとも思えない位アスリート気質で体育会系全開な自分に厳しい生き方をしているのだが、それでも昔と比較したら重いものが持てなくなっているところとか、動作の俊敏さが劣化しているところとか、そりゃ今年の年末には79になるって人間が老いないはずが無い訳で、日本人男性の平均健康寿命がザックリ72~3歳、平均寿命が大体81歳と言う面でみても、「もうボチボチ」の頃合いだったりするのは、身内として認めたくは無いのだが仕方が無い現実だ。
今回この様な形で3人での旅行が実現出来た、と言う事は間違い無く賽の目で最悪の出目を引かずに済んだ、って事なのだがじゃあ今回の旅行が終わった後に「次は何時、何処に行こうか」と言う話が今後出来るのか?ってなると年々その可能性は低くなる一方なのだ、って事も一方では覚悟しないといけない。
今後も行ける可能性って意味で言えば今回行く目的地、ニューヨークであったり、ボストンであったりも結構な割合で『一期一会』な場所だったりする。
まあ、飛行機乗ってる時間だけで片道24時間以上必要です、時間によってはストップオーバーで現地で1泊必要ですな中南米への旅行程では無いにせよ、それでもなんせ飛行機で片道13時間とか韓国や台湾の様なアジア圏とは違い『お手軽さ』が絶無だ。
矢張り日付変更線を跨ぐってのが結構ハードルが高く、時差ボケのリスクやその調整の為に到着日当日はそんなにスケジュールを詰め込められないって点や、トータルでみると空港までの移動時間や待ち時間、目的地の空港に到着してからの入国審査や現地への移動時間等々を足していくと結局何のかんのでほぼほぼ丸1日使ってしまう、ってのが原因なのだ。
そりゃぁコスパガン無視すりゃ2泊4日とか3連休足す休み前日会社終わったらそのまま空港にダッシュして夜便に搭乗しますとか無茶しやがってな弾丸スケジュール組もうと思えば組めるのかも知れないのだが、昨今の円安&2022年程じゃ無いけど今でも燃料サーチャージ高騰の原因になっているエネルギー価格の高止まりの事を考えれば「行くのも帰るのも、まあまあカネ掛かんだよ」って話になる。
今回の旅行だって、チケット自体は父の保有しているマイルを利用して3人共国際線特典航空券を手配する事が出来たからまだ良かったのだが、それでも必要な燃料サーチャージ代とか下手なアジア圏行きのLCC航空券代に匹敵するレベルともなればそりゃちったぁ遠慮も出ちまうってのも人情ってもんでして。
ってなれば「どうせそんなに頻繁に行く機会が無い場所なんだから、折角だし4~6日位滞在しなきゃ損じゃね?」って話の流れにもなるってもんで、だから『ハードルが高い』って結論に落ち着いてしまう。
故に今後この様な機会が仮にあるにせよ、御父上の意向次第ではあるがターゲットとしては例えば韓国や中国、香港や台湾の様な身近で移動時間もそこまでかからず、渡航費も滞在費も工夫次第で結構安く済む様なプランが出てくれば可能性はあるのかも知れない。
ただこればかりは、3人のスケジュールだったり、父と息子両名の希望する行先、体験したいイベント、食べたいもの等がある程度は合致する事が前提なのでそれ次第って事になるんだろうな、と漠然と感じた。
え?オレの希望?んなモン「おふたりに合わせる」に決まってるじゃないですか。
あたしゃどこ行ってもそれなりに楽しめるし、何やるにせよ事前に段取りをキチンと組んでいれば行く先々の面白さだって判って来るだろうし、何食ってもその料理とマッチングするであろう現地の美味い酒と合わせて鯨飲馬食できりゃぁ基本あたしゃハッピーなイキモンなんですよ、ええ。
>展望デッキって開いているのかしら?
羽田空港のHPによれば「第1・第2ターミナルが6:30~22:00、第3ターミナルは24時間オープン」だそうです。
第1、2ターミナルだったら訪れた時間には開いていなかったことになりますね。
>懐旧の空か
ハイ、大きいお兄ちゃんズが結構ハマったオールバックで一々セリフが仰々しいソロモンの悪夢さんですね。
正確には「懐旧の宇宙か」なんですけど、宇宙まだ行った事無いから使えるシチュエーションがせいぜい空港位なんで、その点は勘弁つかーさいw
>有料望遠鏡
子供の時から1回100円と言う景勝地価格だった記憶があります。
ただ、「1回につき1枚のコイン」と言うスタンダードって結構長い間変わらなかった印象があったので、可視時間の方で調整していたのかも知れません。
ひょっとしたら今はインフレとか考慮した場合、もっと価格は高く&可視時間は短くなっているのかも知れませんね。
>2022年程じゃ無いけど
今思えば2022年上半期のWTI原油先物はコロナ禍以降では異常値でしたね。
瞬間風速では120ドル超えでこれは2008年の7月終値の頃に匹敵していました。(あの年の最大瞬間は147.27でしたからねぇ。今の原油価格とは雲泥の差です)




