模倣性シャドーズ
「Ah…つまり、ゲームマスターである私に勝負を挑むと?」
「あぁ、お前を倒してここから出るんだ。」
こう言いだすと元も子もないのはわかるが、奴を指名してはいけないなんてルールは無かった。
「どうせまたガキみてェなこと考えてんだろ。」
「うぐ…俺の頭じゃこれが限界なんだよ…。」
道化は少し考える素振りを見せると、バトルフィールドへと場を移した。
巨大化して俺達を見下ろしていた状態から、最初に見た元の大きさへと戻っていく。
地面に足を付け、手を二回叩いてこう言った。
「いつでも、どこからでも、かかってきなさい。」
「俺様がテメェをぶっ潰してやるよ!」
そう叫び、両手剣を取り出したギルガメッシュを止める。
「俺にやらせてくれ。負けっぱなしは悔しい。」
剣の柄の窪みに、ポケットから取り出した翠の宝石を入れる。
剣身は激しく振動し、砕け散った。
「え?!壊れた!?どうしよう、ギルガメッシュ!!」
「壊れてねェ…!極小の刃が辺りを飛んでいるんだ!」
「なんか…見たことあるかも…!!」
元々剣身のあった場所には竜巻のように風が渦巻いている。
「なかなか面白そう。手助けしてあげるから、全力で戦ってみせて?」
アリアが手を短剣で切りつけ、溢れた血から杖を作り出した。
小さくブツブツと呪文を唱えると、体の底から力が湧いてくるのを感じた。
「この国にはね、こういうのが得意な人がたくさんいるのよ。」
「ありがとう、アリアさん!」
向き合い、剣を構える。
道化は一つため息をいて、口を開いた。
「いつまで待たせるんです。
待つのも面倒なので、行動させていただきますね。」
地面を足で強く二回踏み、着用していた仮面を外した。
すると、地面から無数の影の手が生えてきて、"それ"は纏まっていく。
やがて人の形へと変貌した。
影は道化の仮面を着用し、地面に手を入れ、一本の剣を取り出した。
「彼は君と同等の力を持っています。
しかし、剣は特別製で、周囲の力を喰らい、鋭利になっていくのです。
最大まで力を溜めると、鋭さは切れないものは何も無い程。お気をつけください。」




