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段取り編24 Iミノ来いっ!・・・Oミノオメェじゃねーっ!

 昨日、自由の女神クラウンツアーが完売御礼だったことが判明、息子に姑ムーヴされる屈辱フルコースを堪能する羽目になった翌朝、いつもよりも早い時間に出社し会社の会長室に直接赴きスケジュールが空いている事を確認後昨日の顛末を報告、その後父のクレカで国連日本語ツアーを予約&支払いを完了させた。

 先ずはこれで優先順位の高いイベント予約がひと段落だ。


 「まあ、自由の女神に関しては取れないんじゃ仕方が無いじゃないか。孫が行きたがっていたのは残念だけど、その分他のイベントで埋めれば良いじゃないか」

 「いやぁ、アイツの場合単に面白がって言ってただけだと思うけどねぇ・・・でも、少なくとも事前予約必須時間指定イベントの場合は早めに確認、そして予約を取った方が良い事を痛感したよ。実際調べてみてはじめて国連ツアーが土日やってなかったり、日本語ツアーの数が少なかったり、時間指定イベントでは無いけれどボストン美術館が火曜日休館日だなんてのも全部、調べなきゃ何にも知らなかったままだったからねぇ」

 「それも良い経験だ。今後仕事でもプライベートでも『勘弁』を鍛える機会なんかそうそう無いんだろうから、今回の諸々の事はお前にとって貴重な経験になると思うぞ」


 そう言うと、何時もの様にボトルからガムを数粒取り出して口に放り込む。


 「で段取りとして、昨日考えたスケジュールがあるんだけど・・・」


 と昨日考えたスケジュールプランについて説明をした。

 このプランの特徴は事前予約必須時間指定イベントを2日目で全部消化、残りの日程でメッツ戦のチャンスをうかがう事が可能となる点が特徴となる。


 「・・・でこんな感じなんだけど、どう思う?個人的にはメリットとして事前予約必須時間指定イベントを早い段階で消化出来る、ニューヨークメッツの千賀投手先発登板試合に入場出来るチャンスが増える、という点が挙げられると思ったんだが」


 すると、父はカレンダーを見ながらカレンダーを見ながら考え始めた。


 「到着日夜にディナークルーズ、翌朝ヘリツアー、終わってから911とその周辺、午後に国連ツアー、夕食後ジャズクラブ・・・か。まあ、悪くは無いと思うぞ。ただ、気になる点が2点ほどある」


 あれ?何かこのスケジュール問題あったっけ?

 慌てて考えてみる。

 イベント間の移動時間とか、スケジュールが重なるリスクとかも排除したし、初日&2日目なら体力面での問題も無いだろうし・・・何かあったっけ?


 「で、問題点って具体的にどの辺り?」


 と話を促す。

 『また』何か見落としている事があるのかも知れない。


 「先ず1点目は到着日の夕食とかは可能ならホテルの近場とかで済ます事が出来れば良いと思ってたんだよ。何せ片道13時間。しかもエコノミーだ。正直機内であんまり寝られるとも思えないんだよ。ホテルチェックイン後に近隣を散歩したり近場の施設で観光をするとか買い物をするとか位なら良いが、チェックイン後あまり休む事も出来ず、急いでめかし込んで港に移動して船に乗船してそこで飯食ってってスケジュールは、天候が良い日なら全く問題無いんだが、風が強い日とかだと多少は船も揺れる事もあるだろう?一応酔い止めとか持っては行くし、俺の場合は体調さえ問題無ければ基本船酔いとかはしない方なんだが・・・」


 あーそっちかぁ・・・

 到着日当日の体力の状況と船酔いに関しては、確かに言われてみればそのリスクはゼロでは無かった。

 私の場合は基本エコノミーだろうが長距離フライトだろうが何杯か美酒ひっかけりゃ直ぐに爆睡出来る口なので全く問題無いし、船も含めて乗り物酔いと無縁な人生だったから全く問題無かったのだが、父や息子の場合は13時間のフライトで十分な睡眠時間が確保出来るかに関しては全くもって不透明な状況だから、体力次第ではその当日夜にディナークルーズに乗船するのは仮に天候が強風だった場合、幾ら濤波が外洋と比べてほとんど無い河川が運航航路であったとしてもノーリスクでは無いのかも知れない。

 うーむ、一寸その件は計算外だったなぁ・・・


 「2点目はそもそも、現時点でホテルがまだ確定出来ていない状況でアーリーチェックインで本当に早くホテルに入れるのか?という点だ。お前が事前にホテル側とやり取りして、確実にホテルに到着したら直ぐにチェックインして部屋に入れる様にしてあるのならば問題は無い。ただその辺りが怪しいままで放置されていた場合、仮にチェックインが定刻4時からしか受け付けません、という状況に現地に到着してから初めて判明した場合、そこからチェックイン後部屋に入って着替えて直ぐに港に移動して、でスケジュール的に間に合うのか?」


 あー、その可能性かぁ・・・

 現時点ではホテルが何処にするかも全く手付かずだから、アーリーチェックインに関しては『出来るもの』という前提で動いていた節はあった。

 これが、ボストン美術館への移動だったら仮に早朝の便で到着しアーリーチェックインが出来ない時間帯にホテルに到着した場合でもトランクをベルデスクに預ける、で事足りたのだがこの場合だとアーリーチェックインで部屋に入り着替える事が出来ないリスクがある以上、グレードが高い方のクルーズを選択した場合、羽田から出発する時に最初からリゾートカジュアルの服装で搭乗し、ベルデスクにトランクを預けそのまま移動する必要が出て来る、って事か・・・

 チェックイン後部屋に行って速攻着替えて現地に行く、と言う選択肢はチェックインのPM4:00からPM6:15のボーディング時間までの2時間15分と言う時間内で全員着替えて>ホテルから港まで移動する必要があり、これはホテルのロケーションや選択する交通手段にもよるが時間的にギリギリな可能性が高いので却下。

 間に合わず、出ていく船を港で呆然と眺めるツアーとか絶対に避けなきゃならんだろ。

 そしてカジュアルな方のクルーズだとボーディングの時間がPM5:30からなので、仮にPM4時からでしかチェックインが出来ない、という状況ではチェックインを待たず到着次第ベルデスクにトランクを預けて移動、クルーズイベントから戻りスーパーやドラッグストアもしくはコンビニで翌日以降に使用する消耗品を購入し、ホテルに戻ってからベルデスクに預けたトランクをピックアップしチェックイン作業に移る事になる・・・これは結構しんどいかもしれない。


 「先ず1点目に関してだが、完全にそのリスクの可能性はスポイルしてた。クルーズの航路についてハドソン川とイースト川がルートで、外洋に出る訳でも無いから濤波について中止レベルの強風が無い限り、大して船体が揺れる事態にはならんだろ?と考えていたから。そもそも河川で波が大きくなるレベルの天候ならイベント自体順延になる可能性が高いと踏んでいたしね」


 と言いながら私も会長のテーブルに置いてあるガムのボトルに手を出し、適当に2~3粒取り出し口に放り込む。

 強いミントの清涼感が口腔内に刺激を与え頭がシャッキリする。


 「でもって2点目に関しては、仮にアーリーチェックインが出来ない場合でも、ベルデスクにトランクを預ける事で即座に移動出来ると考えているから、夕方5時半ボーディング開始のカジュアルなクルーズの場合であれば、普通に間に合う。まあ、クルーズ終了後港から戻りながら、どっかのスーパーやドラッグストアで水とか消耗品を購入しつつホテルに戻ってチェックイン、という段取りになるけど。ただ、夕方6時15分からボーディング開始になるアップグレードしたクルーズの場合は、ドレスコードでリゾートカジュアルが求められるから、夕方4時チェックイン後部屋で着替えてそこから移動、は結構ギリギリになるかも。リスクを避けるなら、出発日の服装を最初からリゾートカジュアルにしてしまう、と言う手もあるけど・・・まあ、あんまり取りたい手段では無いよね」


 出発日の服装について話をしていると父の眉間にシワが寄って来たから、まあ論外なんだろうな。

 

 「今のお前の話を聞いている分には、もっと良い選択肢がある様な気がするぞ。色々な組み合わせ方を考えてみて、その上で決まったらまた声を掛けてくれ」

 「・・・ああ、判った。ここ数日で幾つかスケジュールのプランを作って、その上で相談するよ」

 「それが良いな」


 これで取り敢えず、課題再提出決定、か・・・

 あーあ、まあやっぱり一筋縄ではいかんよなぁ。

 幾らこっちが段取り考えて端っこの列開けて後はIミノお前だけだ、状態で来るのを待ち構えていても、普通にOミノやTミノ、S&Zミノが連続で落ちて来る確率の方が高いもんな。


>後はIミノお前だけだ、状態で来るのを待ち構えていても、普通にOミノやTミノ、S&Zミノが連続で落ちて来る


 テトリスは人生の縮図の様なモノです。来て欲しい時に来て欲しいミノは決して来る事は無く、要らない時や手遅れになってから欲しかったミノが来る、という展開はリアルの社会生活で余りにもよくある話だったりします。



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