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与えられた物は「勇気」のみ!~最強スキルで旅をする~  作者: ド・ド・弩レイダー
第三章 誰も知らない夜明け
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家族

「それで、ボク達になんの用?」

「わたくし、貴方がたと少しお話がしたくてお伺いいたしましたの。」

「なあ、結貴(ゆき)。その話って、俺らが聞いてても平気か?」

「そうですね…。では、三時間後にここでまた会いましょう。」

結貴は紙に簡易的な地図と場所の名前を書き俺に手渡した。


そのメモを受け取り、俺らは店の外へと出る。

「なぁ、ギルガメッシュ。そういえば俺らってこの国じゃ指名手配なんじゃなかったか?」

「ん…あァ、そんな話もあったな。テメェの嫁がなんかしてんじゃねェのか?」

「え!キュクロス…じゃなかった、龍司ってさっきの人と結婚してたの?!」

「いや、してないけど…」

「ダハハハッ!満更でもなさそうな表情しやがってよ!」

そんな会話をしながら、特に宛もなくフラフラ歩いていると、前から歩いてくる一つの人影に気付いた。

小此木(おこのぎ)美姫(みき)だ。両手にパンパンに膨らんだ袋を持っている。買い物帰りだろうか。

あまり得意としない人種なので、気付かれないようにと願っていたが、ギルガメッシュはそんな事を考えないし、俺らは目立つ。

「おい、テメェ、こんなとこに居やがったのかよ!」

こちらに彼女が気付くと同時にギルガメッシュが怒鳴った。

「アナタ達こそ、こんな所に居たのね。」

グレアが臨戦態勢をとる。なるべく目を合わせないようにと俺はそっと目線を逸らした。我ながら情けない。

「私、あなたのこと大っ嫌いなんだから!」

「あら、こんな白昼堂々戦闘?

私は上部が揉み消してくれるからしてもいいのだけれど、アナタ達はそうもいかないでしょう?

それに、攻撃しないって約束してくれるなら、面白いこと、教えてあげちゃうけど、どうする?」

ウフフ、と嫌な笑みを浮かべながら交渉を持ちかけてくる。

こちらとしても、問題を起こすことはなるべく控えたい。仮に結貴がなにかしてくれていたとしたら、それを無下にしてしまう。

「わかった。約束してやる。だから、俺様に面白いことってのを教えやがれ。」

「なかなか素直じゃなぁい?やっぱり男の子は素直な方が可愛いわ。」

「俺様は別に男の子なんて歳じゃねェよ…」

困惑した様子でそう呟きながら、グレアを抱き上げ、攻撃の意思がないことを示した。

「今久宗(ひさむね)が南の方へ行っててね。

何があったのかは知らないけど、随分興奮した様子で連絡してきたの。

荷物置いたら行くつもり。なんなら、着いてきてもいいのよぉ?」

「わりィけど、この後予定があんだよ。それに、テメェらと行動したくねェしな。」

「あら、そぉ?それじゃあ、またね〜。」

手をヒラヒラと振りながら彼女は去っていった。

「むぅぅ…なんなのアイツ…」

「ほら、そろそろ時間だぜ。約束の場所に行こうじゃねェか。」

ギルガメッシュはグレアの頭を撫でながら目的地へと歩き出す。


「うわぁ…すごい、おっきいね…。」

「あァ、俺様の城ほどじゃねェけどな。」

本当に合っているのか不安になるほど高いビルだ。

エントランスに入ると、結貴が出迎えてくれた。

「待っていましたわ!本日は泊まって行ってくださいませ。」

「ん、泊まるって?」

「あら、ここはお高いマンションですのよ。レギナ・ハイドリヒ名義で契約していますの。さぁっ、今晩はご馳走いたしますわ!」


そうして俺らは結貴の高級マンションで、フカフカのベッドと久々の日本風の味付けのご飯を堪能。

パンや肉、芋やブドウばかりを頻繁に食べていたので、かなり染みた。

曰く、「能力で出して調理しているだけで、食材はこの世界には存在しない」らしい。てっきりどこかで米を栽培しているのかと思ったが、違うようだ。

グレアはしばらくあのベッド以外じゃ寝れないだろう。ギルガメッシュも「ここ以外で寝たくねェ」と言っていた。もちろん、俺もそう思う。

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