経験性 ボロウ・ザ・レインボー
「ゼ、ゼノン…お前、なんでそんな姿に…!」
「何って、さっき君たちに言っただろ。アンドロイドは電気羊の夢を見るかって。」
小此木の力から救う方法は無いのだろうか。
ひとまずは無力化を図ることにする。
剣を構え、俺とギルガメッシュは二人と対面する。
「刀振烈風・散」
剣身は砕け、辺りを漂い始める。
それを見たゼノンは嬉しそうな表情を浮かべると、背中から無数の飛行物体を出した。
「行けッ!!」
「撃ち落とせ!!」
同時に叫び、お互いの攻撃が入り交じる。
数では勝っているが、戦闘力は未知数だ。
「良いのDeathか。あの少年、負けてしまうかもしれないのに。」
その頃、ギルガメッシュはいつの間にか道化との戦闘を開始していた。
「馬鹿言え。アイツは負けねェよ。」
「ほう。なぜなのか、気になりますね。」
「そう言ったんだ。負けねぇって。」
「あぁ、あまり笑わせないでください。
手元が狂って貴方に致命傷を与えてしまうかもしれません。」
さっきから道化の様子がおかしい。
俺様の攻撃の動作を見ることなく、最低限の動きで回避している。
そのため、一撃も与えることができず、苛立たしい。
「英雄王もその程度ですか?!
つまらないものですね。今すぐ殺してさしあげますよ!!」
手を天に掲げる。
その手には脈動する小さな太陽。
脈を打つたびに大きさを増していき、やがて戦場を覆うほどの大きさへと変わった。
「おい、ゼノン!止まれよ!」
「嫌だね。僕の能力を君の手で止められたら考えあげるよ。」
俺達は、真上にある大きな光にさえ気付けないほど目の前の存在に集中していた。
それに気付いたのは、漂う小さな刃に光が反射し、ゼノンの顔を照らした時だった。
「あれ…?」
「なにしてるんだよ、道化…!」
「そちらの方々も気付いた様Deathね。
こちらを使って貴方がたを消し炭にするのDeathよ!」
しかし、光はみるみる縮んでいく。
「なーんだ、縮んで…うわっ、眩しっ…」
道化の放つ虹が刃で反射し、俺の顔へ当たる。
そして、奴の言っていた『虹が教えてくれる』という言葉が、俺の脳内を駆け巡った。




