段取り編15 旅行以外の段取りも忘れずにねっ(はーと)
先日妻から指摘を受けてToDoリストに入れた「日中午後のスケジュールについて体調面を考慮したイベント管理に関する柔軟性の問題(うわぁ長ぇータイトルだなぁ)」については、基本的には何処に行くかが確定してからそのルート上、あるいは導線の近くに所在するカフェの様な飲食店で休憩の時間を設ける、あるいはそのルートからアクセスし易い地下鉄であったりバスであったりでホテルに戻り休憩時間を確保する、と言う方向性で良いだろう。
正直な所、どれ位の休息が彼等に(場合によっては私に)必要なのかは行ったタイミングでの気象状況だったり、蓄積疲労度であったりで正に行き当たりばったりな感じになるだろうから、調整幅を多く取りイベント数を少なくする場合はサブイベントから削る様にして、骨格となるメインイベントの数に影響が出ない様にした方が良いだろう。
ってなると正午から夜までの大体7~8時間の中でメインイベントを2個組む場合は午後早い時間と夕方前後の遅い時間に分けて、出来るだけ午後3~5時位は組み換えが容易に出来るサブイベントを中心に段取りを用意した方が良いのだろうか?
逆に午後3~5時位に限定された時間の外せないメインイベントを組む場合、場合によってはそれ以降のサブイベントを完全に無くしたり、夕食の予約時間を後ろ倒しにして休息の時間を設ける方がリスクは低減出来るだろう。
何れにしても、事前予約が必須な時間指定イベントであったり、メインイベントであったりの場所からアクセスの良い場所が選ばれるサブイベントに関しては当日の気候であったり私達の体力面、疲労度を加味して柔軟に『差っ引ける』様に組んで、状況が変化したとしても主要なイベントに穴を空けない様に段取りを組む様にしたい所だ。
何時もの週末の夜と同じ様にパソコンで調べた事をお気に入りに放り込んだり、関連動画を確認していたり、地球の歩き方の該当ページを再読したりしていたら、
「ねー、この間頼んでおいたあの子の自動車教習所の件って何処か決まったぁー?」
って妻の声が台所から聞こえて来た。
・・・あヤベェ、そう言えば息子の大学入学までの時間を有効活用する為に車の免許所得に向けた時間を確保した方が良いだろう、って話を妻としてたんだっけ。
でもって、私が何処の教習所が良いかどれ位の費用が掛かるのかとかざっくりとでも調べなきゃいけないんだった。
「・・・ねー、あの子のNISA口座の件って結局どうするんだっけぇー?」
・・・ああ、マジヤベェ、去年12月には息子も18歳になったし、今年1月からは18歳でNISA口座(注・旧一般NISAおよび、つみたてNISA口座です。現在の新NISAでの積み立て枠、成長投資枠の前バージョンの様な存在ですね)が開設出来るから、大学入学した後でバイト代とか一部でも積み立て出来るようにした方が良いよねぇ、って話してたんだっけ。
「・・・・・・ねぇ。どーして黙っているのかなぁ?」
と、とてもにこやかな笑顔を張り付けたまま、こっちにやって来た。
ウワァ、怖ぇえなぁその笑顔。
「・・・ああ、自動車教習所の件については数件の候補地を擁立し(単にパソコンのお気に入りに数件放り込んだだけ)、それぞれの特徴を把握した上で(今知っているのは名前だけ)何処にするべきか検討を進めている所なんだよ(実は完全に放置プレイ)。んでもって、NISA口座に関しては色々考えたけど(単に調べてもいないだけ)やっぱり私達が使っているネット証券口座、および系列のネット銀行にするのが一番良いかなぁって思っていたりするんだよねぇ(実は今思いついただけ)」
そう言いながら妻の顔色をうかがうと、張り付いた笑顔の中にミリも笑っていない目がじーっとこっちの顔をマジマジと見つめながら、
「ふーん。そーなんだぁ。じゃあ君が今までパソコンで調べた各自動車教習所の特徴、ストロングポイント、ウィークポイント、費用、アクセス等の条件を全部出して頂戴。私も比較して判断したいから。それと、NISA口座の件は他のネット証券会社で新規加入キャンペーンとかお得な情報って一切調べなかったのかな?幾つかあったと思うんだけど・・・」
「・・・・・・」
ポスッ
「うっ」
こっちが完全に手詰まりでダンマリ決め込んだ次の瞬間には、妻が手刀で貫手を作って私の腹のぜい肉部分を的確にブッ刺して来た。
私の腹がシックスパックとかでバッキバキだったらむしろ手の方が痛いのかも知れないけれど、ザ中年メタボな私の腹は御多分に漏れずダッルンダルンで腹『だけ』比べりゃ安西先生に引けを取らないレベルな訳でして、そら面白い様にぶっ刺さるのだ。
ポスッ「ねー」ポスッ「どーして」ポスッ「都合が」ポスッ「悪くなると」ポスッ「君は」ポスッ「だんまりなのかなぁ~?」ポスッポスッ
「すみません。ごめんなさい。いやそれ冗談抜きで結構痛いんでマジで勘弁して下さい。てか最後おまけだと言わんばかりに2回刺したでしょ、あなた」
すると、ポスポス私の腹肉を刺すのを止めた妻が腰をかがめて目線を椅子に座っている私に合わせ、じーっと見つめてくる。
いやぁ、こんな時に「今日もキレイっすね」とか言ったらどんな恐ろしい目に遭うか判ったもんじゃないから言わないだけの賢さは今までの夫婦生活の中で身につけてきたつもりだけど。
「君、時間あったよね?この前の週末とかセイウチの様にソファーでゴロゴロして、携帯でゲームとかやってたよね?その後も本読んでたり、テレビで動画見てたりしてたよね?私達で話し合った内容とか調べる時間は十分余裕あったと思うんだけど?」
「そうっすね。仰る事誠にごもっともです(お陰様でその時ソシャゲのピックアップガチャでSSRキャラ一発ツモ出来ました、ラッキ~とは口が裂けても言えんよなぁ)」
そう言うと、妻は両手を伸ばしその手の平を私の両頬を包み込むようにゆっくりと当てて、ニッコリと微笑む。
うん、この状況だけ切り取って観た時大半の人はパット見、どっかのよくある三文ラブストーリーの1場面の様に映るんだろうなぁと頭の片隅で考えてはいたんだが、現実逃避を幾らしたところで現実が変わる訳でも無く当の本人は現在絶賛絶望中な訳でして・・・
「今日中に両方とも全部調べて」
「や、今もう夜10じ・・・」
ペシッ。
軽く右手の平で私の左頬を顔色を変えずにはたく妻。
左手を私の頬に添えて。
まるでどっかのコ洒落たレストランのメニュー名の様な感じで引っ叩かれる私。
その顔色は変わらずにこやかで優しげですらあるのだが、目は全く笑っていない。
「今日」ペシッ「中に」ペシッ「両方」ペシッ「とも」ペシッ「ぜーんぶぅ」ペシッペシッ「しー」ペシッ「らー」ペシッ「べー」ペシッ「てー」ペシッ「ねー」ペシッペシッペシッ
うん、それ多分マフィアとかその筋の方達の『お願いの仕方』だと思うぞ。
何処で学んだんですか、それ?って思ったが、私も身の安全の事を考えたらそんな事絶対に言えん。
「・・・了解っス」
だから、これしか返答のしようが無いよね?と言う結論を口に出した。
まあ、確かに2月も終盤になってるし、免許に関しては早く動かないと今年の夏までに取れない可能性もあるし、放置して良い話では無かったのだから、全面的に私が悪いのは判っている訳で・・・
「じゃあ、宜しくね。作業が終わったら声かけて頂戴。今日中にある程度判断して明日以降には動きたいから」
そう言うとさっさと台所の方に戻って行った。
今日中に判断材料を全部これから用意するのかぁ・・・自分自身の怠惰が原因だとはいえ、果たして2時間位で作業が終わるのかしら?・・・いやぁ無理だよなぁ。マッハでやってももう一寸掛かりそうだよなぁ・・・
しこたま『かわいがられた』腹肉と左頬を何回か擦り、そして首と肩を2~3回ほどゴキゴキと回してからパソコンに向かう。
「さーてっとぉ、オジサンの本気を見せちゃおっかなぁ・・・」と誰も聞いていないキモイ独り言を呟きながら作業を開始するのだった。
やる事は多く、さりとてやる気は無尽蔵に湧いて出るはずも無く、結局時間ばかり経過して追い詰められてから本気出しましたモードになる生き方ってのは、多分死ぬまで治らんのだろうなぁ・・・
>安西先生に引けを取らないレベル
そのレベルが「育成スキル」とか「人徳パラメーター」とかだったらどんだけ良いか・・・