洋行記編1 日本現地時間8月10日木曜日AM04:30
「うへぇ」
「うわぁ・・・」
表に出ると、さっきまでタイマーで起きる前から冷房を気持ち良く効かせていた部屋が恋しくなる程、朝っぱらから湿度が不快な程高い為に空気が重く、本来なら爽やかな朝焼けの中だってのに、気温に関しても同じ様な不快感マシマシで「これにて気温&湿度の下落は打ち止めで御座いますっ」と言わんばかりに見事に下げ止まっていて、うんうんそうだよこれこそが日本の夏ってやつよっ!、って環境を思い知らされていて2人して深い溜息をつきながら歩いている次第だったりする。
まるで汚えぇ空気のミストサウナみてぇじゃねぇか、オイ。
2人して都営浅草線の浅草駅まで徒歩で浅草通りを東進していると、まだライトアップが続いているスカイツリーと、桃色や水色、紫色や群青色が夏の湿度によってそれぞれベールが掛かったかのように薄く淡くなった朝空と、街路樹として浅草通りに多数植樹されていて、この時期に景気良く咲いてくれているので毎日見るものを楽しませてくれる百日紅の花が私達を出迎えてくれた。
この百日紅の花、樹木毎に色合いが薄紅色や深紅、白色等と異なっているから観るものを飽きさせず、しかも神楽舞で巫女が持っている神楽鈴の様に鈴生りで咲いている上、7月の頃からもう1か月以上も咲き続けてくれているので、私にとって毎回通りを歩く度に夏のクソ暑さと不快感を一瞬でも忘れる事が出来る誠に有難い馳走役になってくれているから好きな花の一つだったりするのだ。
今朝でお気に入りなこの花ともしばしの別れか。
ただ、幸いな事に平均2カ月以上も咲き誇ってくれるこの息の長い百日紅は私達が帰国するその日でも、同じ様に美しく咲き続けて私達を慰撫してくれるのだろう。
うん、帰国する時の楽しみがまた一つ出来たぞ。
都営浅草線の浅草駅は銀座線の浅草駅とも連絡通路で直結してはいるのだが、エレベーターを使いスーツケースを運ぶ場合だと、浅草通りと江戸通りの交差点、駒形橋のたもとにあるエレベーター入口(A2b入口)を使うのが実は一番利便性が高い。
と言うかスーツケースの場合それ以外の選択肢が全部「ハズレ」ルートだったりする罠が待ち構えていたりする。
仮に上野方面から徒歩で移動していて、浅草駅に到着したのだが赤信号とかで江戸通りの交差点を渡るのがめんどいから、と言う横着でスーツケースを持ってA1出口から階段で運んで降りる、と言う選択肢を選んだ場合、都営浅草線は東京メトロ銀座線とは違い改札口まで相当段差があるから事前にその事を知らないで階段で移動しようとするとまあ漏れなくドエライ目に遭うのだ。
しかも、江戸通り沿いにあるA4、A5出口の場合だと入口に銀座線と都営浅草線の両方の看板が掲げられているから、『ああ、ここから入れば良いのね』となって海外からの観光客がここの入り口を『使ってしまう』ケースが散見されていて、ここの入り口を使ってしまうと先ず入り口が階段で数段昇って入り口に入ってから、大した踊り場も無い&間口もそれほど広くも無いのにそこから階段を下って行く&更にそこからも銀座線と都営浅草線との深さの違いによる階段での移動が待ち構えている、という誰得ルートに突入する訳でして、特に雨天の中ずぶ濡れになりながら団体さんがエッチラオッチラとスーツケース持って階段を昇って&降りる様は、まあ多分確実に舌打ち増産器&不愉快増幅器&日本への印象悪化マッシーンとしての面目躍如といったルートだったりする。
いや、あのルートマジで初見殺しだと思うんだよねぇ・・・
当然そんな苦労ミリもしたくもないので、普通に駒形橋たもとにあるA2b入り口を目指して移動する。
道中、何人かのランナーと思える軽装の老若男女が軽快な走りで駒形橋に向かって行くのが確認出来た。
隅田川の場合、護岸が遊歩道になっているので、そこをランニングコースにしている市民ランナーは多く、台東区側の場合南は柳橋のところまで、北は白髭橋の所までノンストップで走る事が出来るのだ(とはいえ時間的な制約があり、吾妻橋たもとにある門は午前6時から午後21時までの開門時間になっている。開門時間以外の場合だと一旦上に上がらなければならない)
以前妻と南に隅田川を下って行ったら何処まで行けるのかな?と言う話が持ち上がって、じゃあ試してみようとなり、初夏の心地良い時期に帽子を被って長時間のお散歩を楽しんだ事があった。
スタートが駒形橋からで、柳橋近くまで歩いて、一旦上に上がって、総武線の高架を潜り柳橋を渡り、再度階段を下りて川岸の遊歩道を南下、両国橋の下を潜り途中で首都高6号線の下を並行する様に歩き、新大橋の下を潜り小名木川を左手に伺いながら清州橋下のビックリするほど低い天井の下を、こら外国人の人が通るなら頭屈めなきゃぶっけちまうわな、と思いながら潜り、豊海橋の所で一旦上に上がらなければならなくなり、階段を昇り豊海橋を渡りその時は工事かなんかがあったのか、そのまま永代橋西の交差点を信号使い渡ってから永代橋のたもとにある階段を下って遊歩道に入る一手間が掛かった。
でも階段を下りて遊歩道に入ると永代橋の北側から南に抜けるルートがあったみたいで、アレ?いったいどこから入れば良かったんだろうね?と2人して頭捻った思い出があったりする。
そこから川下に歩いて行けば今度は眼前に佃島が見え、隅田川が『晴海運河』と分岐するルートになる。
このエリアは特に空が開けていて天気の良い日は朝でも昼でも、勿論夕方でも夜でも刻一刻移ろう空の様子と周りの景観を堪能出来る地域になっている。
個人的な『私のお気に入り百景』にノミネートする情景で、機会があれば夜にも行ってみたいな、と感じた。
オシップ・ザッキン作の像『メッセンジャー』が特徴である中央大橋の下を潜ると区民史跡である『霊岸島検潮所・量水標跡』があり、道沿いに進むと『亀島川水門』が見えそのままだと南下出来ないので階段を昇り今度は南高橋を渡る。
南高橋を渡って南に向かって道沿いに遊歩道の入り口を探しながら歩くとふとしたビルとビルの合間にテラスへの入り口がポッと目に入りそこから階段を下ってまたまた遊歩道に入る。
中々見つけるのが難しいから注意しながら探した方が良いかな。
そこから更に隅田川を下って行けば隅田川の橋の中でも大きさで5本の指に入る佃大橋がありその下を潜ると右手に『聖路加病院』が見える。そこを過ぎれば今度は水たきの老舗である『つきじ治作』の看板が見える。この辺りは遊歩道の壁が赤レンガになっていて何ともレトロで洒落た雰囲気になっていたりするので歩いて面白いと思える地域だと思う。
その頃には前方に独特のシルエットを持つ国内最大級の「跳開橋」だった勝鬨橋が見えて居る頃だ。
勝鬨橋は下を潜る事は出来ないので、やはり階段を昇り「勝どき橋西」の交差点を南に渡る必要がある。渡ると目の前は築地場外のエリアになるので『波除神社』の所を通り波除通りを新大橋通に向かう。
「市場橋交差点」を新大橋通りの南側に左折し直進すれば右手には『朝日新聞東京本社』が見え、そのまま道なりに進むと、正面に『浜離宮』が見える様になる。
浜離宮を入らず脇にある首都高八重洲線の高架沿いの湾岸通りを南に歩くと、左手に浜離宮の堀が見える他はひたすら幹線道路の車の排ガス体験ツアーを堪能する事になりここだけは歩いていて正直あんまり楽しくなかった。
そこを我慢してしばらく歩くと左手に新橋日の出ふ頭線への分岐が見える様になるので、そこを左折。頭上にはゆりかもめの路線が確認出来る中を歩けば、左手に『自由劇場』『劇団四季劇場「春」/「秋」』『ウォーターズ竹芝』が見える。このエリアにはベイエリアのホテルである『メズム東京オートグラフコレクション』や『アジュール竹芝』があったりするエリアでもある。
そしてその先には『竹芝客船ターミナル』がありそこからフェリーに乗船すれば伊豆諸島や八丈島、小笠原諸島の父島にも行く事が出来る。
この辺りまで色々見学したり写真撮ったりしながら、ゆっくり歩いて大体3時間ちょっと位で行く事が出来た。
無論雨天だったりもっと暑い日や逆に寒い日等ではもっと時間が掛かっているだろうし、早歩きで歩けばもう少し時間は短縮出来るはずだ。
結局そこまでで歩き疲れてしまった私達は『ウォーターズ竹芝』から水上バスを使って『浅草二天門』まで東京水辺ラインを使って観光クルーズを楽しみながら帰宅した記憶があった。
まあ帰りのはえーことはえーこと、あっという間のクルーズ体験だった。
そんな感じで散歩ルートとして歩く人もいれば、先程の様に信号を避けて走る事が出来る為に市民ランナーの人達が練習で走っている事もあったり、あちこちにベンチがあったりするからそこでのんびり日向ぼっこを堪能したりお弁当を風景と共に楽しむ人達もいるし、手入れがされている様々な季節の花々を愛でている人もいる。
高架下では楽器の練習する人もいれば、季節毎にユリカモメだったりウミネコだったりに『ほう、なかなかですな』『お上手でいらっしゃる』等と鑑賞されながら隅田川流域の絵画を描く風流を堪能している人もいたりで、隅田川沿いの親水テラスは実は春夏秋冬、朝から晩まで多種多様、老若男女な人達に利用されていたりするのだ。
また最近ではコロナ明けで戻って来たインバウンドで来日している様々な国籍の観光客でもこの散歩道を楽しむ人達が増えて来ている印象を受けた。
彼等にとって隅田川沿いの景色は彼等の母国のそれと比べてどの様に映るのだろうか?
今回の旅行で色々な観光名所に行くけれど、実はそこに至るまでの徒歩での移動も個人的に楽しみにしていたりする項目だったりする。
グーグルマップでは判らない、現地に行った時に初めて感じる事が出来る風景や空気感、周りの音や歩く感触は果たしてどんな感じなのだろう?
例えばブルックリンブリッジやマンハッタンブリッジは実際に歩くとどれ位の高さに感じるのだろうか?どれ位の風が吹いているのだろうか?
ブライアントパークやユニオンスクエアパーク、セントラルパークを歩いた時にどんな鳥の囀りが聞こえて来るのだろうか?緑や土の臭いはどんな感じなのだろうか?
ニューヨーカー達の歩くスピードって東京に住んでいる私達より早く歩くのだろうか?
ボストンでのフリーダムトレイルでボストン市の様々なルートを歩くけれどニューヨークと空気感が違うのだろうか?
様々な行った事が無く、写真や映像だけで見ただけの場所に訪れた時のインプレッションを堪能出来れば良いな、それを3人で分かち合う経験を楽しみたいなと思った。
まあ、体力と天候、そしてノートラブルである事が前提なんだけど・・・
>東京水辺ライン
東京都観光汽船(TOKYO CRUISE)とは運営が違う水上ラインですね。
東京水辺ラインは公益財団法人東京都公園協会が運営母体です。東京都観光汽船(TOKYO CRUISE)は東京都観光汽船株式会社が運営されています。
お手軽観光クルーズとして個人的にも結構面白かったので東京観光の時のオプションとして一つの選択肢になると思います。
東京水辺ライン
https://www.tokyo-park.or.jp/water/waterbus/
TOKYO CRUISE
https://www.suijobus.co.jp/