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与えられた物は「勇気」のみ!~最強スキルで旅をする~  作者: ド・ド・弩レイダー
第三章 誰も知らない夜明け
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アイの形

三人で観光を楽しんでいると、こちらを見て、なにかに気付いた様に二人の男が走ってきた。

「貴方、キュクロスさんであってますか?」

「あっ、えぁ…はい!」

俺の返事を聞き、安堵のため息をつくと

「どうか、城までご同行願います。」

と、求められた。

俺一人で来てほしいとのことで、グレアは心配していたが、二人とわかれてついていくことにした。


「お連れいたしました。」

「ありがとう。この者を残して全員退室するように。」

そうして大きな部屋に二人きり、かなり緊張している。

俺は未だに顔を上げられず、声の主を確認できていない。

「顔を上げて。」

「は、はいっ…!」

言われた通り顔を上げると、優美なドレスに身を包んだ彼女と目が合った。

この国の女王、オルコス。戦争が終わり、国民の不満が爆発、統治者を失った所に現れ、誰も疑うことなく彼女に国を任せたらしい。

「オルコス…様が、なんの用でしょうか。」

結貴(ゆき)(ちかい) 結貴。それがわたくしの名前です。

貴方はわたくしの運命の人…。そしてわたくしは、貴方の運命の人なの!」

「え?」

コイツはヤバい。それがたった数回会話しただけで理解できた。

関わらない方がいいだろう。今すぐここから逃げ出したい。

激しい恐怖を感じたが、俺は彼女から目を逸らさずに会話を続ける。

「わたくしは未来から来ました。

ねえ、わたくしの話、聞いてくださる?」

断るとどうなるかわからない。首を縦に振ることしか俺にはできなかった。


『今から話すのは、ここからずっと、ずーっと未来のお話ですわ。


ある国に一人の王が居ました。嘘と暴力にまみれた、最低最悪の王。


彼は魔王と呼ばれ、国だけではなく、世界をも支配する力を持っていました。


魔王はかつて、誰よりも自信を持っている勇気溢れる少年でした。


仲間と共にそこへ訪れた時、彼は仲間と離れてしまい、一人でさまよっていました。


その時に一人だった彼は突如として現れた魔の手により、深い悪の道へと堕ちて行くことになるのです。


自信は盲信へと変わり、誰も手を出すことができなくなってしまいます。


悪虐の階段を駆け上り、世界を支配した彼は、愉悦の為に人々を厳しい監視のもと、管理しはじめたのです。


その中には、わたくしも含まれていましたわ。


そうして、わたくしは過去へと走り、魔王が生まれる前に対策しようとしました。


そしてこれは143回目の時間遡行ですの。』


彼女はコツコツとヒールの音を鳴らしながらこちらへと歩いてきて、手を差し伸べてこう言った。


「わたくしと、結婚いたしましょう!」

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