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与えられた物は「勇気」のみ!~最強スキルで旅をする~  作者: ド・ド・弩レイダー
第二章 輪廻、ドロップアウト!
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因果性イレイザー

「はぁっ…はぁっ…どこだろ、ここ。」

思わず逃げ出してしまった。

二対一で、仮にも相手はギルガメッシュに勝っているのだ。

女の方は勝てそうだが、男の方は勝てる気がしない。

宛もなく真っ暗闇を彷徨い続けるのはもう嫌だ。

数日前まで当たり前に過ごしていた場所は、もう少し明るかった。


「ここで死ね…」

いきなり背後から向けられた殺気に咄嗟に反応し、身を翻すと、先程の二人組の一人、男の方が立っていた。

暗くてよく見えないが、確かにそこに居る。

昨日、ギルガメッシュに戦い方を教えてもらった時、気配を察知する能力が長けていると言われ、僅かな時間だったが、更に優れた物にしようと頑張っていた。

明確な悪意、殺意には対応できるようになったが、見えない人の気持ちまではわからない。

見えている人の気持ちならわかるのか、と言うのは愚問だ。


「ねぇ、名前、なんて言うの?私はグレア。」

「くだらん。これから死ぬ者の名前など、どうでもいい。」

「そう?私は知りたいな、これから死んじゃう人の名前。」

翠の綺麗なネックレスを握り、小さく呟く。

「…砕け散って死ね。」

言葉通りバラバラに砕け散ると、私の周りを漂う。

キュクロスから貰った不思議なアクセサリーだ。

僅かな時間だが、いかなる攻撃も無効化してくれる。

「奇妙な力だ。この手で殺してやろう。」

「それ、私が言いたかったんだけど?」


チャンスは一度きり。

たったの一度でも攻撃が見切られたりしたらスグ逃げる。

できない、じゃない。やらなきゃ何も変わらないんだから。

さっきの逃げ腰な考えは捨てて、真っ直ぐ、戦わないと。

「この恐怖、殺す!」

パンパンと顔を叩き喝を入れると、不思議なことに、なんでもできそうな気がしてくる。

もしかしたら私、本当になんでもできちゃうかも。


「くだらないおまじないは終わったか?行かせてもらうぞ!」

待っててくれるなんて、意外といい人…なんて考えてる場合じゃない!

このアクセサリーがあるから、多少強引でも行ける。

何度か攻撃を受けたり避けたりしながら、僅かな隙を探る。

痛みは無い。これなら平気だ。

「人の望む世界に、そのような力は不要だ。」

真っ直ぐ突きが来ると予測し、回避。

そして、臆さず剣を掴む。

「なっ…!なぜそんな無謀な行動を…!」

「折れて死ね!!」

必死になって叫ぶ。

私の叫びに世界が応え、彼の剣は剣身が真っ二つに折れて、地面に落ちた。


一定の距離を保ち、お互いに見合う。

時間もまだあるし、もしかしたら勝てちゃうかも。

「どんな術を使ったか知らんが、気味が悪い。

だが、刀など使わずとも人の処理など容易いことだ。」

「そっちが来ないなら、こっちから行っちゃうよ?」

「構わん。最後に立つのは俺だからな。」

私なんて余裕って感じ。

「それじゃあ、覚悟してよね。」

ダメなら逃げる。それだけを意識して戦えば平気。

絶対に一撃喰らわせてやりたい…!

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