ファンタジーの裏にあるもの
その晩、俺たちは北の国のことについて多くのことを教えてもらった。
戦争が起きた理由や、この世界においてどんな役割を担っているか、など。
錬金術を用いた薬の開発だとか、武器、防具の性能向上だとか…。
俺はロマン溢れるものが大好きだから、興奮がおさまらない。
早く着いてほしい。
「ねぇ、お腹空いた。」
今の時間は12時過ぎぐらいだろうか。馬車に乗って、することもない。退屈な状態だし、空腹が気になるのも無理はない。
ギルガメッシュは新しい鎧と武器に夢中だ。周りの音なんか聞こえていないだろう。
「着いたら何か食べようか。これ食べて我慢しよう?」
パンをちぎり、瓶から蜂蜜を垂らす。
グレアは垂れる様子に夢中で、直接食べてしまいそうなほど、近くに顔を寄せていた。
大きく口を開け、一口で食べる。
頬を膨らませながらじんわりと表情が柔らかくなっていき、飲み込む頃には満足気な笑みを浮かべていた。
「美味しい?」
「うん、全身にぶわぁーって甘いのが広がってね、それでね…。」
話しているうちに、時間はあっという間に過ぎ、北の国へ到着した。
「着いたぜ、メギストス・フォス…!
ここで俺様の鎧を更にいかしたモンにしてもらって…。
堪んねェ!ワクワクが止まらねェぜ!!」
大声で笑いながら鎧を装着し、ガシャガシャと音を立てながら歩いていく。
とは言っても、入国審査があるのでもう少し時間がかかるが。
「さっき、蜂蜜が乗ったパン食べたの」
「ほォ、いいじゃねェか。俺様も食べたかったな。」
「キュクロスが何回も呼んでるのに反応しないんだもん。」
「おォ?マジか。全然気付かなかった。」
「ね、入ったらスグご飯食べよ!」
特に何か問題があること無く、審査は終わった。
その後、グレアは目移りしていたが、食欲には勝てず、どこかに店が無いかと探していた。
選ぶことなく、最初に見つけた店に入ったが、なかなか当たりだったかもしれない、いい店だ。
安い、美味い、量もある。
俺らはそこで満足いくまで食べ、店を出て宿を取った。
「さ〜ァ、観光でもするかァ…。」
やけにソワソワしている。入る前に叫んでいた通り、防具を加工したいのだろう。
ここは様々な物があり、買い物に関しては、中央より充実している様に感じる。
新しい服が欲しいと目を輝かせるグレアの手には、服がいくつも重なっていた。
それに対してギルガメッシュは断ることなく、二つ返事で購入したのだった。どこからそんなお金が?
それにしても、どこか違和感を感じる。
世界観と服が噛み合ってないような。
それに、日本に居た頃に見たことがあるような服もあった。
ギルガメッシュが前に話していた事が正しければ、もっとシンプルで古い感じの服になるんじゃないのか…?




