拡散性サウザンドエッジ
道化師は急に口から血を吐き出し、目を回して倒れた。
「なになに、急にどうしたの?!」
「私の特技。口の中の血を、量に応じて複数個の特殊な物に変化させるの。
一つにつき四十秒、相手は意識を失う。」
「じゃあっ!今ならアイツのこと殺せるね?!」
「行ってもいいけど…
彼のこと、ちゃんと見てた方がいいんじゃない?」
多くの感情が交差し、グレアのおかげで淋しさは無くなったものの、上手く動けずに俺は地面に突っ伏していた。
ギルガメッシュとゼノンが戦っている音が聞こえる。
高い金属音、鈍い打撃音など、様々な攻撃方法を試しているのだろう。
「テメェ、タフすぎんだろ!!」
今まで戦った敵の中で一番と言っていいほど、凄まじい耐久力を誇っている。
攻撃は確実に通っているのに死ぬ気配は無い。
皮が厚くて攻撃が通らない敵とも戦ったからこそわかる。
今まで俺様と殺り合ったヤツらも、こんな感覚だったんだろう。
おそらく、もう五回は殺してる。
コイツに死の概念があるのかはわからないが、何十回でも何百回でも、何千回でも、お互いの気力が果てるまで殺してやる。
こんなに時間がかかるなら、急に倒れた道化の方を狙ってもよかったかもしれない。
ただ、今はキュクロスが前線復帰し、道化へ攻撃を仕掛けようとしている。
なんとか立ち上がり、俺は剣を握る。
煩わしい思いは振り切って、今は目の前の敵に集中だ。
道化師が起きる前に、確実にとどめを刺さないと。
「はぁっ…はぁっ…これでっ…!」
倒れている道化師に向かって剣を振り下ろす。
「こうなることもね、知っていたんDeathよ。」
すんでのところで俺の攻撃を回避し、ほくそ笑む。
「元に戻ったんDeathね。
さて、『The Last Showdown』を始めまShowか。」
「刀身烈風!散!!」
「虹の力で未だかつて無い恐怖を叩き込んでやります!」
少しでも掠るとマズイ。
道化師は虹を自由自在に動かすから、攻撃のルートが読みにくく、このまま続けば確実に受けてしまう。
こんな小さな刃で心臓を貫けるだろうか。
違う、貫かないといけない、俺なら貫けて当然なんだ。
不規則に刃を飛ばし、道化師の攻撃を防ぎながら攻めに転じて行く。
「おっとぉ…危ない危ない…。
しっかり目を凝らさないと、ダメみたいDeathね。」
一気に距離を離され、攻撃は見切られてしまった。
次の手を考えないと。




