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与えられた物は「勇気」のみ!~最強スキルで旅をする~  作者: ド・ド・弩レイダー
第三章 誰も知らない夜明け
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廻る未来

「こンな暗い森の中に何があるって言うンだよ…」

森の深く。葉が生い茂っているのか、それとも夜なのか…。

定かではないが、辺りは真っ暗だ。

森に足を踏み入れてからと言うもの、やけに凶暴で大きな動物に襲われる。

魔物は多くないが居る。凶暴な動物だって居る。ただ、コイツらはそのどちらとも違う。

「ツタに覆われてて、しっかり管理されてねぇ感じ。ここが目的地か。」

俺は恐れることなく、剣を持ち、ランタンを片手に、暗い廃墟の中へと歩いて行った。


「さぁっ!着きましたわ!早く行きましょう!」

馬車から跳ぶように降り、結貴(ゆき)は俺の手を引いて駆け出す。

こけそうになりながらも俺は走って行く。

ふと結貴がこちらを振り向いた。その瞬間、俺の頭の中に確かに俺自身が体験した、しかし知らない記憶が浮かび上がった。


「ねぇっ、ほら、龍司(りょうじ)!置いてっちゃうよ?」


知らない場所、知らない名前、そして…知らない結貴の、本当の笑顔。

「リョージ…」

「…どうかなさいましたか?」

「それが、俺の、名前…」

道の真ん中、立ち止まり俯く俺、顔を覗き込む結貴

走って来たグレアとギルガメッシュ

振り返り、俺は二人の方を向く。

「思い出したよ、俺の名前。

とは言っても、苗字は思い出せてないんだけど…。

龍司。それが俺の名前だ。」

「ほォ…なかなか良い名前じゃねェか。」

「うん、リョージってカッコイイ!」

「ただまァ、俺様のギルガメッシュって名前には劣るがな!ダーッハッハッハッハ!」

「…どうして」

喜ぶ二人を尻目に、腕を組みながら結貴が口を開く

「どうして急に、思い出したのでしょう?」

「わからない…けど、頭の中にワンシーンが浮かんだんだ。

黒いローブで、フードを被った結貴がさっきみたいに俺の手を引いてた。こっちを向いて、笑顔で。

空は暗くて、雲に覆われてた。地面も灰色で、酷く荒れてたけど、心の底から幸せだって、思ったんだ…。」

「ゆき?」

「多分オルコスの名前だ。」

「それはまだずっと未来のはず…どうであれ、名前を思い出したのは良いことですわ。さあ、龍司、行きましょう!」

俺が名前を思い出してから、結貴の表情が柔らかくなった様に見える。

きっと、彼女が愛した俺に近付いていっているのだろう。

そう思うと、なんだか心が熱くなる。

「双子ならアッチだ!ソッチじゃねェ!」


再び駆け出した二人は仲間の声によって方向を変える。

思い出した名前は今後にどんな影響を与えるのか。

何故体験したことない未来を思い出したのか。

旅は続く。まだまだ続く。

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