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jelly fish  作者: すーんけ
1/8

そして事件が起きた。

初投稿です。

皆さんの小説を読ませてもらっており、頂いてばかりだと申し訳ないので一つ書いてみました。

なるべく、わかりやすい表現で書こうと思っています。


とある街道沿いになる小さな街の冒険者ギルド。

昼下がりのちょっと気だるい時間。誰もいないエントランスにある受付カウンター。

カウンターには一輪挿しが置かれており、カモミールの花が一つ飾られている。

 ちいさく開いた窓の奥では今にも意識を失いそうな目で、入り口の方を焦点の定まらない目で眺めている女性。

 黒い背中までの長髪でギルドの制服。机の上では口は半開き。30前くらいだろうか、受付に抜擢されるだけあって飛び抜けて美人とまではいかないものの、スタイルは細身で悪くはない。椅子に浅く腰掛け肘掛けで辛うじて体勢を支えている。

 街の雑騒の合間に聞こえる聞こえる子供の声。

 早朝から冒険者を送り出し、早めの遅めの昼食を取り夕方頃に帰ってくる冒険者を待っている。


 この世界、冒険者という職業がある。世界各地で発生する「魔物」と呼ばれる巨大な昆虫のような化け物を退治するのを生業としている人々とそれらを支える人の総称である。

「魔物」の駆除には特殊な技能が必要なために、そのような擬技術を持つ狩人を各国で共用、育成を行うために、各国が共同で「冒険者ギルド」が設立された。

 魔物は常に発生するわけではなく、またある場所で突発的に発生するという特徴があるため、このような国をまたいで活動できる仕組みが必要となった。

 簡単に言うと諸国を移動しながら狩りや雑用をこなす旅人のようなものだ。その仕事は多岐におよび冒険者の中でも、薬草の採取や調査など、それぞれに特化する者も少なくもない。

 それらのマネージメントから育成、サポートまでを行うのが冒険者ギルドである。


 まだ冒険者たちが帰ってくるにまだ早い時間、ギルドの扉か勢いよく開いた。

 入ってきたのはまだあどけなさが残る冒険者、右半分が銀髪で、背中には細身の剣。すこし大きめの革製の防具で胸部だけ金属が入った簡素な鎧。手入れが良くないようで、凹みや錆が浮いている。

 肩に担いだ木の棒を下ろさず、そのままにギルドの中に入ってくる。

 「やっぱギルドの中は涼しいな。」

 棒の先には小型の魔物が3体吊るされており、その後には棒の端を無理な体勢で担いでいる戦士風の男性。

明るい色の鎧を装着しており、背を合わせるために中腰で支えているために苦しそうな体勢ではある。

 茶色の短い髪で、自己主張するような特徴もない。どことなるボーとしている雰囲気。腰に大きめの剣を携え、控えめな鎧は軽い音を奏でる。よくある竹製の鎧だが、軽くて防御力も悪くはないので、上級冒険者でも使う者は多い。これも手入れがあまりなされていないようで、カラコロと鳴子のような音を立てる。

 遅れてもう一人、腰ぐらいまでの短いくすんだ緑色のローブを羽織った女性が入ってくる。肩までの同じ茶色の髪で、背中側はゆるく編んだ髪が背中まである。ローブの中は明るい暖色系の服がロープの隙間から映える。このローブの色は季節によって変わり、今の時期は皆同じような色のロープを羽織る。

 森に入ったときに景色に溶け込み見つかりにくくするためだ。

 三人とも駆け出しのようで若く、年長てある鎧を着た男でさえ20にはなっていない様子。

 半分、銀髪の男は受付の奥にいる女性を見つけると、片手を上げて元気よく上げた。

 「おばさん、ただいま”っっ。」

 空かさず、後に居たローブを羽織った女性が、その男の腰辺り、鎧の隙間を狙って手にしていた小型のメイスの柄で突き刺す。

 不意を突かれて崩れる男、バランスを崩して、鎧の戦士男もつんのめる。

 腰を抑えながら、

 「ちょ、それ。刺出てる。柄から刺出てるって。」

 ローブを着た女性はそのままカウンターに進んで、窓口の前に立ち、すこし会釈をした。

 「ごめんなさい、うちのバーティの者が。」

 受付の女性は、銀髪の男を睨んでいたが、ローブを着た女性が声をかけると笑顔をみせ、親指を軽く立てた。

 「おかえりなさい。今日はずいぶん早いのですね。」

 戦士風の男も落ちた魔物を拾い上げ、銀髪の男は腰の辺りう触りながら立ち上がる。

 「おい、腰から血が出てるじゃないか。」

 そんな様子を見もせず、エントランスの奥にある扉を指差し、イライラした口調でまくし立てる。

 「いいから、早く魔物を買い取ってもらわなと鮮度か落ちるでしょ。報告書は出しておくからすぐに奥の買い取りカウンターにもって行って。」

 ダラダラと魔物を運ぶ様子を不機嫌そうに睨んでいたが、何かに気づいて振り返る。

 「あら、ファリシアさん香水変えたの?」

 ファリシアと呼ばれた受付嬢は、少しはにかんで恥ずかしそうにする。

 「ティスちゃん、やっぱりわかる?」

 栗毛でローブを来た女性は、何回か大きく頷いて見せる。

 「もちろんよ。今朝と服も違うし、今日は何かあるのね?。」

 ファリシアはすこしモジモジしていたが、ティスを手招きする。ティスがカウンターに身を乗り出すと、ファリシアは何かを耳打ちした。

 聞いた途端、二人はきゃいきゃいと騒ぎ始める。  

 ちょうどその時、指差した扉か開いて、50代ぐらいのごつい体型の男性が入ってきた。

短い赤い髭を蓄え、エプロンにはおどろしい汚れがついている。

 エントランスを見舞わし、男二人が持つ棒に吊り下げられた3体の魔物をみつけると、感心したような声を上げた。

 「ブンブンか、めずらしい獲物だな。最近コイツの入荷が無くてな。」

 近づいてそのうちの一体の魔物を手に取った。薄い半透明の羽を持つずんぐりとした茶色い魔物。カナブンのようだが、大きさは軽く一抱えぐらいあり、足はすべて切断されてある。

 「コイツはすばしっこくてなかなか捕まえられないだろう。しかしこの処理はダメだな。コイツは足があったほうがいい。それに羽は傷がつかないように、折りたたんだ状態で紐で縛るなどして持ってきた方が高く売れるぞ。そうだな3体で2枚ぐらいだな。つぎにちゃんとしても持ってきたら3枚くれてやる。」

 1枚とはギルド証券の枚数で、1枚あたり大体1万円くらい。半日ほどで3人で2万円なので悪い仕事ではない。怪我など持ち出しか無い限りは。

 銀髪の男はナップザックをまさぐりり、黒っぽい棒を数本取り出した。

 「何匹分かのソイツの足だけど。」

 髭の男はそれを手に取るが、ちらっとみてそのまま突き返す。

 「これはダメだ。買い取れないな。そもそもキズが多いし必要な長さがない。」

 銀髪の男は不満そうに言う。

 「コイツを仕留めるのに足を狙うんだ。そんな丁寧に捕まえられるかよ。下手すりゃ頭齧られるぞ。」

 「足は工芸品に使う。貴重品だからこそ、買値がつくんだろう。狩りをするならそれぐらい考えてなんとかするのがハンターって言われる職務だろう。」

 髭の男は魔物を吊るした棒を片手で掴むと、そのままエントランスのドアから出て行こうとする。

 魔物は比較的軽く、なかでも飛行タイプはより軽い方だが、それでも一匹当たりちょっと大きめの犬ぐらいの重さはある。

 狩場からの距離があるとはいえ、二人がかりでやっと運んだ魔物を片手で軽々持ってゆく髭の男。

銀髪の男は、そんな様子を呆れたような表情で言葉を漏らした。

 「そんなに力かあるなら、おっさんが自分でいけば行った方が早いんじゃないか?。」

 そういったが、髭の男は軽く笑い、自分の右足を指差した。

 「ギルドマスターにもさっき言われたよ。膝に矢を受けるまではな。」

 そう言い残して扉の向こうに行ってしまった。しかし足が悪いような歩き方ではなかった。

 受付が終わったのが、ティスが受付から戻ってきた。その手には一枚の紙を持っている。

二人に見えるように翳すと、少し微笑んだ。

 「兄さん、今回の依頼で、Dランクに昇格だそうよ。今からギルドマスターに報告に行くのですって。」

 鎧を来た、戦士風の男は黙って頷いた。カラコロと鎧が鳴り、その顔には笑みが浮かぶ。

 その横で、銀髪の男の顔が小さくガッツボーズを取ると、エントランスにある長椅子に腰かける。

 「まじで。やったな。今夜の夕食、ちょっと豪勢にいこう。このギルドの向かいにある食堂にいってみようぜ。」

 そんな話をしていると、突然2階から女性の悲鳴が聞こえた。

 エントランスに居た全員がお互いの顔を見合わせる。

 銀髪の男は立ち上がると、すぐに2階に向けて走り出した。軽やかに階段を1段飛ばしに駆け上がるが、足音がまるでしない。まるで風の様に素早く。

 階段を登ると廊下の先、ファリシアが開いた扉の前で床に座り込んでいる。

立てない様子で、後ろ手に辛うじて体を支えている。

 その奥では、隣の部屋から不安そうに顔だけを出してこちらを見ている男。

 銀髪の男はファリシアにかけより、部屋の中を見る。

 大きな格子窓から差し込む光で部屋は明るい。目が慣れてくると窓の近くの右側にある大きな机。

そこには、ギルドマスターが椅子に座り、天を仰いでいる横姿が浮かび上がる。

 口を開き、胸から生えた投げダガー。だらりと下がった手からは衣服を伝った血か滴り落ち、床に血だまりを作っている。

 その状態を見て銀髪の男は顔が青ざめる。

 「どけっ。」

 そういうと、階段に向けて走り、一階に向けて叫んだ。

 「だれか人を呼んで来てくれ。ギルドマスターか死んでいる。」

 階段の下では、戦士風の男が上を見上げていたが、軽く頷き、入り口にむけてカラコロと走り出す。

 一階では、先ほど魔物を持っていった赤ひげの男も騒ぎを聞いて、エントランスにいた。

 戦士風の男を片腕で制すと、

 「私が行こう。この街の自警団の団長に知り合いが居る。」

 そういうと、駆け足でギルドの入り口から街の雑踏に向けて走り去った。

全体的には短いストーリです。


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