呪術性サンライト
「っく…ちょっとマズイかも…」
ギルガメッシュの攻撃を受けながら道化師は戦い続けている。
光の矢に様々な術を付与することで道化師は多彩な攻撃を可能としており、グレアは既にボロボロだ。
「なんで…なんであんなにギルガメッシュが攻撃してるのに死なないんだよ…。」
不死じゃあるまいし、ここまで攻撃を耐えているのは初めて見る。
「太陽の力よ。もはや不死とも言える再生能力を手にしたみたい。」
「そんなことができるはず…!」
「可能なの。この国の太陽は、人々を癒す役割を担っている。全員に向けられる力は微々たるものだけれど、それが一人に向けられると、想像を絶する力になるわ。」
「一撃で殺すしか無いってことか。」
「そう言う点でも、彼女は相性がいいと言えるわね。」
「は…ははははは…!どうDeathか!私に勝てますか!?」
どうにか触れれば、私の力で奴を殺せるのに、近付けない。
わかっているかのように私が近付くのを拒絶している。
攻撃を受けなければ、近付けるのに。
首元の汗を拭った時、私の手にネックレスの紐が絡まる。
「そうだっ!砕け散って死ね!!」
強く握ったクリスタルは砕け、微風を起こしながら欠片が私の周りを漂う。これがあれば、多少強引に近付ける。
私はまっすぐ、走って行く。
回避を見越して放たれた矢だって怖くない。クリスタルが無効化してくれている。
「捕まえたっ!ぶっこ…」
「コイツ…!」
私の掴んだ腕は肘のところで爆発し、トカゲの尻尾切りの様に本体と離れた。
だけど…
「この手の持ち主を…」
「そっちも爆発するぞ、投げろ!!」
ギルガメッシュに言われ、咄嗟に腕を投げる。
先程とは比べ物にならないほど、巨大な爆発だった。
やっと近付けて、触れたのに、振り出しに戻ってしまった。
ギルガメッシュは攻撃を続けながら隙を探し、私は回避に徹している。
「二人とも、いつでも行けるわ。」
「よっしゃ、頼むぜ!」
その声を合図に、道化は呪力の鎖に拘束される。
自分より強大な力を持つ相手を捕まえるには時間がかかると言っていた。それを成功させてくれたんだから、無駄にするわけにはいかない。
「ふぅん…面白いDeathが…。こうすれば、効きませんね。
ここで終わらせましょう。全て吹き飛ばしてさしあげます。」
道化は太陽に包まれ、触れることはおろか、近付くことさえできなくなってしまった。
「マズイな。力を蓄えてる。
グレア、テメェはキュクロス達の所に居ろ。おそらく壁は壊されるから出すな。
壊れたらどうなるかわからない以上、迂闊に使うのはマズイからな。」
「うんっ、わかった!」
キュクロス達の所へ行くと、ギルガメッシュが私達の前に立ち、大きく構えた。
「見せてやるよ。俺様が旅の中で覚えた技の一つ、『仁王立』だ!!」
その後、一瞬にして爆音と共に風が吹いた。




